時間は平等? 不平等? 時間の使い方が人生を変えていくRe:Work !(2/2 ページ)

» 2012年07月19日 16時00分 公開
[三河賢文Business Media 誠]
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「余り時間」で、家族との時間を作り出した

 私の場合、余り時間は平日で3時間ほどだった。休日ともなればつい余分な睡眠を取ったり、ダラダラと過ごしてしまっていた。時間があると分かれば、あとはどう過ごすのかを選ぶだけだ。私の場合は、まず家族との時間として使うことにした。妻との「ワイン会」は、非常に分かりやすい例といえるだろう。

 子どもたちが寝た後、赤ワインを飲みながら日々の出来事をお互いに語り合う。主に私は仕事のこと、妻は私の知らない昼間の子どもたちの様子などを話すのだ。

 私にとって家族と過ごす時間は貴重だし、妻としっかり向き合う時間は大切である。ワイン会をするようになって、それまでいかに会話が少なかったのかを痛感した。今でこそ私は自宅で仕事をしているが、会社員のころは家庭内でのコミュニケーションがなかなか取れずにいたのだ。「余り時間」を見つけることでこそ、得られた時間といえるだろう。

 また残業がなくなった分だけ早く帰宅するようになり、子どもたちとの時間も増えた。それまでは帰宅すると既に子どもたちは寝ていることも多く、起きていたとしても遊んだり会話したりできるのは1〜2時間程度。早く帰れば、当然ながらそれだけ長い時間を一緒に過ごせるというわけである。

自己研鑽の時間が増え、その結果として独立した

 もう1つ大切に考えていたのは、自己研鑽である。ビジネスマンとして、あるいは人としてさらに成長するということ。そのために、以下の時間を生み出すことにした。

  • 読書
  • 勉強
  • 本業以外の仕事

 そのために、まず自宅へ書斎を構えた。そこに座れば、自然と集中できる環境だ。机とパソコン、本棚。あとは事務用品など以外に何もない。時間が空いたら、ダラダラしてしまう前に書斎へ行く習慣をつけた。

 本は年間100冊読めたし、興味のあるWeb関連の知識も独学ながら学べた。新卒で人材エージェントへ就職したのだが、私は営業と兼務で自社サイトの運営担当も経験している。この経験ができたのは、仕事外でこうした勉強の時間を得られたからだろう。学んだ知識をアウトプットして、当時その担当だった上司に必要としてもらうことができた。そして自社サイト運営の経験をもとに、私はWeb業界へ転職することになる。

 また私は学生時代からフリーライターをしていたので、その活動時間も増やした。転職したWeb系企業は「副業OK」だったので、会社へ申請を出して第二の柱としてしっかり取り組めたのは幸いだった。

 本業とライター業を兼務することで、自分のキャパが広がるのを感じた。それと同時に、私の独立意欲は加速的に増していった。そんなタイミングで現在も取締役を務めるエヌ・ティー・シーから声を掛けられ「法人設立」という貴重な経験を得ることになる。自分でビジネスを起こすことの可能性と楽しさをわが身で経験することで、ナレッジ・リンクスとして独立することを決意したのだ。

 副業として仕事をすることで、仕事ができる環境は既に整っていた。そして何より、限られた時間の中で「今やらなければ、いつできるか分からない」という意識が働いていたのである。資金やクライアントの目途もない状態ではあったが、迷いはなかった。

 しかし以前と変わらぬまま毎日を過ごしていたら、恐らく私はまだ会社員で、こうして「Re:Work!」を書くこともなかっただろう。時間意識を変えて行動したことが、今の私につながったのだ。どちらが良かったかと言えば、今はとても充実して楽しい毎日を過ごせている。

時間は自分のもの!

 こうして過ごしている「時間」は、誰のものでもない。自分のものだ。そして時間は、勝手に流れていく。戻ることも、止めることもできない。1日に与えられた24時間は誰しも平等だが、人生という時間は平等ではない。しかし私たちは「時間をどう使うのか」という自由を持っている。

 毎日をどう過ごすのかは、個人の自由だ。「今のままで良い」と思うのであれば、何も変わる必要はない。しかし少しでも不満があるのなら、時間の見方・使い方の意識を変えてみてほしい。まるで1日が36時間あるかのように、同じ時間の中で「できること」がどんどん増えていく。そこから、新しいチャンスが生まれるかもしれない。

 上手くいかないことを、時間のせいにしてはいけない。なぜなら、時間は自分のものなのだから。一流のアスリートが、結果を出せないことを靴やウェアなどのせいにするだろうか。「自分の力が足りない」と受け止め、工夫・努力を続けるからこそ、彼らは一流なのである。

 最近では、スマートフォンやタブレットなど便利なツールが生まれ、パソコンも小型・軽量化している。こうしたツールは、やはり時間を生み出すために重要なポイントとなるだろう。しかし「手に入れた」だけでは、何も変わらない。その恩恵を受けるためには、使いこなすことが大切だ。

 次回は、この使いこなしについて少し紹介したい。活用方法は各個人の環境・状況によって最適なものが異なるが、まずは一歩を踏み出すためのスタートラインが示せればと思う。

著者紹介:三河賢文(みかわ・まさふみ)

 1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。



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