インタビュー
» 2018年03月20日 11時15分 公開

「gooSimseller」のSIMフリースマホはなぜ安いのか? NTTレゾナントとNTTコムに聞く (1/3)

アグレッシブな価格設定で最新のSIMフリースマートフォンを販売している「gooSimseller」。なぜ、他社よりも圧倒的に安く販売できるのか? 独自ブランド「gooのスマホ」の狙いは?

[石野純也,ITmedia]

 アグレッシブな価格設定で最新のSIMフリースマートフォンを販売することで、「gooSimseller」が話題を呼んでいる。特に、Huaweiの「Mate 10 Pro」や「honor9」などのハイエンドモデルは、発売と同時に他社よりも万単位で安い価格をつけ、スマートフォン好きの注目を集めた。SIMロックフリースマートフォンの割引販売といえば、楽天モバイルの十八番で、社長から名前を借り、ネットでは“三木谷割”などと呼ばれていたが、そのお株を奪った格好だ。

gooSimseller Huaweiの「Mate 10 Pro」は、通常価格よりも2万円も安い6万9800円(税別)で販売している

 一方で、gooSimsellerは「goo」ブランドを冠したスマートフォンを販売。デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)など、一部のユーザーから人気を博す機能をフィーチャーし、ニッチな需要を開拓している。最近では、フランスメーカーのWikoが製造を担当した「g08」を発売。これも、DSDSと同時にmicroSDを使えるという、“分かる人にしか分からない”機能を前面に打ち出している。

 では、gooSimsellerはどのような戦略でストアを運営しているのか。NTTレゾナントでgooSimsellerを運営するメディア事業部 コンシューマーサービス部門 担当課長の植本直樹氏に加え、NTTコミュニケーションズで「OCN モバイル ONE」の販売などを担当するネットワークサービス部 販売推進部門 担当課長の齋藤樹氏、マーケティングを担当する第一営業本部 ダイレクトマーケティング部門 第一グループ 担当課長の澤井伸太郎氏らに、お話をうかがった。

gooSimseller 「gooSimseller」のトップ画面

「gooのスマホ」を始めた理由

gooSimseller NTTレゾナントの植本直樹氏

―― 最初に、gooSimsellerの成り立ちを教えてください。

植本氏 OCN モバイル ONEを販売し始めたのが2013年、そこから半年ぐらいたってから、「g00」をスタートしました。ドコモがiPhoneを取り扱う前から香港版を売っていましたが、そこが最初になります。もともと、NTTレゾナントはNTTコミュニケーションズのグループ会社です。2013年にOCN モバイル ONEが市場でグッと伸びているのが分かり、それをどうやってさらに売っていくかというところからスタートしています。

―― 「gooのスマホ」は、なぜ始めたのでしょうか。

植本氏 当時はまだSIMフリー端末が市場に少なく、ユーザーに選択の余地がなかったからです。そこに、ZTEの「Blade Vec 4G」のような機種を、準エクスクルーシブのような形で持ってきました。選択肢がない中でどう増やすかを考え、中国メーカーと組んだ形になります。

 gooSimsellerはOCN モバイル ONEの販売をしていますが、goo自体はWebサイトをやっている会社ですから、そのサービスとの接点を持たせたいという戦略があります。gooを認知してもらい、使ってもらうには、端末にプリインストールした方がいいということで、gooのスマホを投入しました。

―― 一方で、今ではHuaweiやASUSなどの端末も取り扱っています。

植本氏 2014年、2015年とSIMフリーの端末が一気に増えてきたからです。ユーザーに選んでいただく必要があるのと同時に、OCN モバイル ONEを売っていきたいという思いもあり、選択肢は可能な限り広げようと思っています。

端末を売って利益を取るという概念はほとんどない

―― 率直に言って販売価格が他社より圧倒的に安いのですが、これはなぜでしょうか。

植本氏 gooSimsellerは、もともとNTTコミュニケーションズと共同事業的にやっている前提ですが、われわれには端末を売って利益を取るという概念はほとんどありません。取り扱っている以上、仕入れ値がいくらになるのかは分かっていますが、他社の場合、そこにある程度の利益も乗っています。一方で、われわれはほぼトントンで、本当に利益がない。それも、サービスとの接点を取りたいからです。

―― 自分も気づいたらMate 10 Proを買っていました。ハイエンドは特に安いと思います。

植本氏 ハイエンド端末ほど、粗利幅が大きいですからね。仕入れ値と販売価格の差が大きくなるので、(他社との)差も大きくなります。

―― ハイエンドモデルを取り扱うようになり、何か売れ行きに変化はありましたか。

植本氏 Huaweiの「Mate 9」を出したころからそうですが、ある程度高い端末を好む方が一定数いることが分かってきました。その数は、Mate 10 Proを出したことで増えています。2万円台、3万円台のものが売れ筋であることに変わりはありませんが、高い端末を買う層も増えています。そこで競争しやすいのは、やはりOCN モバイル ONEがあるからですね。

gooSimseller NTTコミュニケーションズの齋藤樹氏

―― 音声プランとのセット販売という形ですが、それにしても縛りが緩すぎる気がします(最低利用期間は6カ月)。

齋藤氏 今はユーザーを広げる段階なので、しきい値を低くしています。ユーザーの選択肢を増やすというのはMVNOの特徴なので、縛りをきつくすることはやらない方がいいという判断です。ただ、買ってすぐに止められる(解約される)方が多いかというと、今見る限りはそうでもありません。十分やっていける形になっています。gooSimsellerは共同事業としてやっているので、開通していただけないと私たちとしても困ってしまいます。ですから、開通を促すようにはしていきたいと考えています。

―― 確かに、以前はSIMカードとセットになっているだけで安くなり、開通するかどうかはお任せというものが多かった印象があります。

植本氏 Amazonやモールチャネルでも売っているので、必ずしも開通が前提ではないのも事実です。ただ、これは開通してもらってなんぼのビジネスなので、開通前提でおトクにするという状態にシフトしています。

―― OCN モバイル ONEにもさまざまな販路がありますが、gooSimsellerはどの程度の扱いなのでしょうか。

齋藤氏 昨年(2017年)10月ごろから、比較的大きくなっています。NTTコミュニケーションズとしても、端末がセットでないとなかなか売れないという事情があります。もともと、MVNOはリテラシーの高い層から売れ始めましたが、低いところまで伸ばしたいとなるとセットの方がハードルは低くなります。端末とSIMカードを別々に買うというのは、日本だと、まだまだ先のことですからね。若年層も増やしたいという戦略的な方向性とも合っています。

 ものを見てから買いたいという方は、いわゆる家電量販店に行き、その即日開通カウンターを構えているところで買われます。ただ、ここは(大手キャリアの)サブブランドの影響を受けやすい場所でもあります。これに対して今、Webが伸びていて、それ(家電量販店)に負けないチャネルになりつつあります。

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