高い注目度を集めたMだが、実利を上げていくのは、むしろ他の端末だ。中でも期待が集まるのが「docomo with」の対象に追加された3機種。夏商戦で導入したdocomo withは、永年1500円割引になる料金設定や、もともとの端末価格の安さが相まって、発表会時点の約4カ月で「70万台を突破した」(吉澤氏)。比率は、よりスペックの高いGalaxy Feelが高いようで、冬春モデルに合わせて新色のオーロラグリーンを追加した。
新たに追加されるdocomo with端末は、Mと同様、ZTE製でドコモが企画した「MONO」の第2弾と、IGZO液晶を搭載し、ややスペックが高めのシャープ製端末「AQUOS Sense」、それに、シニア向け端末として定評のある「らくらくスマートフォン me」の3機種だ。すでに価格が判明している端末では、MONOが2万5272円(税込、以下同)、AQUOS Senseが3万456円。いずれも、SIMロックフリースマートフォンのミッドレンジモデルに近い価格設定になっている。
ドコモは、auのように1機種でどちらのプランも選べるようにするのではなく、「ローエンド(ハイエンドモデルでないもの)については、定価で買っていただき、1500円割引する」(吉澤氏)という方針。他の端末と同様、分割払いは選べるが、あくまで分離プランになるため、“素の価格”が見えやすい。冬春モデルだと、「Xperia XZ1」が8万6184円、「Galaxy Note8」が12万6360円。ハイエンド端末は、月々サポートが手厚い従来プランの方が向いているというわけだ。1機種で複数の選択肢があることで、ユーザーやドコモショップなどの店頭に負荷がかかってしまうことを避ける狙いもある。
現状では、Galaxy Feelが好調なdocomo withだが、フルHDのIGZOディスプレイ搭載と機能性が高く、2年間のOSバージョンアップも保証されている点では、AQUOS Senseがその強力なライバルになりそうだ。また、らくらくスマートフォン meは「シニアの方は同じ端末を長くお使いいただく傾向がある」(吉澤氏)といい、永年1500円割引になるdocomo withの仕組みにフィットする。らくらくスマートフォンは「docomo withの対象にしてほしいという声もずいぶんあった」(同)待望のモデルで、フィーチャーフォンからの乗り換え需要も満たす1台になりそうだ。
2016年、「648円スマホ」として大きな話題を呼んだMONOは、複数あるdocomo with対象の中の1つになってしまい、ややインパクトに欠ける印象も受けた。ただ、docomo withには、ユーザー還元に加え、MVNOやサブブランドへの流出を抑止する目的がある。そのため、価格を含めた買いやすさは、重要な要素の1つだ。MONOは価格の判明している4端末の中では最安になるため、シンプルさを求める人や、価格重視の人にマッチした端末になるかもしれない。
対象端末を広げ、ラインアップを拡大したことで、ドコモでは「できれば年度内に2倍ぐらいの140万契約ぐらいまで広げたい」(吉澤氏)という目標を掲げる。ただ、4カ月で70万契約という数値を考えると、この計画はやや控えめのようにも思える。特に冬春モデルのリーズナブルな端末は、携帯電話市場で最大の商戦期となる春商戦で販売数を伸ばす傾向がある。らくらくフォン meの潜在需要も大きいことを考えると、140万契約の目標は上振れする可能性もありそうだ。
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