中国移動が大々的に4G LTEをアピールする中、シェア2位の中国聯通(China Unicom)と3位の中国電信(China Telecom)も相次いでTD-LTE方式による4G LTEサービスを開始した。中国電信は2月14日、中国聯通は3月18日からサービスインとなり、これで中国は3事業者すべてがTD-LTEを提供する「4G LTE時代」に本格的に突入したことになる。
だが、各社の戦略を見ると、国策によるTD-LTE普及という使命も帯びている中国移動に対し、中国聯通、中国電信の動きはまだ「様子見」といった感が強い。この2社は、4G LTEの本命をまだ免許交付を行っていないFDD-LTE方式と考えていることから、TD-LTE方式の導入と拡大については中国移動の動きを見ながら追従していくのだろう。
とはいえ、中国聯通は中国移動の4G LTEサービスに対抗する姿勢を見せている。まず、スマートフォンの料金プランを中国移動の4G LTEより1割程度安く抑え、3Gとのプラン両立化により「高速回線が常時利用可能」な点をアピールする。
加えて、契約時に120元(約2000元)を追加で払うと、毎月30元を12カ月間基本料金に返金するキャッシュバックシステムも取り入れた。120元を払うだけで360元が戻ってくるわけで、合計240元がまるまる得になる計算だ。支払いに余裕のあるユーザーには、契約時に240元を支払うと60元×12カ月=720元のキャッシュバックになるプランも用意している。
このような基本料金への返金は、プリペイド契約が一般的な中国ではすでに提供していたが、4G LTEサービスではそのキャッシュバック金額をこれまでより増額している。
料金プランでは、3Gサービスにおいて通話メイン、スマートフォンでデータと通話メインなど、利用実態に合わせて「Aプラン」「Bプラン」「Cプラン」と3種類の基本料金体系を提供していた。4G LTEサービスではこれを一本化し、スマートフォンの利用に特化したプランとしている。さらに、データ料金は超過分を「1Gバイトあたり60元」とし、スライド式に1Gバイトごとに追加で課金する。課金上限も1カ月あたり600元、40Gバイトとし、その時点で当月のデータ通信は停止(翌月に自動再開)する。これは、データ通信の使い過ぎによる課金の青天井化を防いでいる。
中国聯通も4G LTE対応の端末は人気のモデルを中心にそろえている。サムスン電子のGALAXY S5、GALAXY S4、GALAXY Note 3、HTC One Max、Xperia Z1などハイエンドモデルが中心だが、いずれも中国で人気だ。GALAXY S4は、3G版も販売しているが、4G LTE版でも価格を同程度とすることで4G LTEへの移行を促している。サービスが始まってからまだ1カ月ということで、製品のラインアップは少ないが、今後は中国メーカー品を中心に数を増やしていくだろう。
中国聯通の4G LTEに対応する1000元スマートフォンはまだ出てきてはいないものの、中国メーカー各社がすでに中国聯通向けのTD-LTE/W-CDMA対応モデルを開発中だ。5月には低価格な製品も出そろっているはずだ。4G LTEの契約獲得に低価格なスマートフォンは必須なので、この価格帯では製品の数も増えるだろう。
ただし、その一方で、中国聯通が取り扱うiPhone 5sとiPhone 5cは、同社のTD-LTEで利用できない。そのため、中国移動と同様にiPhone対応を大きく訴求できないのが営業面での足かせとなってしまっている。
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