大手通販サイト「楽天」の打ち出した格安中の格安SIM、楽天モバイル。その革新的なスタイルのルーツも含めて紹介します。
楽天といえば、通販サイトから始まりプロ野球まで、様々な事業を手がけるグループです。同グループMVNO事業の楽天モバイルですが、「何でも売っている」楽天のイメージもあるためか「ブームに乗っかった格安SIM?」なんて思ってしまう方もいるのではないでしょうか。楽天モバイルの出自は意外なところにあります。
実は楽天モバイルの提供母体は楽天グループの中の通信事業会社「フュージョン・コミュニケーションズ(以下、フュージョン)」です。このフュージョンは面白い経歴を持った企業です。
最初にその名前が一気に知れ渡ったのは、長距離電話の自由化のときでした。いわゆる「新電電」の中の一社として名乗り出ましたが、そのときに打ち出したのが、当時としては革新的だった「全国一律料金」です。
当時はまだ珍しかった、IP電話基盤を活用することで実現した全国一律長距離電話。フュージョンはその後、ここで培ったIP電話技術をベースに様々なIP電話サービスを開発します。
※現在も、月額基本料が無料のIP電話アプリ「SMARTalk」を提供中。
中でも注目を集めたのが、今でいうMVNO事業です。PHS網のアクセス部分だけを借り、電話交換の部分を自社のIP網で行うという新発想のFMC(Fixed Mobile Convergence、固定移動融合)サービスを提供が話題になりました。モバイル端末で050発着信ができ、料金も全国一律で最安クラスでした。
フュージョンは何度も買収話がもちあがるなど、決して安定した企業とはいえませんでしたが、とにかく「通信の安さ」を追求してきました。安さで負けたら存在価値はないというほどの意気込みを持った会社といえるでしょう。今でも、全く同じサービスなら、他社が値下げすれば必ずそれを上回る値下げを行っています。
このように書いてしまうと、「だったらやっぱり安かろう悪かろうなんじゃないか?」と思ってしまうかも知れませんがそんなことはありません。通信で一番難しい、無線ネットワークの部分はドコモ品質ですし、古くからIPベースのサービスを提供してきた実績もあります。
速度比較記事などでトップを飾ることはあまりありませんが、品質が悪くなったということも起きていません。仮に過渡期で品質が落ちることが時々あったとしても、MVNOの特徴として、利用者が増えるほど安定するようになっていきます。
楽天モバイルの強みは、高機能で多彩な端末。特に、ARROWS、AQUOS、LaVie、Xperiaなど、国内メーカーの高機能ブランドをそろえているMVNOは楽天モバイルだけです。
いまやトップクラスのグローバルブランドとなったHUAWEIやASUSなどの新興メーカーについても、ハイエンド端末はもちろん、端末も格安で十分という人のためのローエンド端末もそろえており、端末ラインアップはMVNOの中でも飛びぬけて豊富です。
フュージョン・コミュニケーションズの頃から「本当に利用者が求めているのは何か?」を起点にサービスや商品を作ってきたMVNOだからこそ、誰にでも、どんな使い方にでも、必ずマッチする組み合わせが楽天モバイルなら見つかりそうです。加えて、いつでも最安を目指すという姿勢は、常にミニマムコストを追求したい人にとっては魅力的な選択肢になるのではないでしょうか。
(文:記者M)
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