iPhone導入でドコモが強調するもの/GALAXY Note 3の新しさ/イー・アクセス LTE実証実験の狙い石野純也のMobile Eye(9月17日〜27日)(3/3 ページ)

» 2013年09月28日 23時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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イー・アクセスが20MHz幅で実証実験、割り当ての優位性もアピール

 イー・アクセスは9月18日に、8月から香川県高松市で行われていた実証実験の結果を公開した。同実験は、新たに割り当てが計画されている1.7GHz帯(バンド3)の5MHz分を合わせた、合計20MHz幅を利用したもので、「実に3年前から、周到に準備を進めてきた」(取締役名誉会長 千本倖生氏)という。

photophoto 1.7GHz帯の追加割り当てについて意気込みを語る千本会長。同社に割り当てるメリットは写真のように3つあるという

 仮にこの5MHz幅がイー・アクセスに割り当てられれば、「ただちに100Mbps以上の高速サービスを利用できるようになる。もちろん端末の買い替えは必要ない」(千本氏)。「ドコモさんと20MHz幅対20MHz幅で、イコールフッティング、公平な周波数環境のもとで競争が活性化する」(同)というのが、同社の主張だ。「もしF0(割り当て予定の5MHz幅)をいただければ、どんな速度が出せるのか」(代表取締役社長 エリック・ガン氏)というアピールの意味合いもある。

photophotophoto 実験結果を公開したのは、エリック・ガン社長。実験は、3つのパターンで行った

 イー・アクセスは、20MHz幅を連続して使った場合と、10MHzと10MHzをキャリアアグリゲーションで使った場合、連続して使い4×4のMIMOを導入した場合の3つを実験結果として公開。それによると、下りで20MHzを連続して使うと平均147.4Mbpsを出せたのに対し、キャリアアグリゲーションだと141.0Mbpsに留まった。また、4×4のMIMOを導入した実験では、下り最速で291Mbpsが実現できたという。同社はすでに「Category 4」に対応するモバイルWi-Fiルーターやスマートフォンを投入しているが、その端末の1つであるHuawei製の「STREAM X」でも「140Mbpsの速度が出せる」(ガン氏)。

photophoto 連続した20MHz幅を利用した方が、周波数の利用効率が高いことをアピール
photophoto 4×4のMIMOを利用すると、最速で291Mbpsの速度が出た(写真=左)。実験にはガン社長自らが立ち会い、速度を測定した(写真=右)

 ただ、同社の1.7GHz帯は、3Gの音声通話にも利用している。これについてガン氏は、「一番悩んでいるところ」と胸の内を打ち明ける。イー・アクセスのユーザーは「音声よりデータ(通信)が圧倒的に多い」(同)というのが実情だ。そのため、「移行計画は2つある。LTEのエリアが3Gと同等程度のカバーになれば、移行してもエリアは落ちない。2つ目として、VoLTEで、3Gの音声を利用している人を移行する形もある」と話し、将来的には、3Gの提供をやめ、20MHz幅すべてをLTEに振り分けたい意向があることを示唆した。現在、イー・アクセスは3Gの音声通話にソフトバンクのネットワークを利用しているが、これを活用して3Gを残す可能性もある。

 確かに以前から1.7GHz帯の追加割り当てを主張してきたイー・アクセスだが、同社は2013年1月にソフトバンクグループの傘下になっている。その後、ソフトバンクがイー・アクセスの1.7GHz帯を利用した「ダブルLTE」を導入したり、逆にイー・アクセスがソフトバンクの3Gで音声通話を提供したりといった、ネットワークの相互活用が進んでいる。

 質疑応答では、グループとして十分な帯域を持っている以上、そちらを先に活用する道もあるのでは? という質問もあった。これに対してガン氏は、「ソフトバンクもいろいろな帯域を持ってはいるが、既存の端末を変更しなければ(周波数が異なるため)75Mbpsまでが限界。(イー・アクセスは)450万のお客様を獲得できているが、そのお客様に厳しくなる。端末を交換してもらえば別の周波数を利用できるが、現実的ではない」とコメント。

 ソフトバンクとイー・アクセスの帯域を使ってキャリアアグリゲーションを活用する方法についても、「グループだが、あくまで別の会社なので、設計、調整はすぐに実現できない」と否定的だ。あくまで可能性の話だが、ソフトバンクグループというくくりで見られると、旗色が悪くなる恐れがあり、3年前からの準備が実を結ばなくなる――イー・アクセスがあくまで単独の会社として実験結果を積極的にアピールしているのには、こうした事情もありそうだ。 

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