ITmedia Mobile 20周年特集

「機能」と「売れ筋」に変化 新たなトレンドが生まれた2017年のスマートフォン石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2017年12月30日 10時21分 公開
[石野純也ITmedia]

 キャリアという観点では、「大手キャリア逆襲の1年」だった2017年だが、スマートフォンも、ハイエンドの勢いが復活した1年だったと締めくくることができる。「縦長ディスプレイ」「デュアルカメラ」「AI・機械学習」など、機能面でも新たなトレンドが生まれつつある。

 ブランド別に見ていくと、iPhoneが久々のフルモデルチェンジを果たし、「iPhone 8/8 Plus/X」の3モデル構成になったことは、大きなニュースだった。iPhone最大のライバルであるGalaxyも、「Galaxy S8/S8+」で、縦長のInfinity Displayを採用し、伝統的に搭載してきたホームボタンを廃している。国内メーカーに目を移すと、シャープがスマートフォンのブランドを統合。「AQUOS R」として、メーカー色を強く押し出すようになった。

 一方で、売れ行きを見ていくと、やはり費用対効果に優れるミドルレンジ端末の勢いが増していることがうかがえた。SIMロックフリースマートフォンでは、Huaweiの「P10 lite」が大ヒットを収め、売れ行きでもiPhoneに対抗できる規模に成長。大手キャリアもこのトレンドに乗った。中でも成功したのは、ドコモの「docomo with」や、Y!mobileの「Android One」だ。これらの端末は販売ランキングでも上位を占め、トレンドが変化していることを示している。

 2017年最後の連載となる本稿では、1年間の象徴的なスマートフォンを挙げ、このような“進化”や“トレンド”を振り返っていきたい。

次の10年を見据えた「iPhone X」や、新時代に向けた「Galaxy S8」

 世界で1、2を争うスマートフォンブランドである、iPhoneとGalaxy。2017年は、この2機種がそろってフルモデルチェンジを遂げた1年だった。先手を打ったのは、サムスン電子のGalaxyだ。米ニューヨークで3月に発表されたGalaxy S8/S8+は、表示領域を上下に広げ、ベゼル(額縁)をギリギリまでそぎ落とした「Infinity Display」を採用。初代から継続して搭載してきたホームボタンを廃し、“スマートフォンの新たな形”を打ち出した(関連記事)。

Galaxy S8 米ニューヨークで3月に発表された「Galaxy S8」(左)と「Galaxy S8+」(右)

 2016年は、「Galaxy Note 7」の発火問題で、手痛い失敗をしていたサムスン電子だったが、安全対策を強化したのと同時に、Galaxy S8/S8+の完成度の高さで、ユーザーの不安を払拭(ふっしょく)。グローバルで見ると、売れ行きも大きく回復した。同モデルは、日本でドコモとauの2キャリアが採用。発売初週のGfK販売ランキングでは、Galaxy S8+が総合ランキングで5位、Galaxy S8が8位(いずれもドコモ版)と、販売ランキングでも上位につけることができた。

 Galaxy S8/S8+のコンセプトは、8月に米ニューヨークで発表された「Galaxy Note8」にも受け継がれており、Noteシリーズも同時に進化する形になった(関連記事)。Galaxy Note8は、おなじみのSペンを搭載しながら、初のデュアルカメラを搭載するなど、よりブラッシュアップされた端末に仕上がっている。こちらも、日本ではドコモとauから発売。「GALAXY Note Edge」以来のNoteシリーズはファン待望の1台となった。発売初週のGfKランキングはキャリア別でドコモが3位、auが9位と、まずまずの滑り出しとなった。

Galaxy Note8 日本では約3年ぶりのNoteシリーズとなった「Galaxy Note8」

 フルモデルチェンジを果たしたのはGalaxyだけではない。Appleは、9月に開催したイベントで、iPhone 8/8 Plus/Xの3機種を発表。これまでのiPhoneにはない、異例の3機種展開となった(関連記事)。iPhone 8/8 Plusは、iPhone 6/6 Plusのデザインランゲージを受け継ぎ、これまでのiPhoneの“完成形”として出された製品。これに対し、iPhone Xは同社のティム・クックCEOが「次の10年を反映する製品」と評する、未来志向のiPhoneだ。

iPhone X 次の10年を見すえて開発されたという「iPhone X」

 縦長でベゼルが細いディスプレイを採用し、ユーザーインタフェースも一新。さらに、前面にはTrueDepthカメラを搭載し、3万点のドットを顔に照射してユーザーの認証を行う「Face ID」にも対応した。プロセッサには「A11 Bionic」を採用。機械学習用の「neural engine」を搭載し、Face IDや撮影などをより効果的に行える工夫も盛り込まれた。

iPhone X
iPhone X Face IDやポートレートモードなどには、機械学習が活用されている

 久々に店頭での当日販売が復活したこともあり、iPhone Xの発売日には多くの人がApple Storeに列をなしたのも記憶に新しい。発売直後は品薄状態が続いていたiPhone Xだが、販売ランキングでも上位を独占。その後、徐々に供給は安定してきており、12月に入ってからは、予約なしで買える店舗も見かけるようになっている。

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