ソニーのロボット技術、ARに生きる――空間構造を認識する「SmartAR」(2/2 ページ)

» 2011年05月19日 22時59分 公開
[山田祐介,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ロボット技術でARがかしこくなった

photo ソニー システム技術研究所 知的システム研究部リサーチャー 福地正樹氏。同氏はQRIOの開発メンバーだ

 マーカーレスAR技術に、同社が「AIBO」や「QRIO」のロボット開発で培った“3D空間認識技術”を組み合わせたのも、SmartARの大きな特徴。ロボットが身の回りの空間構造をカメラで認識する技術や、自分が今どこにいるかを認識する技術などを応用して、従来よりも高度なARを実現する。

 ロボット技術により、AR表現がどう変わるのか。ソニーのシステム技術研究所でSmartARの開発に関わる福地正樹氏は、「空間を大きく使うARが可能になった」と語る。

 これまでのARでは、トリガーとなる画像がカメラの視界から外れると、仮想物体の空間上に配置することができなくなる。このため、画像がカメラの視界に収まる範囲でしかAR表現ができなかった。しかしSmartARでは、カメラの視界からトリガー画像が消えても、周りの空間の変化を認識しながらARを正しい位置に表示しつづける。そのため、カメラの視界からはみ出るような大きなAR表現も可能になるという。

 3D空間認識技術を活用すると、ARのボールがテーブルをはねたり、現実の物の形にそってARの水が流れたりと、よりリアルな演出も取り入れられる。ARキャラクターが部屋の中を自由に歩き回るような世界も、将来的には夢ではないという。


photophoto 会場マップのボードがカメラの視界から外れても、ARを表示しつづけている(写真=左)。ARの水がコップからあふれ出した。注目はテーブルに置かれた本の部分。本に合わせて水がはねている(写真=右)

 3D空間認識技術は、スマートフォンでは処理能力が足らず実現していない。しかし、端末の進化が速いことから、近い将来に搭載できるという。


 国内では2009年ごろから商用化の例が目立ってきているARだが、事業化には各社苦戦しているのが現状だ。ARの表現力がまだとぼしく、「顧客体験として“ちょっとおもしろいだけ”」にとどまっていることが、課題の1つと福地氏はみる。

 空間を高度に認識するSmartARでは、「より日常的で、快適で、リアリティーのあるARを提供できる」(ソニー システム技術研究所 藤田雅博所長)というのがソニーの考え。特にゲームなどのエンターテインメント分野で、同技術が活用できるとみている。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月08日 更新
  1. 「納品できない」──ギガファイル便で障害 運営元「ドメイン変えます」と暫定措置 (2026年07月06日)
  2. UQ mobile「コミコミプランバリュー」にクレカ割を導入したワケ 背景にahamoとY!mobileの“板挟み”も (2026年07月04日)
  3. 「撮り鉄」動画SNSで物議 駅員が「下がって」と制止も、スマホでの撮影に夢中 (2026年07月07日)
  4. mineoのオプテージが「携帯電話番号」の割り当てを受ける 「音声フルMVNO実現」に向けて大きな一歩 (2026年07月06日)
  5. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  6. 【ワークマン】499円の「デイリーアンカーサコッシュ」 “見せる収納”もできるメッシュポケット付き (2026年07月07日)
  7. Nothingが「Phone (4b)」を海外発表 ユニボディーにGlyphバー搭載、シリーズ最長のバッテリー持ち 約6万4000円 (2026年07月07日)
  8. アメックスが「プラチナ・カード」を刷新、10万円航空券クーポンや高級ホテル特典など ただし“年間500万円”の壁も (2026年07月06日)
  9. ソフトバンクが「SoftBank Free Style」でオープン市場に挑む理由 キャリアモデルの“登竜門”になるか? (2026年07月07日)
  10. アップルがMacBook、iPadなどをついに値上げ――値上げを見送ったiPhoneのXデーはいつなのか (2026年07月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー