一方でソフト面は「めちゃくちゃ苦労しました」と通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 係長の西本望氏は話す。切り欠きがあってもAndroidアプリが問題なく使えるよう互換性を担保する必要があるため、Googleとは密に話し合ったという。「Googleさんとの相談は1機種1回ぐらいだったが、今回は六本木と広島の間を3往復した」(西本氏)というほど。
AQUOS R compactのアプリ表示パターンは、大きく3つに分かれる。1つが、画面の端までフルにコンテンツを表示するもの。これはホーム画面や、シャープのプリインアプリ(アルバム、カメラ、アドレス帳、ビデオプレーヤー、エモパーなど)で実現している。
2つ目が、上部の通知エリアが欠けるもの。フレームワークが自動検出することで、インカメラの真下ギリギリまでコンテンツが表示される。アプリの表示は基本的に影響を受けないが、例えば「ポケモンGO」など、通知エリアを透過させて表示させる場合は、アプリの一部も欠けてしまう。
3つ目が、通知エリアも欠けずに表示させるもの。これは「設定」→「ディスプレイ」→「スタンダードモード」をオフにすればよい(オンにすると通知エリアが欠ける)。この設定はアプリごとに行えるので、ポケモンGOなどコンテンツが切り欠きの影響を受ける場合はオフにしてもいいだろう。
全画面表示に対応したシャーププリインアプリ以外は、2と3のパターンいずれも、通知エリアの上にわずかな余白が生まれてしまう。2のパターンは一見すると全画面表示に見えるが、左右の角が欠けてしまうため、あえて最上部に余白を持たせている。アプリによってはここに黒帯が入ってしまうが、この帯をアプリと同じ表示色にすることで、あたかも全画面で表示しているように見せる工夫もしている。これは2と3いずれも同様だ。
例えばGoogle Playは緑色、Facebookは青色で上部の帯を伸ばしているので、「余白の帯が入っている」という違和感がない。これはシャープが独自に対応させたもので、苦労したそうだ。
2つ目と3つ目のパターンいずれで表示する際でも、アプリが16:9の比率で表示可能であれば、開発者は特別にカスタマイズをする必要はない。
また、文字入力画面を横向きにすると、キーボードが端まで表示される場合があるが、そうすると、切り欠きの部分だけキーが見えなくなってしまう。そこで、AQUOS R compactでは横画面でキーボードを表示する際は、切り欠きの影響を受けずに表示するようにしている。
こうしたソフト面での工夫も、インカメラの切り欠きが「気にならない」と思えることに貢献している。
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