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» 2018年02月23日 10時00分 公開

石川温のスマホ業界新聞:楽天・三木谷社長が「設備投資は6000億円で充分」と強気発言――設備投資4400億円のイー・アクセスは第4の携帯電話会社になれず

楽天の三木谷浩史CEOが、2017年度通期決算説明会で、参入を予定している携帯電話事業の設備投資計画に言及。「設備投資は6000億円で充分」と語る三木谷CEOだが、5Gの足音が聞こえてくる中、その投資額で本当に大手3社に対抗できるネットワークを構築できるのだろうか。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 楽天は2月13日に決算会見を実施。そのなかで、三木谷浩史CEOが参入を予定している携帯電話事業の設備投資計画に言及した(筆者は海外取材中だったため、決算資料やITmediaなどの記事を参照)。

 KDDIの田中孝司社長が「その金額で設備投資がまかなえるほど通信事業は甘くない」と語るなか、三木谷社長は「3Gには対応せず、4Gのみを提供することでコストを抑える。かつて、イー・アクセスやUQコミュニケーションズの設備投資額は4000〜5000億円だった」と語ったという。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年2月17日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 三木谷社長のこの発言こそ、6000億円では足りないことを示唆しているのではないか。

 時代は4Gから5Gに移ろうとしている。楽天が4Gのみのネットワークを提供したところで、2020年から5Gをはじめようとする大手3社には対抗できなくなる。

 当然、iPhoneなどの端末も5G対応してくるだろう。スマホで当たり前のように5Gが使える中、ユーザーにとって4Gしか使えないキャリアを選ぶという選択肢はない。4GでもギガビットLTEとして、5Gに肩を並べる通信速度も実現できるが、それは周波数帯をいくつも重ね合わせるからこそ、実現できるというものだ。当初の楽天におけるネットワークでは、ギガビットLTEの実現も難しいのではないか。

 もうひとつ「イー・アクセスやUQコミュニケーションズは4000〜5000億円だった」という発言。イー・アクセスは、この金額では足りず、ユーザーに満足なネットワーク環境を提供できなかったからこそ、市場から消滅してしまったのではないか。この金額で充分で、全国規模のネットワークを構築し、音声通話サービスも問題なく提供できてたら、ソフトバンクに買収されることはなかっただろう。

 イー・アクセスは1.7GHzを軸にサービスを提供したが、それでは品質面では満足できず、やはりプラチナバンドである700MHzを欲しがった。プラチナバンドのない楽天もイー・アクセスの二の舞になる可能性が極めて高い。

 UQコミュニケーションズも「KDDIからLTEのネットワークを借りる」という荒技で、全国網を構築している。結局、5000億円程度の設備投資では、全く足りないのだ。

 三木谷社長は「すでに様々なベンダーから見積や提案を受けている。MNOで働いた経験のある人を多く採用している」というが、誰か三木谷社長を止める人はいないのか。

© DWANGO Co., Ltd.

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