インタビュー
» 2016年06月13日 18時00分 UPDATE

なぜ携帯ショップがスマートフォンを作ったのか ピーアップ社長が「Mode1」に込めた思いを語る (1/2)

携帯ショップ テルルを運営するピーアップが開発したスマートフォン「Mode1」 なぜこれを作ろうとしたのかなど、さまざまな疑問をピーアップに聞いた。

[井上輝一, 井上翔,ITmedia]

 携帯ショップが開発したSIMロックフリースマホがあることを、ご存じだろうか。

 6月11日都内某所――そのイベントは開かれた。「第1回 Mode1と設計者を弄り倒す会」だ。Mode1とは、「総合デジタルショップテルル」という携帯ショップを運営するピーアップが開発したスマートフォンだ。携帯ショップといえばNTTドコモ、au、ソフトバンクなどキャリアの携帯電話を販売するところ。そこが自らスマートフォンを作って販売するというのは寝耳に水、青天のへきれき、「えっ、なんで作ったの?」「ていうか作れるの?」と感じる方が多いのではないかと思う。そういった声を受けて、今回ピーアップはMode1の開発経緯や込めた思いを説明するためこのイベントを開催したということだ。

「第1回 Mode1と設計者を弄り倒す会」 「第1回 Mode1と設計者を弄り倒す会」

Mode1ってどんなスマートフォン?

 イベントの内容に入る前に、Mode1の主要なスペックを紹介しておこう。ディスプレイは5型の1280×720ピクセル、プロセッサはQualcomm Snapdragon 410(1.2GHz 4コア)、メモリは1GB、ストレージは8GB、カメラはアウトが800万画素、インが200万画素、バッテリーは2300mAhだ。サイズは71.2(幅)×146(高さ)×7.9(奥行き)ミリで、重さは145グラム。そして、LTEはBand1(2100MHz帯)、3(1800MHz帯)、26(800MHz帯)、3GはCDMA2000とW-CDMAに対応することでLTE/3GともにNTTドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアで使用できる。

ピーアップの初スマートフォン「Mode1」 ピーアップの初スマートフォン「Mode1」

 さて、このスペックを見て読者の皆さまはどうお思いだろう。いろいろと感じるところはあるだろうが、やはりメモリ1GB/ストレージ8GBという部分が引っ掛かるのではないだろうか。例えば、同じプロセッサを搭載している富士通の「arrows M02」はメモリ2GB/ストレージ16GBだ。当然、長年携帯電話メーカーとしてやってきた富士通と初めてスマートフォンを作ったピーアップを同列で語ってはいけないが、スマートフォンという「モノ」を純粋に見たときに、Mode1のスペックが他に比べて見劣りしてしまうのも事実だ。

 というわけでMode1の概要をさらったところで、イベントの内容に入っていこう。

Mode1はピーアップの新たな挑戦

 まずは商品開発部課長の長峯誠氏からピーアップという企業について説明があった。

 「ピーアップというと携帯ショップのテルルのイメージが皆さん強いかとは思いますが、ピーアップはテルルという併売店以外にもキャリアショップや、モーターバイク事業、飲食事業、教育事業、人材育成事業など店舗ビジネスを得意として事業展開をしています。Mode1はそういった挑戦の中の『端末を作るということ』という新たな取り組みです」(長峯氏)

商品開発部課長の長峯誠氏 商品開発部課長の長峯誠氏

 現在189店舗を全国に展開し、併売店の中では全国1位のシェアを持つというテルル。都内でテルルというとイメージ強いのがテルル秋葉原だが、長峯氏は過去にテルル秋葉原の店長を務めていた人物でもある。テルル秋葉原というと「Android au」をもじって「CashBack au」というポップを作ったり、本店オープン時にはTwitterのフォロワーから開店祝いの花をもらったりと話題に事欠かないお店であり、テルルの名前を広める役割を果たしていた。

なにかと話題だったテルル秋葉原 なにかと話題だったテルル秋葉原

5年前から作ろうと決めていた

ピーアップの社長 中込正典氏 ピーアップの社長 中込正典氏

 「5年前から作ろうと決めていました」――そう切り出したのはピーアップの社長、中込正典氏だ。「創業して以来、ものを買ってものを売るという代理店の商売ばかりでいつか自分でものを作ってみたいと思っていました」(中込氏)

 携帯電話の販売代理店をやっていく中で、日本の端末は製造原価からするとあまりにも高い、もっと安価で作れて消費者に提供できれば端末事業はうまくいくのではないかと考えたという。

 そうした経緯で1年半前から開発に取り掛かったが、やはりスマートフォンの製造にはいくつもの壁が存在していた。

 「一番障害だったのはCDMA2000でした。これに対応しなければ半年前に完成していました。CDMA2000の対応のために、KDDIに直接交渉に行きましたが、初めはKDDIの技術者の方に『こんな素人に教えたところで本当にできるのか』というような難色を示されてしまいましたが、弊社の販売実績などを考慮していただいて、最終的には全面的なバックアップを受けてCDMA2000で接続するものを作ることができました」(中込氏)

 できるだけ安価に作りたいというのもあったが、CDMA2000の対応などで予想よりも開発に遅れが生じたことがスペック遅れになった一因にもなったということだ。

Mode1の由来は割と適当?

 「当初はフリーテルのような日本的な名前も考えましたが、日本的過ぎるのもどうかということや、まだ海外を狙っていく企業でもないことからよりシンプルな名前がいいと思っていました。英語の辞書をぱらぱらとめくって単語を探したり、役員の結婚式でハワイに行った時などにまわりを探していました。そんな時に『Mode』という単語を見て、これはいいじゃないか。i-modeとかありましたし(笑)ということで、まずModeが決まりました。そしてiPhoneなどの番号付けをまねてMode1ということになりました。かっこよくまとまったのではないかな、と」(中込氏)

デザインとパッケージにこだわり

Mode1のパッケージ Mode1のパッケージ

 「とにかくかっこいいものにしたいという気持ちがありました。バックパネルをカーボン調にしたのもかっこよさを追求したから。ただ、実際のドライカーボンを使うと非常にコストが掛かるので、カーボン調で再現するということになりました。また、フロントに赤いラインを入れたのもかっこよさのため。このラインに機能性はありませんが、例えば後々にダイヤ入りの保護フィルムなどを合わせてデコレーションしたいという気持ちもありました」(中込氏)

 「携帯電話を販売している時に思うことは『常に商品をお客さまに見せたい』ということです。キャリア端末のカラーラインアップは何色もあったりして、店頭でお客さまに全ての色を見せることはできませんし、箱を開けたら売り物にならなくなってしまいます。そこで、箱を透明にすることで実際の色や質感をお客さまに見ていただけるよう、このパッケージになりました」(中込氏)

次のモデルの話も

 「実は次のモデルの開発に取り掛かっています。チップセット、メモリ、ストレージ、筐体のデザイン、カメラなど、Mode1で勉強したことを含めて胸を張れるものを出したいと考えています。目標としては年内の発売を目指しています。次のモデルでもKDDIのSIMが使えるというところが一番こだわっている部分で、KDDIやUQのMVNO市場の端末ラインアップに入っていきたいです」(中込氏)

 と、次モデルの話も出てきたところで質疑応答へ。回答者は中込社長と、商品開発部部長の梅澤俊之氏。

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