“高度な情報戦”を支えるソフトバンクの“黒子”基地局車の新技術――冬コミに出動

» 2014年12月26日 16時30分 公開
[村上万純,ITmedia]

 東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケットにNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルのキャリア3社が混雑する電波対策として移動基地局車やWi-Fi機材を背負ったスタッフを投入することがもはや風物詩と化しているが、12月28日〜30日に東京ビッグサイトで開催される「コミックマーケット87」でもやはり同様の対策が実施される。ドコモはブラウザゲーム「艦隊これくしょん」、KDDIは「デュラララ!!」、ソフトバンクモバイルは「黒子のバスケ」のラッピングを施した“痛車”風基地局車をそれぞれ出動させる。

photo ソフトバンクモバイルの移動基地局車

 そんな中、ソフトバンクモバイルはコミックマーケット87で新たにFWA(Fixed Wireless Access)と呼ばれる無線方式を採用する通信設備を、バックボーン回線として搭載。50万人近い人が集まる大イベントとあって、基地局車数も5台が用意され、「通常、夏や年末年始のイベントで出動するのは1台で、多くても2台」(ソフトバンクモバイル 保全運用本部 東京ネットワークセンター 基地局保全課 加治英憲氏)で、5台という数が出動するのは異例だという。

photophoto 電波対策を担当する加治英憲氏(写真=左)と黒川彰男氏(写真=右)

 ソフトバンクモバイル アクセスソリューション部 モバイル伝送ネットワーク部 黒川彰男氏は、「これまで有線の光ファイバーを引っ張っていたが、移動基地局車を出動するたびに設備を整えるのにコストがかかる。FWAなら伝送路を準備する手間や時間を省ける」と話す。FWAは「見通し通信」(黒川氏)で、親局が見える位置に配置しないと意味がない。親局に向きを合わせると速度やつながりやすさなどが最高の品質になるとされており、黒川氏によると「人力で向きを調整すると1〜2時間かかるが、今回は自動方向調整機能を備えており、5〜10分で最適な向きを見つけることができる」という。

photophoto このひし形のものが、FWAで電波を受信する(写真=左)。親局との間に遮へい物があると通信がうまくいかない(写真=右)

 黒川氏はFWAを採用した理由についても言及。「通信方式は主に衛星、光ファイバー、無線の3つがあるが、衛星は帯域が細く、光ファイバーは手間とコストがかかる。無線は天候に左右されるものの、簡単に準備、運用できるのがいい」と説明した。帯域はソフトバンクテレコムが加入する26GHz帯を利用しており、他社のネットワークと干渉することもない。

 移動基地局車はワイモバイルを含むソフトバンクグループの対応周波数全てをまかなっており、「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」の発売を受けてトラフィックが増えたというAXGP(2.5GHz帯)の通信設備も新たに設置した。基地局車の一番上にあるアンテナポールに搭載された三角の機器が900MHz帯のプラチナバンドに、その下にある縦に細長いものが2.1GHz帯と1.7GHz帯に、手前にある大きい長方形のアンテナがAXGP(2.5GHz帯)にそれぞれ対応する。そのほか、Wi-Fiアンテナを備える基地局車も用意している。

photophoto アンテナポールの上にあるのが900MHz帯用アンテナで、そのすぐ下にある縦に細長いものが2.1GHz帯と1.7GHz帯に、ポール下の縦型長方形のアンテナがAXGP(2.5GHz帯)に対応。その横のひし形のものがバックボーン回線としてFWAの無線方式を採用している(写真=左)。移動基地局車の中(写真=右)
photo アンテナポールを伸ばした状態

 残念ながら黒子のバスケのラッピングは後日行うようで、まだ裸のままのクルマの写真しか撮影できなかった。黒川氏は「あくまで目的は快適な通信をサポートする電波対策」と話し、ラッピングによる宣伝よりもユーザーの“高度な情報戦”を全力で支援する姿勢を見せた。

photophoto Wi-Fiアンテナを搭載した移動基地局車も用意している
※初出時に「26GHz帯」を「2.6GHz帯」、「900MHz帯」を「800MHz帯」と記載していました。FWAの記述に誤りがありました。おわびして訂正いたします(12/27 13:57)。

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