iPhone 7 Plusは周知の通りデュアルカメラを搭載している。「光学2倍ズーム」という言い方をする人もいるが、一般にそういった場合「2倍ズームレンズ」(つまり1本のレンズで焦点距離を変えられる)をさすので、iPhone 7 Plusの場合は正しくない。細かいことだけど。
片方が広角側(28mm相当)、もう片方が望遠側(57mm相当)の単焦点レンズのカメラを2つ搭載しているので、そうだな、ズームというなら「2段階ズーム」という方が正しいか。
2つのレンズを広角側レンズ、望遠側レンズとここでは呼ぶけど、シンプルに1xレンズ、2xレンズと呼んだ方がいいかもしれない。
もっと細かいことをいえば、発表会ではフィル・シラーが「56mm」と言っていたが、EXIF情報を見ると35mm換算で57mmとなってたので、この原稿では57mmでいきます。広角側のカメラはiPhone 7と同じだ。
で、だな。普通、広角と望遠のカメラが2つ付いていたら、望遠で撮るときは自動的にカメラがそちらに切り替わると思うじゃないですか。
実は違うのである。
ついでに、だな。普通、デュアルカメラと称して2つのカメラが並んで付いていたら、レンズは違えども中身のイメージセンサーは同じだと思うじゃないですか。
実は違うのである。よく見ると、レンズの大きさも違うし。
いろいろとレビュー用にいじっていたら、このカメラがなかなか興味深い振る舞いを見せてくれたので、一般的なカメラレビューに先立って、iPhone 7 Plusのデュアルカメラはどう使い分けているのかレポートをさせてもらうことにした。
もうあまりに興味深いのでマニアックな方を先に書いちゃうのである。
まずは基本的なところ。
2つ付いているうち、外側が広角カメラ。28mm相当とiPhone 6sよりほんの少しだけ広角(あっちは29mm相当)。さらに、F値もF2.2からF1.8に明るくなった。これはすばらしい。
次の2枚を見てもらえると、7 Plusの方がちょっと広い範囲が写っているのが分かる。
このときの画面がこちら。他のiPhoneと違うのは(iPhone 7とも違う)、画面に「1x」と書いてあること。
ここをタップすると、いきなり「2x」にカメラが切り替わる。画面もぴょんと、2倍になる。
望遠側のカメラに切り替わったわけだ。こちらは57mm相当でF2.8。広角側より2倍望遠で、2倍ちょっと暗い計算になる。
2倍になった状態で、このアイコンを長押ししてドラッグすると、1xから10xまでリニアにズーミングできるのだ。
1xと2x以外は疑似的なズーミングであるデジタルズームなので、画質的にはやや落ちるが、シームレスに10xまでいけるのは便利。以前のiPhoneの2本指のピンチイン・アウトより何10倍も使いやすい。
で、気になるのは「1.9x」と「2x」の画質差だ。2x時は望遠側の2xカメラを使っているので、広角側にデジタルズームをかけている1.9xよりきれいなはずである。
ねちねちと申し訳ないが、本稿はだいたいこんな感じでねちねちである。だって気になるもの。
では結果。
さあディテールをチェックしてみよう。
おお、見事に2xの方がディテールがしっかり出ていてキレイ。つまり、7 Plusの鉄則は「1.9倍で撮るくらいなら、2倍で撮れ」である。やっぱりリアルな57mm相当と、デジタルズームではクオリティーが全然違うのだ。
FacebookやInstagramに上げるくらいならどっちでも同じようなものだが、少しでもキレイな方がいいなら、中途半端にデジタルズームするなら2xカメラ(望遠側カメラ)を使うべきである。
ついでに10倍まで上げてみた(望遠側カメラを5倍にデジタルズームである)。
まあさすがに無理はあるけれども、284mm相当までイケるってのは面白い。ここまではムチャでも、4xくらいなら(つまり望遠側を2倍で使う)、けっこういける。今までもっと望遠が欲しいと思っていた人は絶対に買い換えるべし。
レンズが望遠側に切り替わる瞬間は、近距離のものを撮ってみると分かる。1.5xからゆっくり倍率を上げてみると、2xになる瞬間、ぴょこんと画像が横にシフトするはずだ。
レンズが左右に少し離れて付いているから。遠距離のものを撮影するときはまったく分からないが、近距離だとカメラのほんのちょっとの位置のずれが現れてしまうのだ。それが理由。
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