通信で車を“見える化” WiMAXでカーナビはシンクライアントに第1回 国際自動車通信技術展

» 2009年10月20日 22時40分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo KDDI執行役員常務兼UQコミュニケーションズ社長の田中孝司氏

 10月20日に幕張メッセで開幕した「第1回 国際自動車通信技術展」の講演に、KDDI執行役員常務兼UQコミュニケーションズ代表取締役社長の田中孝司氏が登壇した。同氏はKDDIのカーテレマティクスに対する取り組みと、モバイルWiMAXを活用した自動車と通信の展望を語った。


車の“見える化”を促進するKDDIのカーソリューション

photo KDDIが取り組むカーソリューション

 車の中でスタンドアローンになっているさまざまな機能を“オンライン化”するというのが、KDDIのカーソリューションに対する姿勢だ。田中氏は典型的な事例として、トヨタ自動車のテレマティクスサービス「G-BOOK mX」を挙げる。同サービスは、携帯電話または専用通信機「DCM」をカーナビと組み合わせ、地図情報の更新や、渋滞情報の提供などを行うもので、DCMにKDDIの3G回線が活用されている。また、携帯を使った簡易ナビゲーション「EZ助手席ナビ」も、auユーザーにとってはなじみのあるサービスだ。

 しかし、こうしたコンシューマー向けサービスに留まらず、自動車と通信の接点は増えていくと田中氏は指摘する。安全や環境、利便性の観点から車のエレクトロニクス化に対する社会的な要請が強まっていることがその背景だ。KDDIもこうした情勢を踏まえ、さまざまなカーソリューションの開発に取り組んでいる。

 その1つが、綜合警備保障が導入した「隊員指令システム」だ。同システムでは携帯とカーナビを連携させて、通報を受けてから隊員が現場に駆けつけるまでの時間を短縮した。センターは隊員の現在地を携帯のGPSで把握し、通報があると現場に最も近い隊員の携帯に“指令”を送る。そして、指令を受けた隊員がカーナビと携帯をBluetoothで接続すると、通報現場の位置情報がカーナビに転送され、すぐに道案内が始まる仕組みだ。これにより、隊員が駆けつけるまでの時間が5分短縮された。「警備業界的には、この5分の短縮がかなりの商品力アップになると聞いている」(田中氏)


photophoto 隊員指令システム

 はとバスが導入したモバイル飲酒点検システム「ALC-Mobile」では、遠隔地にいる運転手の飲酒状況が確認できる。法人向け携帯とアルコール測定器を接続し、運転手のアルコール測定データを3G回線を介して管理センターに転送。携帯カメラで本人確認を行うほか、測定時間や運転手の所在地も携帯のデータから把握し、信頼性の高いシステムを構築した。また、車そのものにカメラやアルコール検知器、通信モジュールを組み込み、飲酒を検知するとエンジンが始動できなくなるシステム「ALC-Lock」も実用化されている。

photophoto ケータイと測定器を接続するALC-Mobile(写真=左)と、車自体にシステムを組み込んだALC-Lock(写真=右)

 自動車を業務に利用する法人にとっては燃費の削減も重要なポイント。いすゞ自動車が導入した「みまもりくんオンラインサービス」では、アクセルやブレーキ、シフト操作といった走行データを通信機能を備えた専用車載器で収集し、データセンターに各ドライバーのデータを転送する。センターでは運転を解析し、エコドライブに役立つリポートをドライバーに提供する。

 車のオンライン化がもたらすメリットとして田中氏が強調するのは、こうした車に関する情報の“見える化”によって、運用改善が容易になる点だ。「昔は外出している人がどこで何をしているか知る方法はなかったが、携帯電話がそれを変えた。一方、車は今でもどこで何をしているのか分からない。自分の事業をドライブする車の状況をオンライン化によって把握できるようになれば、業務の効率化が図れる」(田中氏)

カーテレマティクスにおけるWiMAXのメリット

 講演の後半では、UQコミュニケーションズが考えるWiMAXを利用したカーテレマティクスの将来像が示された。田中氏はWiMAXのADSL並みの高速通信や、ダイヤルアップ不要の常時接続といった特長に加え、機器への組み込みの容易さやコストパフォーマンスをアピール。また、ユーザーはPC向けの契約に若干のオプション加入金を追加するだけで、WiMAXによるカーテレマティクスを利用できるとし、自動車向け通信インフラとしてのポテンシャルを強調した。

photo カーナビ向け通信回線も「コイン2枚で追加できる」と田中氏
photo WiMAXによるカーナビの進化

 WiMAXによって車はどう変わるのか――田中氏はカーナビを例に展望を語る。同氏によれば、移動中でも高速通信が可能なWiMAXとクラウドコンピューティングが組み合わさることで、カーナビは将来「シンクライアント化」するという。カーナビ側は最低限の機能のみを備え、高度なサービスはネットワークを介してサーバ側からリアルタイムに提供。これにより、低価格なカーナビで高度なナビゲーションが実現するだけでなく、店舗や施設が付近のドライバーにキャンペーン情報やクーポンを提供するといった、情報のプッシュ配信も可能になる。「カーナビの低価格化によって搭載が標準化すれば、広告とも連動するようなコンテンツビジネスが生まれる」と田中氏は語り、新市場を開拓する可能性に期待を示した。


photophoto シンクライアント化によって、カーナビビジネスの領域も拡大する
photophoto 車のシステムのアップデートや故障診断のリモート化などもネットワークを介して行えるようになる

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