矢野経済研究所は11月20日、携帯電話市場に関する調査結果を発表した。調査は7月から9月まで、国内移動体通信サービス事業者、国内携帯電話メーカー、半導体メーカー、業界団体などを対象に実施。同社の専門研究員による直接面談、電話や電子メールによるヒアリング、文献調査も併用している。
同調査によれば、2008年度の国内市場における移動体通信端末(携帯電話、PHS)の出荷台数は、前年度比73.9%の3989万7000台と大きく減少した。その理由としては、加入者数が1億1000万を超えて飽和状態にあることや、販売奨励金モデルからの転換で端末価格が上昇したこと、割賦契約の増加や機能面の成熟による買い替えサイクルの長期化などが挙げられている。
2009年度の移動体通信端末の出荷台数は、前年度比94.2%の3757万台となる見込み。2008年度から買い替え需要の冷え込みが続いており、携帯電話、PHSの販売は前年割れで推移するとみられている。買い替えを促進する目玉機能に乏しいことが販売に影響しているが、一方でカメラ機能を強化した製品や防水対応製品、スライド型端末などの人気は高く、スマートフォンやデータ通信端末などは2008年度に引き続き好調を維持しており、これらが成長カテゴリーとなっている。
2009年度の端末のトレンドは、普及価格帯モデルのスペック強化と機能の充実、豊富なカラーバリエーションとコラボレーションモデルの増加、防水対応製品の増加、カメラ機能を強化した製品の充実が挙げられている。今後メーカー各社は、ユーザーニーズに沿った製品開発を強化すると予想され、(1)バッテリー性能、通話品質などの基本性能の強化や機能充実(2)健康管理機能や豊富なカラーバリエーションなど、多様化するライフスタイルに対応した製品開発(3)HD動画対応、3D対応、ソーラーパネル搭載などの環境対応を含めた高付加価値化(4)タッチパネル搭載、HSPA対応といったインターネット利用を意識した製品開発 に向かうものと考えられる。
なお、矢野経済研究所ではモバイル市場の今後について、ワイヤレス・ブロードバンド市場の伸張などを背景に、2010年度以降は微増に転じると予想。2012年度(2013年3月期)の国内移動体通信端末市場は、2008年度比102.9%となる4105万台に達すると見ている。新規事業者の参入と既存事業者の次世代サービス開始により、モバイルデータ通信サービスの加入者増加が期待されるが、国内市場は大きく縮小しており、国内メーカーは再度海外市場に進出する必要性に迫られるものと考えられる。
2012年度(2013年3月期)の国内移動体通信端末市場は、2008年度比102.9%となる4105万台と予測。市場は、中期的には2009年度を底に、来年度以降は微増に転じると予想されている。背景にはワイヤレス・ブロードバンド市場の伸張が挙げられ、特に新規事業者の参入と既存事業者の次世代サービス開始により、モバイルデータ通信サービスの加入者増加が期待されることが挙げられている。とはいえ、国内市場は大きく縮小しており、海外メーカーがシェアを伸ばす中、国内メーカーは再度海外市場に進出する必要性に迫られるものと考えられる。
矢野経済研究所は、調査結果を資料「2009年度版 国内移動体通信市場動向調査」として10月30日に発刊している。A4版356ページの資料で、定価は12万6000円。
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