5Gの人口カバー率は2023年に20% エリクソンが予測する5G時代のトレンド

» 2018年07月11日 13時10分 公開
[田中聡,ITmedia]

 エリクソン・ジャパンが7月10日、間もなく商用サービスが開始する「5G」を中心として、世界のモバイルネットワークの最新トレンドを説明した。

米国が2018年後半に5Gサービスを開始

 5Gが最も早く開始するのは米国で、2018年後半から2019年半ばの開始を予定している。日本は2019年〜2020年に商用サービスを開始する予定で、韓国や中国とともに初期ローンチの市場に位置付けられる。2023年末には、5Gサービスの加入者数は10億を超え、モバイル契約の全体で12%を占めるとエリクソンは予測している。

5G 通信方式別の、モバイル契約数の推移

2019年後半に5Gスマホが登場

 対応デバイスについては、まず2018年に5G対応のモバイルWi-Fiルーターが登場するとエリクソンは予測しており、データ通信専用サービスからになる。また2019年後半には、固定回線向けの5Gルーターも登場する見込み。

 エリクソン・ジャパンCTOの藤岡雅宣氏は、5G対応のスマートフォンは2019年後半に登場すると予測。「チップセットの開発状況に依存するが、今年(2018年)末から来年(2019年)にかけて、どんどん端末が出てくる」と同氏は話す。まずは6GHz帯以下の中帯域に対応したスマートフォンが登場し、その後、高帯域に対応したスマートフォンが登場する見込み。

5G 周波数帯、タイプ別の5Gデバイス登場見込み
5G エリクソン・ジャパンCTO 藤岡雅宣氏

 5Gスマホは既存のLTEもサポートするわけだが、「これを実現するには、より効率的な技術、コンポーネント、プロセスが求められる」(エリクソン)としている。初期段階では、3GPPに準拠した第1世代の5Gチップセットが使われ、2020年に第3世代チップセットが導入されてからは、より多くの5Gデバイスが出回るとエリクソンは予測する。

高周波数帯をどう活用するかが課題

 5Gで使う周波数帯は、日本では3.6GHz〜6GHz、28GHzが見込まれている。ちなみに韓国では2018年6月に5G周波数帯として、3.5GHzと28GHzの割り当てがオークションで決まった。その中で藤岡氏が「面白い話」として紹介したのが、落札価格が3.5GHz帯が1MHzあたり973万ドルだったのに対し、28GHz帯は24万ドルと約40倍もの差があったこと。

5G 韓国での5G周波数帯割り当て

 28GHzなどの高い周波数帯は電波の直進性が高く減衰しやすいため、相対的に価値が低いと判断されたのだろう。高周波数帯の弱点を解消するため、特定方向に電波を集中させる「ビームフォーミング」の技術も開発されている。藤岡氏は高周波数帯について「端末の開発も進んでいる。これからの検討課題だと思っているが、技術的にはモバイルでも使えることを示している」との考えを示した。

5GではVoLTE通話がメインに

 LTEネットワーク上で高品質な通話が可能な「VoLTE」の契約数は、2017年時点で6億1300万に上り、日本を含むアジア太平洋の比率が最も高い。VoLTEの契約数も右肩上がりで伸びており、2023年には54億に達すると予測する。「(モバイル契約者全体の)4分の3ぐらいがVoLTEを使っているだろう」(藤岡氏)

5G VoLTE加入者数の推移

5G時代では動画の視聴がさらに増える

 地域ごとモバイル方式は、大きな差が見られる。2017年のデータを見ると、北米と、日本を含む北東アジアは70%以上がLTEだが、次にLTE比率が高いのは47%の西欧で、他は高くない。インドに至っては、60%がいまだに2GのGSM/EDGEのみで占められている。これが2023年になると、大きく様変わりするとエリクソンは予測。北米ではモバイル契約の48%が5Gとなり、北東アジアも34%が5G契約になるという。5G開始当初は、北米と北東アジアが市場をけん引していくことになりそうだ。ちなみにインドは2023年に78%がLTE契約になると見込んでいる。

5G 地域別、方式別のモバイル契約数(2017年)
5G 地域別、方式別のモバイル契約数(2023年)

 モバイルトラフィックは、2017年から2023年にかけて8倍に増加するとエリクソンはみている。また、2023年には全トラフィックの20%が5Gになるという。アプリ(用途)ごとのトラフィックの割合は、2017年は動画が56%で最も多いが、この動画は2023年に73%まで増えると予測している。LTEや5Gの導入が増えることで、動画の解像度が大きくなることが要因の1つとみている。またYouTubeの360度動画は、同じ解像度の動画より4〜5倍の帯域幅が必要になるという。

5G モバイル通信のトラフィック量推移
5G モバイル通信の用途は、動画が今後さらに増える

 スマートフォン1台あたりのデータ通信量は北米が最も多く、2017年末には7.2GBに達し、2023年末には49GBまで増えると見込んでいる。地域ごとのモバイルデータトラフィックの総量は、人口が最も多い北東アジアが最も多く、2017年の4EB(エクサバイト)から2023年は25EBに増える見込み。

5G スマートフォン1台あたりのモバイルデータ通信量
5G 地域ごとのモバイルデータ通信量

セルラーIoTも活発に

 5Gと並行して、電力メーターや機器メンテナンスなど、高速通信を必要としない場面で使われるセルラーIoTの契約数も伸びている。セルラーIoTデバイスの数は年間約30%ずつ増えており、2023年には5億に達する見込み。特に中国での利用が活発だという。「LPWA(Low Power Wide Area)」と総称される通信方式は、LTEネットワークを活用した「NB-IoT」と「Cat-M1」を52キャリアが採用している。国内ではKDDIがNB-IoT、ソフトバンクがNB-IoTとCat-M1の両方を使ってサービスを提供している。

5G セルラーIoTの契約数推移
5G LPWAの導入状況

 倉庫の管理や物流ルートの最適化など、工場の現場でも5GやLPWAが活用される。藤岡氏はその一例として、ドイツで実施している「BLISK(Bladed Disk:ディスクと刃が一体化して回転して、空気を圧縮するジェットエンジン部品)」の製造工程で5Gを活用している事例を紹介。金属の塊からBLISKを切り出すのは数十時間を要する複雑な作業で歩留まりも悪いが、金属板に振動センサーと3.5GHz帯の5Gモジュールを埋め込んだことで即座に異変を検知し、歩留まりやコストも改善されたという。これは5Gの低遅延という特徴を生かした事例といえる。

5G BLISKの製造工程で5Gを導入

 藤岡氏は「2018年は移動通信業界の転換期」と言う。2023年には、モバイルデータのトラフィックのうち20%が5Gを使用すると予測。さらに、5Gの人口カバー率は2023年に20%になると見込んでいる。

5G LTEや5Gの人口カバー率
5G

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年11月02日 更新
  1. 「iPad mini(A20 Pro)」は何が進化した? 「iPhone Duo」とはどう違う? スペックや用途を比較する (2026年11月01日)
  2. Google マップの新機能「マップに相談」は“知人に聞く”感覚で使える 「Pixel 11 Pro Fold」などフォルダブルとの相性も抜群 (2026年10月31日)
  3. KDDIの名機「INFOBAR」に新展開、11月18日に何かを発表――砂原哲氏が明かす (2026年11月01日)
  4. iPhone Duo、最適化できていないアプリに不満の声続出――App Storeでの「強制」により年明けには一気に解消か (2026年11月01日)
  5. ダイソーで1100円の「PD対応20Wモバイルバッテリー」を試す 手頃な価格でそこそこ高速にスマホを充電可能 (2026年10月31日)
  6. 「iPhone Duo」は“我慢の連続” 歴代最重254g、Face IDなし……それでも満足できる人の条件が分かった (2026年10月30日)
  7. 若者が選ぶ流行語「チャッピー構文」ってなんだ? 「結論から言うね」なAIの口癖、実は人間のせいかもしれない (2026年10月30日)
  8. スマホの映像をTVやディスプレイに出力すると意外と便利(プレゼンとか特に) (2026年10月31日)
  9. キャリアともMVNOとも違う独自路線 povoが目指す「パートナー連携2乗」と世界展開の勝算 (2026年10月31日)
  10. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー