モノではなく情報をアラフォー起業家の“継続拡大”人脈術

ちょっとしたお土産ならいいかもしれないが、高価なもののやり取りは精神的な負担になりかねない。私は「役立つ世間話」を心がけている。

» 2009年07月08日 08時30分 公開
[加藤恭子,Business Media 誠]

 人との良好な関係を築くときに、金銭や価値のあるモノの授受は負担に感じることもある。旅行に行った時などに、ちょこっと買ってくるお土産ならいいかもしれないが、高価なもののやり取りは「モノをくれる人」としての印象が残るだけになる危険性もあるし、残念ながらそれは「長期的に良好な人間関係」ではないような気がする。お中元お歳暮だと、形式的であるし、またやめるタイミングも難しくなってしまう。

 私も、ちょっとしたお土産をあげたりするのはときどきやるのだが(自分もよくもらったりしてうれしい)、それ以外には「情報」をあげることが多い。とはいっても、何かマル秘のネタを暴露するわけではないし、噂話を流すわけでもない。そんなことをしたらかえってこっちの人間性が疑われてしまう。伝えるのは、相手が興味を持ちそうな情報で、相手がまだ知らないと思われることである。「役立つ世間話」とでもいえばいいだろうか。

 例えば、私は広報の仕事をしているので、記事にしてもらいたいネタを記者に伝える。だが、それだけでなく、これを知っていたらさらに役立ちますよというプラスアルファの情報や、ネタの卵となるような情報もお伝えするようにしている。

 それから、何かおもしろいなあということに出会ったとき「あの人に伝えたらどうだろうか?」と相手の顔が浮かんだら、その人に会ったときなどにさりげなく伝えるようにしている。

 あまり難しく考える必要はない。公にできる例であまりよいものが思いつかないが、グルメな人にはおいしいお取り寄せの情報――などである。「すでに親しい人」の場合、もう相手のことが分かっているので、ある程度の高い精度で、相手が喜ぶ高い情報を伝えられる。「これから親しくなりたい人」に「情報」を伝える場合、まだ相手の興味関心がよく分からないので、伝えた情報に関心を示してもらえないことがある。そんな場合は少しづつ軌道修正していけばいいと思う。

 私の場合、新しい広報の手法や見逃していた流行りもの、最新の化粧品やサプリの話、グルメ情報、面白い会社の情報、興味深い本や漫画の情報などがもらえたりするととてもありがたい。

 「情報を提供してあげている」的な「押し付け」の発想ではなく、ご興味を持ちそうなのでお伝えしたい、というスタンスが大事。だけども、しつこく、長く、繰り返しになってしまうとスパムストーカーなどの迷惑行為に直結してしまうのでバランス感覚が重要だ。

 また、とりあえず持論を言ってすっきりしたいというような目的を履き違えた行動にも気をつけたい。持論の解説や求められていないアドバイスをするということではないのである。それだと相手を不快にさせ、自分だけが満足することになる。

 以前、自称マーケティングの専門家という、転職活動中の方から、どう考えても私が実践しているBtoBのマーケティング手法に当てはまらない独自の意見を延々と説明されて困ってしまった経験がある。その人が独自で作ったというマーケティングを表した図というのも渡された。相手は、思っていたことを吐き出したのですっきりした様子だったが、相手が望んでいないのに、これでは行き過ぎである。

 さて、これから親しくなりたい人は、何に興味を持っているのだろうか?また、今の知り合いに何か伝えたいことはないだろうか。是非、連絡を取ってみてほしい。

著者紹介:加藤恭子(かとう・きょうこ)

 IT誌の記者・編集者を経て、米国ナスダック上場IT企業の日本法人にてマーケティング・広報の責任者を歴任。外資系企業ならではの本社へのリポートの方法や、離れた地域にいる国籍の違う同僚とのコミュニケーションを通じて、効率よく実施する仕事のノウハウを高める。現在は、その経験を生かし、IT企業・組込み系システム企業のマーケティング・PR(広報)のコンサルティングを行うビーコミの代表取締役として活動。日本PR協会認定PRプランナー。

 日経BP社、翔泳社、アイティメディア、ダイヤモンド社、アスキーなどで連載や記事も寄稿。インターネットを活用したコミュニケーションも研究しており、複数の学会などでブログコミュニケーションやネットPRに関する発表をしているほか、「CGMマーケティング」(伊地知晋一著、ソフトバンククリエイティブ刊)の編集協力も務めた。青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。現在は某大学院の博士課程に在籍し、引き続きコミュニケーションを勉強中。


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