インタビュー
» 2009年10月05日 20時10分 UPDATE

デザイナーに聞く「PLY」:こだわりは分からなくていい――神原氏が「PLY」に込めた“層”の意味 (1/2)

iidaの新機種「PLY」は、“積層”という意味が示すとおり、積み重なる色で構成されたデザインや、各層にちりばめられたタブが目を引く。“層”を採り入れた意図や目に見えないこだわりなどを、デザイナーの神原氏に聞いた。

[田中聡,ITmedia]

 作り手の視点を考えると、物作りのこだわりはユーザーに理解してほしいもの――と思いがちだが、必ずしも当てはまるわけではない。「PLY(プライ)」をデザインした神原秀夫氏の考えも同様だ。同氏はなぜケータイに“層”を採り入れたのか。そしてPLYの目に見えないこだわりとは――。

photophoto iida端末の「PLY」。ボディカラーはbrown、pink、blackの3色

2〜3年前ならこのデザインはできなかった

photo 電通 第1クリエーティブ局 アートディクター/プロダクトデザイナー 神原秀夫氏

 神原氏はPLYのデザインを担当するにあたり、「過去のケータイが積み上げてきた歴史に何を積んでいくべきか」を考え、その答えを層という形で具現化させたという。「ここ2〜3年でデザインを重視したケータイが多数登場しましたし、色のバリエーションも増えました。今このタイミングでケータイをデザインできることに喜びを感じています。2〜3年前ではこのデザインはできなかったでしょう」と同氏は話す。

 一方で神原氏は、「言い方は悪いですが、このデザインはある意味で“逃げた”のかなとも思います」と話す。「今までケータイが積み重ねてきたデザインをこの形に落とし込んだので、過程をデザインしたともいえます。ここにまた新しいデザインが加わってくるので、数年後には違う回答(デザイン)になるでしょう」。PLYのデザインも、今後ケータイが積み重ねる歴史を考えると、1つの層だといえる。

 各層の側面に施されたタブキーもPLYの個性を演出している。このタブキーは「最初からイメージしていたわけではない」という。「商品の制約や市場の動向が影響し、必ずしも自分が欲しいものをデザインできるとは限りません。しかしPLYはシンプルに、自分が欲しいものを作ろうという思いでデザインしました」と同氏が考える中でタブキーが誕生した。“自分が欲しいデザイン”の指標(の1つ)は「人に言葉で説明できること」が神原氏の考え。「PLYには層とタブがあるので絵にしやすい。つまり説明しやすいデザインだと思います」

6層から5層に変更した真相

photo 各層の間には0.5ミリの黒いパーツがある

 PLYを見て改めて驚かされるのが、5層が“均等に”並んでいることだ。さらに、各層の間に黒いパーツを入れており、このパーツの幅(0.5ミリ)も均一となっている。したがって、PLYの層は厳密に言うと5+4の計9層になる。黒いパーツを入れたのは、2層目(ディスプレイ側)と3層目(キー側)の隙間を目立たなくすることと、「5色を引き立たせるため」(神原氏)。「異なる色が隣り合うと“ぼやっ”とするので、層の間に黒を入れました」

 「上筐体と下筐体の厚さは必然的に決まってくるので、その中で均一な層を作るのは難しかった」と神原氏が話すように、層の配置については、メーカーの東芝とのやり取りも難航を極めたようだ。「最初はどうなることかと思いましたが、次第に『ここは無理』『ここはもう少し頑張ってくれそう』といったことが肌で分かるようになりました(笑)」

 ちなみに、2008年7月に発表されたPLYのコンセプトモデルは6層(ディスプレイ側2層:キー側4層)で構成されていたが、製品版では5層(ディスプレイ2層:キー側3層)に変更された。KDDI サービス・プロダクト企画本部 プロダクト企画部 プロダクト企画グループ 主任の堀田久美氏によると、「ボディバランス的にキー側を重くしたかったことと、タブが薄くなると強度が落ちること」を考慮して変更したという。とはいえ、PLYの厚さは約14.5ミリ。同じくiidaのスライド端末「G9」の17.4(最厚部18.1)ミリと比べても分かるとおり、現行のスライド端末としては薄型といえる。

photophotophoto 左から1つ目が1層、2〜3つ目が2層、4つ目が3層、5つ目が4層、6つ目が5層のパーツ(写真=左)。2層目のパーツ(写真=中)と4層目のパーツ(写真=右)
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