インタビュー
» 2015年01月05日 18時00分 UPDATE

新春インタビュー:事業スピードを速めて「真のグローバル企業」を目指す――代表取締役COO 出澤氏に聞く 2015年のLINE(後編) (1/2)

LINEの次期社長にして、代表取締役COOの出澤剛氏に話を聞いていくインタビューの後編では、LINEが2014年に発表したコンセプト「ライフプラットフォーム」と「エンタテイメントプラットフォーム」についてひもといていく。

[神尾寿,ITmedia]

 スマートフォンの普及と歩調を合わせるようにして、急速な広がりを見せた「LINE」。コミュニケーションサービスとして、かつての“ケータイメール”に取って代わったLINEは、今後どのようなサービス展開とビジネスを描いているのか。

 前編に引き続き、同社次期社長にして、代表取締役COOの出澤剛氏に話を聞いていく。

LINEビジネスの“リアル展開”、その可能性は?

photo LINE 代表取締役COOの出澤剛氏

―― 2014年にLINEは多くの新サービスを投入しましたが、とりわけ重要視しているのはどのようなものになるでしょうか。

出澤氏 2014年、我々は「ライフプラットフォーム」と「エンタテイメントプラットフォーム」というコンセプトを発表させていただきました。

 その中でライフの分野でいいますと、フードデリバリーサービス「LINE WOW」は、通常では宅配をしていなかったり予約が取れないお店のお弁当を配達してくれるというもので、我々としても注力しています。プレミアムさで驚きを演出したかったために(取り扱い商品の)価格が高いというお声もいただいていますが、これは最初の切り口だからそうなったというだけです。我々がやりたかったのは、「短時間でのデリバリーサービス」というサービス領域なのです。これは将来的に伸びていく分野と考えていまして、今後はフードに限らず、さまざまな商品やサービスをデリバリーしていきたい。その手始めとして、LINW WOWには手応えを感じています。

photophoto 高級レストランの弁当を完全予約制、ランチ限定で配達する「LINE WOW」

―― LINE WOWは当初は渋谷区限定でスタートするなど、一般的なフードデリバリーサービスとの違いがユニークだったのですが、今後は対象エリアも広がっていくのでしょうか。

出澤氏 もちろん対象エリアを拡大していきますし、対象となる(商品の)領域も広がっていきます。オンデマンドデリバリーは今後の成長分野と考えておりますので、さまざまなものを配達していきたいですね。

―― LINEと相性のいいリアルビジネスという観点では、「Open Table」や「トレタ」がすでに事業展開しているような、飲食店のオンデマンド予約サービスにも可能性があると思うのですが、いかがでしょうか。

出澤氏 そのとおりですね。実は2014年11月から渋谷で「LINEいますぐ予約」という予約サービスの限定テストを行っています。これはLINE上から今すぐ入れるお店を探せるというものです。これが現在取り組んでいる店舗予約サービスなわけですが、「LINE@」でもお店トークという機能を実装して、お客様と店舗担当者が直接コミュニケーションして店舗の空き状況確認や予約を取ったりしています。このあたりは今、さまざまなトライアルをしている段階ですね。

 他方で、飲食店向けのメディアサービスはすでに多くの企業が参入していますから、そこでLINEならではの特徴を出さなければなりません。そのため、2015年早々にはLINE@のリニューアルを行いますし、(決済プラットフォームとしての)「LINE Pay」の積極的な展開を行っていきます。

―― LINE Payはかなり戦略的なサービスという位置づけですよね。

出澤氏 はい。今のLINEはコミュニケーションで人々のハブ(中軸)となっていますが、LINE Payによって今度は決済分野でもLINEが人々の生活のハブになっていく。そのための重要なサービスです。

photo LINEの友だち同士で送金ができる「LINE Pay」

―― LINE Payのユーザー間送金機能は新領域ではありますが、オフラインでのリアル店舗向け決済サービスではクレジットカードがありますし、日本では電子マネーの決済インフラも整備されています。かなり競争環境が厳しい分野ですが、そこでのLINE Payの優位性をどう打ち出していきますか。

出澤氏 繰り返しになりますが、(LINEは)「コミュニケーションを押さえている」ということです。まずLINE Payでは、LINEユーザー同士で気軽に送金ができますから、ここで“LINE Payを使う”という経験を積んでもらえます。それが店舗決済でも利用できるというのはハードルが低いと思います。

 また、LINE PayはLINE本体のアプリに内蔵されていますから、(決済専用の)アプリを導入しなければならないほかの決済サービスと比較して、ユーザーに使ってもらいやすい。実際、LINE Payをスタートしてから、予想以上のペースで開設数が増えています。LINE PayはLINEを母体にしていますので、(決済サービスを使う)利用者の母数を大きくしやすい。これは加盟店にとっても、LINE Payを導入する大きな理由になるでしょう。

―― 確かにLINEはスマホを使ったコミュニケーションのデファクトスタンダード(事実上の標準)になっていますから、そこからの分断を少なくし、スマホ決済サービスのハードルを低くできるのは強みですね。

出澤氏 また、2015年は加盟店向けの施策も積極的に展開していきます。まだ詳しくはお話しできませんが、多くの店舗にとって「LINE Pay加盟店になるメリット」を打ち出していく。単純に販売を積み上げるだけでなく、新しい購入体験を実現するようなサービスを提供できると思っています。

―― 非常にシビアな見方をしますと、決済サービスは加盟店にとって決済手数料の負担がかかる「コスト」にすぎない。その中で優れた決済サービスとして普及し、キャッシュレス社会を実現するためにはコスト以上のメリットを加盟店に提供しなければなりません。

出澤氏 そこではLINE@の成功なども、加盟店様にLINE Payの将来性を感じていただく要素になりますね。LINE@の加盟店は短期間で10万店舗を突破しており、「リピーターの獲得に貢献した」「新規顧客開拓に役立った」という(加盟店からの)お声をたくさん頂戴しています。またここで注目なのが、LINE@で手応えを感じていただいている導入企業が、大手のナショナルブランドだけでなく、スモールビジネスを営んでいらっしゃる方々にも多いということですね。

―― それはLINEの持つ“人々のコミュニケーションを押さえている”という要素が、O2O(Online to Offline)分野でかなり有利に活用されるという証左かもしれませんね。

出澤氏 そうですね。我々がスマートフォンによる大きな革命だと思うポイントはふたつあります。

 ひとつはスマートフォンの登場によって、インターネットの世界が変わったこと。ユーザーの情報との接し方が変わったのはもちろんのこと、ユーザーの行動そのものがスマートフォン時代になって変化しています。

 そして、もうひとつが今までインターネットの世界に入っていなかった領域が、スマートフォンによって(インターネットに)入ってきたということです。それが「リアル」の領域ですね。O2Oとカテゴライズするまでもなく、一昔前のPC以上の性能を持つスマートフォンを人々が携行するようになったことで、インターネットの世界がリアルと融合してきている。この(経済的な)規模はとても大きいわけです。

 こういったスマートフォン革命の本質は多くの人々が気づいているとおりであり、我々LINEがそこをどう攻めるかというと、やはり“コミュニケーションを軸に攻める”ということになります。

―― O2Oは多くの企業がチャレンジする段階にありますので、LINEの特性を生かしたサービスが新たな市場を作り、経済を活性化することに期待したいですね。

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