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» 2012年03月28日 08時15分 UPDATE

ソーシャルメディアガイドライン:コカ・コーラに学ぶ、SNSの企業ガイドラインに必須の9項目

ソーシャルメディア企業利用で必要となるガイドライン。先進企業を見るとその内容は過去に起きたネット事件や過失による情報漏えい事故、知識不足によるコンプライアンス違反を基に作成しているようだ。

[ソーシャルメディアリスク研究所,田淵義朗]
SOS総務

 前回に続き、ソーシャルメディアガイドライン(ポリシー)は、何のために作る必要があるのか。策定目的とは何なのか。作るとすれば、どういう点に注意して作ることが大切か。ソーシャルメディアを活用するに当たって企業として準備しておくべき、ソーシャルメディアのガイドラインの作成方法や必須項目、効果的に管理・運用していくための広報や教育のポイントを解説する。

ガイドラインに盛り込む必須項目

 ソーシャルメディアの特質性からガイドラインの作成に当たって、表現は異なれども必ず盛り込むべき項目がある。

 これらは、過去に起きたネット事件や過失による情報漏えい事故、知識不足によるコンプライアンス違反が基になって作られている。その項目を見てみよう。


番号 項目 内容
1 個人情報・プライバシーの保護 顧客(消費者)の個人情報について、利用、収集、保管方法など、関係法令(個人情報保護法やプライバシー侵害等の不法行為)を順守すること
2 機密情報や知的所有権の保護 会社の機密情報を第三者に漏らしたり、ネット上に公表することを禁止する。知的所有権に関する情報、営業秘密(不正競争防止法)の公開禁止
3 第三者の権利の尊重と保護 他人の著作権や肖像権、商標権、コンテンツの二次利用について、関係法令を順守すること
4 透明性の確保 ソーシャルメディア上の議論をコントロールする(金銭を払って口コミを作る)などの、やらせ行為(ステルスマーケティング)の禁止。製品サンプルを含む物品、金品、サービスの提供をした(受けた)場合、その事実を明記すること
5 誹謗中傷の禁止 特定の個人や集団への侮辱、名誉棄損、差別的表現の禁止。特定の思想、信条、宗教、政治等に関する攻撃的、差別的、排他的表現を差し控えるなど
6 非難を受ける技術利用の制限 マルウェア、スパイウェアなどを使用して、ソーシャルメディアマーケティングに利用することの制限または禁止。また、こうした使用を推奨する組織やWebサイトへの非協力の表明
7 自己責任の明確化 個人利用のソーシャルメディア(ブログ、Twitter、SNSなど)での発言に対する自己責任の明確化と、所属する企業と何ら関係のないことの表明
8 第三者へ敬意を払う傾聴の態度 コミュニケーションの目的を明確にし、第三者とソーシャルメディアを通して有益な情報提供や交換を行うこと。同時に相手のいうことに耳を傾ける傾聴の態度で接すること。社会における会社のサービスや製品に対する評価を、身近に知ることができる機会を得ていることを自覚する。発信だけではなく、傾聴こそが重要であることを認識する
9 デジタルツールとしての特質の理解 一度ネット上に出た情報は、瞬時に伝達され、取り消すことができない性格のものであることを理解し、表現や記述には細心の注意と慎重な態度で臨むこと

 以上がガイドラインの主な基本項目として設定される。これらをどう表現するかは、各企業の文化や商品、サービス形態、日ごろ使用している社内言語に翻訳し、第三者にも分かりやすい表現で作成することが肝要だ。例として、日本コカ・コーラの「ソーシャルメディア活動においてコカ・コーラが掲げる五つの基本的価値観」は参考になるので、ここに掲示しておく(出典:日本コカ・コーラ「コカ・コーラシステムソーシャルメディアの利用に関する行動指針」〜2:【ソーシャルメディアに関するコカ・コーラからのコミットメント】より抜粋)

ソーシャルメディア活動においてコカ・コーラが掲げる5つの基本的価値観

1)透明性の担保

ソーシャルメディア上での議論の流れをコントロールすることを目的とした、疑似ページの制作や投稿メッセージの送信は行いません。コカ・コーラが管理する全てのWebサイトやファンサイトは、コカ・コーラの管理である旨を周知いたします。また、これらのページには、サイトが適切に運営されているか否かの状況を追跡・確認するための権限を、適切な内部プロトコルに準じて付与します。またブロガーやユーザーに対して、製品サンプルなどを含む物品、金品、サービスを提供したり、イベントに招待したりした場合、彼らのブログにおいても、その旨を記載していただくよう依頼するとともに、その履行状況を確認します。

2)消費者のプライバシーの保護

あらゆる個人情報( Personally Identifiable Information )については、収集形態・保管方法・用途など、あらゆる面で慎重でなければなりません。これらは全て、個人情報保護方針や関連法規に従います。

3)第三者の権利の尊重

ユーザー生成型のコンテンツを含め、ソーシャルメディア領域においても、著作権、商標権、肖像権など第三者の権利を侵害することなく、尊重します。その検証や履行確認に当たっては、各ユーザーの置かれた状況の違いを考慮しながら、部門横断的なチームで、適切な判断を行います。

4)技術利用に対する責任

過剰な追跡ソフトウェアやアドウェア、マルウェア、またはスパイウェアの使用を推進する組織やWebサイトには一切協力しません。

5)傾聴と事例の活用

インターネットコミュニティーでの議論に耳を傾けるとともに、本行動指針が常に最新の関連法令を順守し、かつ適切な行動基準を反映したものとなるよう、万全を期します。


 次回は、ソーシャルメディアガイドラインを作成する際に役立つチェックリストを取り上げる。

執筆者プロフィール

田淵義朗

1956年神戸生まれ。中央大学法学部法律学科卒。友人の弁護士とNIS(ネット情報セキュリティ研究会、現ソーシャルメディアリスク研究所)を設立。現在は危機管理・情報セキュリティコンサルタント。社団法人情報セキュリティ相談センター理事長も務める。著書に『スマートフォン術 情報漏えいから身を守れ』(朝日新書)

Faecebook【会社】:https://www.facebook.com/Mediarisk

Facebook【個人】:https://www.facebook.com/ytabuchi


『月刊総務』2012年3月号 「進化するSNSを上手に活用するための企業におけるソーシャルメディアガイドライン」より


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