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「R2-D2」と登場した業界の革命児 これがハイアールの目指す新時代の家電だ家電業界の孫正義?(1/3 ページ)

» 2015年06月02日 20時50分 公開
[村上万純ITmedia]
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 「家電という漢字は嫌い。我々は価値や可能性を伝える“価伝/可伝”メーカーでありたい」――ハイアールアジアの代表取締役社長兼CEOの伊藤嘉明氏は、6月2日に開催された戦略発表会でそう語った。

 同氏は何度も「業界に革命を起こす」と強調し、これまでの家電業界の常識を覆すような商品やコンセプトモデルなどを続々と発表した。途中、映画「スター・ウォーズ」に登場する、実物大の「R2-D2」デザインの冷蔵庫がステージに登場し、記者たちの視線を独り占めしていた。

photo ハイアールアジアの代表取締役社長兼CEOの伊藤嘉明氏©& Lucasfilm Ltd.

 直近では、これまでコンセプトモデルとしてお披露目されたオゾンで衣類を洗うエアウォッシャー、冷蔵庫用付け替えカバーのほか、使いやすさを考慮して洗濯槽を手前に傾けた全自動洗濯機などが発売される。どの商品も、アジアに向けて「AQUA」ブランドの躍進を夢見る伊藤氏の一貫した考えに基づいて開発されたものだ。

photo 何度も強調された「革命」という言葉

現代に見合った新しい三種の神器を作る

 ハイアールは中国資本の大手家電メーカー。ハイアールアジアは旧三洋電機の事業体をハイアールが引き継ぐ形で2012年1月に設立されたもので、日本を含むASEAN諸国を管轄している。2014年に三洋電機時代から数えて15年ぶりの黒字化を達成。埼玉県熊谷市に70億円強を投資した研究開発センターを設立するなど、今は中長期計画を達成するための投資フェーズと捉えているということだ。

 1月14日に開催された発表会で「自分は新参者。なので、“よそ者、若者、ばか者”にしかできない、まるっきり新しいことをしたい」と話していたように、今回も業界の常識にとらわれない商品が登場。「日本発のテクノロジーでアジア、世界へと進出する」と「日本覚醒」を掲げる。伊藤氏は「昭和30年代は三種の神器がライフスタイルを変えたが、生活価値が変わった現代で同じことをしても意味がない。日本の家電メーカーもほぼ全滅状態で、これまでと同じものを作る時代は終わったことが分かる。新しい三種の神器を作りたい」と意気込みを語る。

1.家電を利用した新しいビジネスモデルの構築

2.既存分野でのイノベーション

3.家電の嗜好(しこう)品化

 上記の3分野を基本戦略に据える方針はそのままに、「ユーザーに提供できる価値は何か」という視点から、既存ジャンルにとらわれない各製品の詳細を明かした。いずれの製品にも、「今ある悩みの解消」や「こんなものがあったらいいな」という思いが根底にあるという。

photo ハイアールアジアの3戦略

「冷蔵+エンタメ」 Wi-Fi搭載の冷蔵庫「DIGI」は2015年内に登場か

 Wi-Fiを搭載する液晶ディスプレイ付き冷蔵庫「DIGI」(仮称)は、サイズや用途が異なる3種類を用意。Android OSを搭載し、冷蔵庫内の食品の賞味期限を画面で表示したり、残量が少ない食品をそのままECサイトから注文したりする機能や、今ある食材で作るおすすめレシピを表示する機能、遠くに住む家族がドアをいつ開閉したかを記録する見守り機能などをスマートフォンアプリと連携して使えるようにする。これにより、買い物に行く時間や献立に悩む時間を省く。

photophoto Wi-Fiを搭載する液晶ディスプレイ付き冷蔵庫「DIGI」(左)。これまでマグネットで貼り付けていた紙をデジタル化して管理できる(右)

 4つのパネルを組み合わせた横長モデルはインテリアとしてリビングに置くことを想定している。「これは黒物家電と白物家電どちらなのかと問われることもあるが、冷蔵庫は必ずしもモノを冷やすだけでなくてもいい。IoT(Internet Of Things:モノのインターネット)時代の冷蔵庫として、エンターテインメントの価値を付与した」と伊藤氏は説明する。

 まだ参考展示のため、詳しい仕様や価格などは未定だ。

photo 4つのパネルを組み合わせた横置きタイプの冷蔵庫
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