“空飛ぶゲーム機”AR.Drone、アプリ開発者募集中――ダンスだってできるんです

» 2011年03月29日 11時00分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo Parrotのミカエル・パストー氏。マーケティングを担当すると同時に、AR.Droneのエースパイロットとして世界各地で操縦の腕前を披露している

 iPhoneで操作できるR/Cヘリ「AR.Drone」をご存じだろうか。このR/Cは、Wi-FiでiPhone/iPad/iPod touchといったiOS端末と接続し、App Storeで配信されている専用アプリを使って操縦ができる。タッチパネルや加速度センサーを使った直感的な操縦が楽しめるだけでなく、端末の画面に送られる機体のカメラ映像を見ながら操縦したり、カメラ映像に画像認識によるAR(拡張現実)を重ね合わせたゲームが遊べたりと、まさに“ハイテクおもちゃ”と呼ぶにふさわしい機能が詰まっている。

 「AR.Droneは発表した各国で大きな反響を集めた」――そう語るのは、開発元のParrotでAR.Droneのマーケティングを担当し、“AR.Droneのエースパイロット”でもあるミカエル・パストー氏。2010年9月に欧米、そして日本で販売を開始し、それぞれの地域で満足のいく評価を得られたという。2011年は東欧、南米、中東、東アジアなど、全30カ国にまで販売地域を増やす計画だ。


photophoto 4つのプロペラで器用に飛ぶAR.Drone。カメラ映像がiPhoneに送られ、操縦席にいるような気分を味わえる

「オープンプラットフォーム」としてのAR.Drone

 ParrotがR/Cヘリを世に送り出したのはAR.Droneが初めて。同社はフランスを拠点に自動車向けハンズフリーキットやワイヤレスオーディオシステムなどを手掛ける企業で、ハードウェアよりもソフトウェアの開発に強味を持つ。AR.Droneでは、カメラやジャイロセンサーなどを活用して4つのプロペラをソフトウェア制御するなど、ソフトウェア企業ならではのアプローチで製品の完成度を高めた。

 Parrotのソフトウェア企業らしさは、同社がAR.Droneを“ゲーム機”ととらえている点にも現れている。AR.Droneは、無料配布されている操縦アプリ「AR.FreeFlight」だけでなく、アプリを切り替えることでさまざまな楽しみ方ができるのだ。

 例えば、Parrotが公式に販売しているアプリ「AR.Pursuit」では、AR.Drone同士でお互いを追跡しあうARシューテングゲームが楽しめる。このゲームでは、機体のカメラ映像に相手の機体(正確には、機体に貼り付けられたARマーカー)が映り込むとターゲットがロックオンされ、相手に“ARミサイル”を撃ち込むことができる。ミサイルが当たるたびに追う側と追われる側がチェンジし、より多くの時間を逃げた方が勝者となる。筆者はこのゲームを実際に体験してみたが、ヘリを操縦しながら画面上でゲームが繰り広げられる感覚は、これまでのゲームでは味わったことのない新鮮なものだった。

photophoto 機体のカメラ映像で相手をロックオンし、ARミサイルを撃ち込む

 Parrotでは、こうしたARゲームをはじめとするさまざまなアプリを世界中の開発者に作ってもらい、AR.Droneというゲーム機の楽しみ方を広げていきたい考え。そのために、アプリ開発のためのSDKを無償で公開している。現在、開発者コミュニティには約5000人が登録しており、既にサードパーティー製のAR.Droneアプリがいくつか公開されている。

 さらに、WiiリモコンやKinect、さらにはMicrosoft SurfaceでAR.Droneを操作できるようにして、その様子を動画サイトにアップする開発者も出てきた。iOSに限らず、こうしたさまざまなデバイスとAR.Droneが連携できる世界を、パストー氏は夢見ているという。また、海外では大学にAR.Droneを貸し出して、ソフトウェアの研究に役立ててもらう取り組みも行っているそうだ。

 SDKは徐々に機能が拡充されており、最新のSDKにはダンス機能も追加された。元々は、Wi-Fiが混線している会場でAR.Droneの飛行デモを実現するために開発した機能だという。そのデモとは、機体の垂直カメラで地面のマーカーを認識し、AR.Droneが自分の飛行位置を自律的に調整しながら、音楽に合わせて揺れたり回ったりするというもの。音楽に合わせた振り付けを事前にプログラミングして実現したものだが、音楽のリズムを解析するような技術と組み合わせれば、音楽に合わせて勝手にダンスさせることもできるかもしれない。SDKには各種の“振り付けパターン”が盛り込まれているとのことだ。

 パストー氏の来日に合わせ、3月7日には日本の開発者にAR.Droneを紹介するセミナーが、開発者支援NPOであるMOSAの協力のもとに実施された。発売から約半年で、AR.Droneのゲームの世界は少しずつ広がりはじめている。

Androidへの展開は?

 一方で、AR.Droneはゲームプラットフォームとして極めてマイナーな存在だ。アプリ販売の対象は、現状だと“iPhone/iPad/iPod touchのいずれかを持ち、なおかつAR.Droneを購入したユーザー”に限られる。プラットフォームとしてエコシステムを回すには、iOS以外のデバイスにも対応していく必要があるだろう。特に期待されるのが、世界的にシェアを伸ばしているAndroidへの対応だ。

 パストー氏は、現状のスマートフォン向けAndroid OSでは、AR.Drone向けアプリの開発は難しいと説明する。AR.Droneは操縦するデバイスとWi-Fiでリンクするが、この際にアドホックモードを使用する。同氏によると、タブレット向けOSとして開発された最新のAndroid 3.0以外のAndroidは、このアドホックモードを標準でサポートしていないという。今後、OSのバージョンアップでこの問題が解決されれば、市販のAndroid端末でAR.Droneを飛ばすことが可能になるようだ。

 AR.Droneをさらに盛り上げるには、ボディサイズを小さくした“ミニモデル”の展開や、飛行特性を変えるようなオプションパーツの販売といった方向性もありそうだが、「そうした要望はたくさん寄せられているが、すぐには難しい。なにしろ我々はAR.Droneを開発するのに5年を費やしている」(パストー氏)。AR.Droneは精密なソフトウェア制御の上に成り立っているため、大きさや形状、重量といったハードウェアの仕様が変わると、それに合わせてソフトウェアもチューニングし直す必要があるという。

 ただ、AR.Droneの技術を搭載した他社製のハードウェアが登場する可能性はあるという。同社では、機体の操縦機能や自律制御機能、AR機能といったAR.Droneのコアとなる技術をモジュールとして他社に提供する方針で、日本メーカーとの商談も積極的にしていきたいとパストー氏は話す。ヘリに限らず、車や潜水艦などさまざまなR/Cに同モジュールを応用することで、陸海空をまたいでAR対戦ゲームを楽しむこともできるようになるかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月27日 更新
  1. 3社そろい踏みの「Starlink Direct」 料金で仕掛けるドコモとソフトバンク、先行するKDDIは“サービス”で差別化 (2026年04月25日)
  2. スマホの「残価設定」にメス? 総務省がルール統一を検討も、Appleは「不当な扱い」と猛反発 (2026年04月25日)
  3. 楽天モバイル、ルーター「Rakuten WiFi Pocket 5G」の販売を一時停止 理由は? (2026年04月24日)
  4. ダイソーで1100円の「USB充電器(PD20W)」は、きちんと20Wで充電できるのか? (2026年04月26日)
  5. Xiaomiの前に、中国スマホの“雄”だったMeizu、またしてもピンチ (2026年04月26日)
  6. ダイソーの1100円「シースルーイヤフォン」に一目ぼれ “音質と個体差”に目をつむれば「あり」な選択肢 (2026年04月23日)
  7. 1.72型ディスプレイ搭載スマートバンド「Xiaomi Smart Band 10」、高精度の睡眠モニタリングも可能 (2026年04月25日)
  8. 携帯電話のホッピング問題、「6カ月以内の継続利用を認める」方向で決着か 2026年夏に結論 (2026年04月23日)
  9. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  10. 「Pixel 10a」と「Pixel 10」どちらを選ぶ? 実機比較で分かった「約5万円差の価値」と「明確な違い」 (2026年04月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年