マズそうなシフォンケーキを「おいしく」してみる――便利な写真編集アプリ「Snapseed」を使ってみよう(その1)荻窪圭のiPhoneカメラ講座

» 2017年02月16日 20時30分 公開
[荻窪圭ITmedia]

筆者的に超お勧めな「Snapseed」

 まあなんというか、一度は「シャッターを切った瞬間、オレの写真は完成している!」なんて言ってみたいよねえ。無理だけど。腕が立つカメラマンならともかく、私はそんなこと豪語できません。

 でも、撮った瞬間に写真が完成されてなくても良いのである。何せ、iPhoneには写真編集アプリがあるのだから。使って撮るのだから。写真を撮った後で一手間かけて完成させる――そういう話を前からしたかったのだ。

 その中でも、まずはGoogleの写真編集アプリ「Snapseed」を紹介したい。厳密にはGoogleが数年前に買収したアプリで、iOS版とAndroid版がある。この連載は“iPhone”カメラ講座なので、iOS版を紹介しますが。

 このSnapseed、解説本が書けるレベルで細かい機能が充実しているのに無料だ。実は約2年半前にも紹介しているのだが、ずいぶんバージョンアップしたのでこの機会に、作例をいくつか挙げながら使い方をちょっとずつ解説していこうと思うのである。

Snapseed(iOS版)のダウンロードページ Snapseed(iOS版)のダウンロードページ。筆者的に超お勧めなのである

タスク:マズそうなシフォンケーキを「おいしく」しよう!

 今回のお題はこれ。

 とある夜、歩き疲れて「お茶でもしようか」と入った喫茶店で食べたシフォンケーキ。思わず撮ったのだけれど、さすがに美味しそうにはみえないのがポイント。むしろ汚れて見えるレベル。

 ヤバい。ああ、このままじゃマズそう……。せめて、もうちょっとケーキっぽくしたいーー!

おいしそうに見えないシフォンケーキ おいしそうに見えないシフォンケーキ

 そこでSnapseedでちょいちょいいじった結果がこちら。

Snapseedでいじった後のシフォンケーキ Snapseedでいじった後のシフォンケーキ

 ずいぶんと盛っているように見えるが、実はちょっと補正しただけなのである。どうしたらここまでになるのか?

 実は、コツをつかめば1分ほどでできてしまう。やり方を見ていこう。

まず「パッと見」で修正方針を決める

 まず、元の写真を「パッと見」してどこをどうすればいいのかを決めてしまおう。これが大事。

 パッと見して分かることは2つ。1つは「色」。白いはずの皿が白くないのだ。もう1つは「明るさ」。写真が全体的に暗くてパッとしない。であれば、ホワイトバランスを補正して、明るさを調整してあげれば良いのだ。

 ついでに、ノイズを減らして見た目を柔らかくして、トリミングをして余計な部分をカットすればもっと「おいしい」ケーキになるはず。

 大方針が決まったら、さっそくやってみよう。

全ては「鉛筆」アイコンに始まる

 各種補正を始めるには、まずアプリの右下の鉛筆アイコンをタップしてメニューを出そう。全てはここから始まる。今回は、「ホワイトバランス」「画像調整」「ディテール」「切り抜き」の各ツールと、「グラマーグロー」というフィルタを使っていく。

Snapseedの基本ツールとフィルタ Snapseedの基本ツールとフィルタ(フィルタはスクロールするともっとたくさんある)。赤く囲っているものが今回使ったツールとフィルタだ

まずホワイトバランスを補正

 まず「ホワイトバランス」ツールを使って色を直そう。

 ホワイトバランスツールは「白いものを白くしよう」(正確には「白く見せたいモノを白くしよう」)というものである。白いものを白くするために、全体の色を調節してくれるのだ。

 このツールを選択した後、カラーピッカー(スポイトのようなアイコン)をタップすると、ルーペが出てくる。写真の中で白く見せたい部分にその中心を合わせると、そうなるように全体の色(色温度)を調整してくれる。

 希望通りのホワイトバランスになるように、写真を見つつルーペの中心をうまく合わせるべし。

ホワイトバランスツール ホワイトバランスツール。ルーペの中心にある「+」の部分を白くあるべきところに合わせると全体の色合いを調節してくれる

次に明るさを調節

 「色」はほぼ合った。でも、まだ「どんより」としておいしそうに見えない。そりやそうだ。全体的に暗いもの。

 そこで「画像調整」ツールの出番だ。ツールの選択後、スライドスイッチのアイコンをタップすると調整できる項目が出てくる。基本的には、写真全体の明るさを調節する「明るさ」、明るい部分の明るさを調節する「ハイライト」、影の部分の明るさを調節する「シャドウ」の3つを使いこなせばうまくいくはず。もしも全体のコントラストと明るさを同時に調節したいなら「アンビアンス」も使うと良し。

 調整は、項目を選択してから指を左右にスライドして行う。これは感覚的にやってしまって構わない。

画像調整ツール 画像調整ツールを選択した後、画面下のスライドアイコンをタップすると、調整項目が出てくる。項目選択後、指を左右にスライドすると調整できる。今回はここでは明るさとアンビアンスとシャドウをプラスにしてみた

ノイズも気になるので調整

 暗いところで撮った写真を明るくすると何が起きるか。隠れていた「ノイズ」が浮いてきて目立ってしまうのだ。特に、今回のお題ではコーヒーカップのあたりがザラっとしてしまっててよろしくない。

 そこで、「ディテール」ツールを使ってノイズをごまかしてしまおう。本来、このツールはシャープさを上げてディテールをクッキリさせるために使う。しかし、逆にディテールをモヤっとさせることでノイズを目立たなくする、という使い方もできるのだ。

 ディテールツールを選択したら、スライドスイッチのアイコンをタップして「ストラクチャ」を選ぼう。これはディテールを強めたり弱めたりするものだ。プラスに動かすとハッキリとして、マイナスに動かすとボンヤリとする。

 ディテール描写をあえてつぶすことで、ノイズが目立たなくなるわけである。

ストラクチャ-1ストラクチャ-51 カップ回りを拡大した画像で効果をチェック。ストラクチャが「-1」(写真=左)の時と比べると、「-51」の時(写真=右)はボンヤリとしているが、同時に影に乗っているノイズが目立たなくなっている

 さらに、「グラマーグロー」フィルターをかけてダメ押しする。「グロー(glow)」とは「光」のこと。ふわっと輝く光の効果を追加してくれるフィルターなのだ。このフィルターには5つのスタイルが用意されているが、今回は「スタイル3」を選択した。ややファンタジックだが、気にしない。

グラマーグローのスタイル3を+100で グラマーグローのスタイル3を+100にしたところ。光がほわっとあふれてキレイに

仕上げにトリミング

 そして最後に、Instagramにもアップロードしやすい正方形にトリミングして完成だ。

トリミング 正方形にトリミングして完成

 iOS版のSnapseedは、OSの流儀にのっとってオリジナル写真を保持したまま加工後の画像を保存できるところがすごい。つまり、一度保存しても、あとからレタッチ前の状態に戻せるのだ。だからガシガシ保存しても、いくらでもやり直しがきく。

加工前の画像を保持しつつ保存きちんと権限を与えましょう iOS版のSnapseedは、OSの流儀にのっとって加工前の画像を保持したまま加工後の画像を保存できる(写真=左)。保存時には権限確認があるので「許可」を選ぼう(写真=右)

 Snapseedは単体で基本的なレタッチを全部できちゃう秀逸なアプリ。インストールしておいて損はない。ぜひ、ダウンロードを。

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