「Nintendo Switch 2」は買いやすくなったのか? 販売店が悪戦苦闘した転売対策の「その後」を追う(1/2 ページ)

» 2026年04月20日 16時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 任天堂が2025年6月5日に発売した「Nintendo Switch 2」は、前世代機の発売から長らく待望されていた次世代機だ。発売前から世界中のゲームファンから熱い視線を集めていたためか、需要は極めて高く、4月の事前抽選では国内だけで約220万人もの応募が殺到。任天堂の事前の想定を大幅に上回る規模だった。

そんなNintendo Switch 2の発売から約1年が過ぎようとしている2026年4月現在、買いやすい状況になったのかを見ていきたい。

NintendoSwitch2 任天堂 ゲーム 転売 任天堂が2025年6月5日に発売した「Nintendo Switch 2」

継続的な抽選販売を実施も需要に追い付かず、品薄が長期化

 2025年4月上旬の第1回抽選販売には、既存ユーザーを優先する非常に厳しい参加条件が設定された。具体的には、アカウントにおけるプレイ時間が50時間以上であることや、定額制のオンラインサービスへの加入期間が1年以上であることという、高い基準を満たす必要があった。これによってこれまで同社のゲームを楽しんできた熱心なファンが優遇される形となった。しかしこれから新しくゲームを始めようとする人が、簡単にはNintendo Switch 2の予約に応募できないという課題も生じていた。

 このように厳しい条件を設けたにもかかわらず、用意された事前の予約枠に対して本体の供給が全く追い付いていなかった。その結果として落選者が多数発生し、古川俊太郎社長がSNSで落選者の多さを深く謝罪するという異例の事態にまで発展した。その後同社は決算発表会において、2025年度中に全世界で1500万台を出荷するという見通しを公表した。さらに需要に応えるために、継続的な生産体制の強化を図ることを表明している。

 そして迎えた2025年6月5日の発売日。新機種は世界中で爆発的な売れ行きを示した。発売からわずか4日間で、世界累計販売台数が350万台を突破した。これは同社のゲーム機として過去最高の初動記録を打ち立てる驚異的な結果となっている。多くの店舗で行列ができ、オンラインストアでも即座に完売する状況が相次いだ。予約段階から続く激しい争奪戦は、発売後も収まる気配が全くなかったのだ。

 任天堂は継続的な抽選販売を通じて、順次商品をユーザーの手元に届ける方針を示した。また公式ストアにおいては、過去の抽選で落選した人の応募権を次回の抽選へと自動的に移行する、自動引き継ぎシステムを採用した。これによって何度も応募する手間を省き、既存ユーザーへの配慮を見せた。それでもなお世界中から寄せられる圧倒的な需要を満たすには至らなかった。結果として供給不足による深刻な品薄状況が、さらに長期化する兆しを見せていた。

フリマサイトで転売が横行 転売の是非についてSNSで議論も

 発売日を迎えると直後から、各種のフリマサービスで高額転売が相次いで発生した。希望小売価格が5万3980円に設定されている、人気ソフトを付けたセット商品が、8万円から10万円という非常に高額な値段で出品された。中には定価の2倍を超えるような、異常な価格で取引される事例も散見された。本当にゲームを遊びたいユーザーの手に行き渡らず、転売目的の購入者が利益を得る状況に対して、多くのユーザーの不満が一気に爆発することとなった。

NintendoSwitch2 任天堂 ゲーム 転売 メルカリでNintendo Switch 2の高額出品が相次いだ。画像は6月7日14時10分時点での販売情報

 任天堂はこうした不正な高額転売を防止するため、発売前の段階から複数のプラットフォーム事業者と緊密に連携していくことを発表していた。しかし実際の事業者の対応には大きな差が生じている。例えばLINEヤフーは、自社が運営するオークションサイトやフリマアプリにおいて、本体の出品を当面の間は全面的に禁止するという非常に厳しい措置を講じた。これによりプラットフォームとして転売の抑止に全力を努めるという、強い姿勢を打ち出した。

 一方で国内最大手のフリマアプリであるメルカリや、楽天グループが運営するラクマなどの対応は異なっていた。これらのサービスでは、ユーザーが商品を検索した際の結果画面に、価格急騰の可能性を知らせる注意喚起のメッセージを表示するにとどまった。商品の出品自体を制限したり、削除したりするような直接的な措置には踏み切らなかった。そのため、プラットフォーム上で横行する高額転売を効果的に抑え込むことはできず、事業者としての対応の限界が露呈する結果となった。

 こうした中で、家電量販店のノジマは独自の厳しい対応を示した。自社のオンラインストアで購入された新機種が、フリマアプリなどで転売されていたことをSNS上で明らかにした。転売を防ぐためノジマは独自の販売手法を徹底していた。それにもかかわらず転売行為が確認されたアカウントに対しては、即座に利用停止措置を講じた。販売店として不正な二次流通を決して許さないという、非常に厳しい姿勢を社会に示した形だ。

NintendoSwitch2 任天堂 ゲーム 転売 ノジマではNintendo Switch 2の予約に際し、既存顧客を優先する「招待制販売」を導入した。誰でも応募可能な抽選式の「シークレット販売」も併用し、店舗とオンラインで異なる基準を提示。購入履歴や会員ランクを活用することで転売を抑制し、一般の利用者が適正に購入できる仕組みを整えていた

 この転売騒動を巡っては、著名人からの発言も大きな注目を集めた。実業家の堀江貴文氏は、どうしても商品が欲しいときには、転売をする人からでも高い金額を出して買いたい派だとSNSを通じて発言した。さらに転売という行為自体は合法であると強調している。感情論だけで転売を批判する人々に対して、強い不快感を示したのである。この発言をきっかけとして、SNS上では転売行為の経済的な合理性や、適切な二次流通の在り方を巡る議論が社会全体でさらに活発化した。

厳しい転売対策に追われる販売店 入手が極めて困難な状況が続いた2025年

 発売から約1カ月が経過した7月上旬。公式ストアで実施された第5回抽選販売では、応募条件がさらに厳格化された。具体的には、過去の抽選に応募した履歴があり、かつこれまでに一度も当選していないことが求められた。またユーザーのアカウントに新機種本体を連携した履歴が全くないことなど、より細かな新たな条件が複数追加されたのである。これらの厳格なルール変更によって、既に購入済みの人が再度購入するような重複当選の防止を狙った。

 この大幅な条件変更に伴って、これまでユーザーの利便性を考慮して実施されていた過去の落選者の自動引き継ぎシステムは廃止されることとなった。そのため、これまで自動的に次回抽選にエントリーされていたユーザーは、改めて新規に応募手続きを自分で行う必要が生じた。これはユーザーにとって手間が増える変更ではあった。しかし巧妙化する転売対策の強化や、本当に欲しいと願う既存ユーザーへの確実な供給を最優先した。

 発売から半年という時間が経過した11月の時点でも、状況は大きく改善していなかった。関東圏などの人口が密集するエリアの大型家電量販店では、依然として誰もが店頭でフリー在庫を確認できる状況には至っていなかった。多くの店舗では悪質な転売目的の購入を防ぐための対策として、指定する特定のクレジットカードの所持を購入時の必須条件としていた。こうした厳しいルールが長期間にわたって敷かれていたため、一般の消費者からは多くの不満が挙がっていた。

 さらに量販店は顧客の過去の購入履歴をシステムで確認し、商品の種類やモデルを問わず、1人1台までという購入のルールを徹底した。販売現場では、顧客の利便性を考えて少しでも条件を緩和しようと試みたこともあった。しかし条件を緩和した途端に、海外への輸出や転売を目的とした来店者が店舗に急増してしまい、すぐさま元の厳しい条件に戻すという経緯があった。そのため店舗側は普通に販売したいという本音を抱えながらも、転売を防ぐために厳しい制限を継続せざるを得ない状況に陥っていた。

 このような背景もあり、実際の販売状況や消費者の肌感としても、2025年内はずっと手に入りにくい状況が続いた。店舗側が実施している厳しい制限は、本当に遊びたい顧客に商品を届けるための苦肉の策として続けられたもの。また店舗の公式SNSアカウントなどでの入荷情報の公開についても、人が殺到して混乱を招くのを防ぐため、極めて慎重な姿勢が長期間にわたって維持された。その結果として、消費者は新機種の在庫を探すのに苦労するという不便な状況を強いられていた。

NintendoSwitch2 任天堂 ゲーム 転売 一度は販売条件の緩和を試みたと明かした家電量販店。だが、緩和して間もなく転売目的の客が並んだため元の条件に戻したという
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