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» 2009年05月01日 08時30分 UPDATE

樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」:SARSから新型インフルへ――パーソナルディフェンスのノウハウ

WHOが、新型インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ5」に引き上げた。今回の騒ぎで筆者が思い出したのは、2002年に中国で発生した「SARS」のときのこと。SARS予防のために実践し、今回は新型インフル対策のために行っている“パーソナルディフェンス”のノウハウを紹介しよう。

[樋口健夫,Business Media 誠]

 「あーあ、またまた嫌な状態になってきた」。世界保健機関(WHO)が4月29日、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の警戒レベルを「フェーズ4」から、大流行(パンデミック)の兆候があることを示す「フェーズ5」に一段階引き上げた。WHOによれば、「メキシコや米国で人から人への感染が拡大していることが確認されたため」だという。

 筆者は家族(ヨメサンと、息子たち3人の家族)にメールを緊急配信した。「えー、さっそくでありますが、新型インフル対策として、公共交通機関に乗る場合は、マスク着用。帰宅直後は、手洗いか殺菌とうがいと鼻の穴をすすぐこと。父ちゃんより」

 筆者は今回の新型インフルについて、「SARS(重症急性呼吸器症候群)」を思い出した。SARSは2002年11月に中華人民共和国の広東省で発生した。その時、筆者は三井物産のカトマンドゥ事務所長としてネパールに駐在していたのだった。

 中国と国境を接しているネパール国内でも、さまざまな噂が巻き起こったものだ。すでにSARSがネパール国内に侵入し、死亡者が出ているとの噂まで聞こえた。在ネパールの日本人たちも心配し、緊急脱出計画などを大使館と相談したことを覚えている。

SARSの時はどうやったか

 筆者はまず日本から、殺菌石けん、ウイルス対応マスクと「ウエルパス」(速乾性すり込み式手指消毒剤、丸石製薬)を大量に急送してもらった。カトマンドゥ事務所の職員15名全員にマスクを配布し、混み合う通勤時に着用を奨励した。

ts_welpas.jpg SARSのときに日本から送ってもらった丸石製薬のウエルパス

 事務所に入る前には、全員がウエルパスで手を洗う。さらに1×1.5メートルの四角いブリキのお盆(深さ8センチほど)を特注で作らせて、事務所の入り口に置いた。その中に履物の泥落としマットを入れて、ざぶざぶに殺菌液を注いで、事務所に入る全員が、靴裏やサンダルなどをすべて殺菌しないと事務所に入ることができないようにしたのだ。


 SARSは2003年7月に治まるまでの9カ月間猛威をふるい、800人近くが亡くなったという。幸いにしてネパールには、拡大しなかった。今回の新型インフルについては、SARSのころよりもWHOが多少早く警告を発したこともあるが、日本の空港での対応もSARSよりも素早くなっているように感じた。

パーソナルディフェンス、4つのノウハウ

 筆者の対策は下記の通り。

1:マスク

ts_mask.jpg 「快適ガードプロ」。ノーズクッションと呼ばれるウレタンが内側に付いており、メガネのくもりを防げる

 メガネを付けているので、マスクをすると眼鏡がくもってしまうのが問題だったが、白元の「快適ガードプロ」(5個入り、購入価格約500円)を見つけた。これは鼻の接しているマスクの内側にウレタンの仕切りをつけたことで、見事にメガネのくもりを防げる秀逸な製品である。


2:手の殺菌と手洗い

 かなり前からウエルパスでの手の殺菌を励行している。使用上には若干の注意が必要。木製のフローリングにウエルパスの液がたれると、成分のアルコールでフローリングにシミを付けてしまうことがあるからだ。気になる場合は、殺菌石けんのミューズ(固形は1つ約600円、液体は1本750ミリリットルで800円程度)を使うといいだろう。


3:うがい

ts_gargle.jpg 殺菌液を鼻から吸い込んで口から出す、いわゆる鼻うがいが効果的

 そして同時にうがいを行う。うがい薬としては、「イソジン」(明治製菓)や「新コルゲンコーワ うがいぐすり ワンプッシュ」(興和)を使っている。飛行機内には液体を持ち込みにくいので、出張中用にはかかりつけの医者に頼んで、粉末状のうがい薬の「ハチアズレ」(東洋製化)を処方してもらった。それを水に溶かして、外出から戻ればホテルでも自宅でも使えるというわけだ。

 大事なことは、のどだけを殺菌してもだめだということ。鼻腔(鼻の穴)をすすぐ必要がある。筆者は、口のうがいをしたコルゲンコーワの殺菌液を、手洗いしたあとの両手を器にしてそこに注ぎ、それを両鼻の穴から吸い込み、鼻を両手でかんで、鼻の穴を殺菌することにしている。鼻の穴を通り過ぎた殺菌液は、口から戻して捨てる。これはすでに15年間ほど継続してきた風邪対策でもある。


4:カバンの底は靴の底

ts_bag.jpg 帰宅時の手洗い、うがいには気をつけていても、カバンの底はそのまま――という人が多いのでは

 カバンは外で地面に置かれたりすることから、カバンの底は汚れていて、靴の底と同じだ。日本の家屋では土足でないが、カバンだけが土足になっているということだ。特にローラー付きのピギーバックのローラーは路上を転がしてくる間に、乾燥した糞や痰の上を通過しており、これを殺菌しないと、家の中は不潔となる。

 ローラー部分と地面に接する脚部先端を殺菌するために、以前はトイレ用の便座殺菌スプレーを使っていたが、今は「クレベリンスプレー」(大幸薬品)で、帰宅時に玄関先で、ローラーと脚部に殺菌薬をスプレーしている。飛行機内では液体の持ち込みができないために、除菌用アルコールティシュ(和光堂)を持参。これは機内で手を拭くのにも便座の洗浄にも使っている。JCBのゴールドカードを持っていると、JCBの空港カウンターで、この殺菌ティッシュを1個くれる。いつももらっておく。

ts_spray.jpgts_tissue.jpg クレベリンスプレー(左)と、液体の持ち込みができない機内で重宝する除菌用アルコールティシュ(右)


 ただこれだけ頑張っても、たぶんパンデミックを防ぐことは不可能かもしれない。みなさんが無事に生き延びられることを願っている。本コラム担当の鬼編集者は、ウイルスも避けて通るはずで、彼は何があっても一人生き残るだろう。そして、知らずに一人夜中まで仕事をしているだろう。

今回の教訓

 どうせなら倒れたい――。(担当編集者談)


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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