セルフィースマホから高性能カメラスマホへ Meituの新モデル「T9」で感じた変化(1/2 ページ)

» 2018年08月11日 06時00分 公開
[山根康宏ITmedia]

 インカメラを強化したスマートフォンを送り続けている「セルフィースマホ」専業メーカーともいえる中国のMeitu(美図、メイトゥ)。2018年6月27日に発表された最新モデル「T9」は、これまでのMeituの特徴であった美顔効果がブラッシュアップしただけではなく、アウトカメラの機能も強化している。「セルフィースマホ」から「高性能なカメラフォン」へと、Meituは製品の方向性を転換し始めている。

Meitu T9 Meituの最新モデル、T9

アウト/イン両方にデュアルカメラを搭載

 今や中国系メーカーを中心にインカメラ機能を強化したスマートフォンの数はかなり多い。その筆頭ともいえるMeituは、いち早くインカメラに美顔効果を採用したメーカーだ。Meituといえば、iPhoneやAndroid向けの美顔効果アプリ「BeautyPlus」が世界中の女性たちに知られているが、その美顔テクノロジーを自社のスマートフォンに標準搭載している。

 最新モデルのT9は、アウトカメラ、インカメラともに1200万画素+500万画素の組み合わせで合計4つのカメラを搭載している。他社製品にも4カメラのモデルは幾つか見られるが、T9はアウトもインも全く同じ組み合わせのカメラを搭載しているのである。つまりどちらのカメラを使っても、理論上は全く同じ仕上がりの写真を撮影できる。

Meitu T9 北京で開催されたMeitu T9の発表会
Meitu T9 歴代のMeituスマートフォン

 アウト/インの同じカメラの組み合わせは、2017年秋発売の「V6」から採用されている。V6以前のMeituのモデルはフロント側のカメラを常に強化したモデルを投入していたが、今や前と後ろのカメラのどちらを使うかを意識せず使用できるのだ。

Meitu T9 T9を手に持つMeituのCEO、呉欣鴻(ウ・シンホン)氏
Meitu T9 T9は本体デザインとカメラ機能を一新した

 T9ではCPUと画像処理周りのハードウェアも一新され、これまでのMediaTek製プロセッサとソシオネクストのイメージングプロセッサ「Milbeaut」の組み合わせから、Qualcommのプロセッサと自社の「MT-AI」チップの組み合わせとなった。このMT-AIチップは画像処理にAI機能を加えており、美顔効果の自然な処理や逆光・暗闇でも自然な色合いで撮影できる。

Meitu T9 MT-AIチップの搭載でよりナチュラルな写真撮影が可能
Meitu T9 美顔効果もより自然な仕上がりになるという

 T9の発表会は北京の世界遺産、頤和園(いわえん)を貸し切り夜間に行われた。これまでのMeituの発表会は展示会場などの屋内で行われており、セルフィーの撮影ブースが多数用意されていた。今回は夜景も美しい頤和園で行うことで、T9のカメラがセルフィーだけではなく風景写真、しかも暗い場所でも十分高性能であることをアピールしていた。発表会の登壇ゲストとして、SNSの女性インフルエンサーだけではなく男性芸能人や芸術家も呼んだことから、T9は性別や年齢を問わずに利用できるカメラフォンに進化したことが分かる。

Meitu T9 世界遺産の頤和園を貸し切っての発表
Meitu T9 過去の発表会の登壇者は女性中心だったが、今回は男性も加わった

 それでも、女性に人気のセルフィー機能を強化することも忘れていない。AI強化でより自然な仕上がりになり、細かい効果を加えられるようカメラのUI(ユーザーインタフェース)も大きく進化した。そして新たに世界初という「全身美形」効果も搭載されている。一部の動画アプリなどでも搭載されている機能だが、Meituの機能はカメラが骨格を認識し、関節を中心に身体の各部分をスリムにすることで自然な細身の写真が撮影できるという。現時点では写真撮影のみに対応するが、OSのバージョンアップによりライブストリーミングでもリアルタイムに「ビューティーボディー」効果が得られるとのことだ。

Meitu T9 骨格を認識する全身美形機能
Meitu T9 OSバージョンアップでストリーミングにも対応予定

美しさと高級感を高めたデザイン

 ハードウェアの変更はプロセッサ周りだけではなく、本体の形状全体にも及んでいる。ディスプレイは6型と大型となったがアスペクト比は18:9として横幅を抑えている。Meituのスマートフォンは上下に角がある縦長の六角形をしているが、画面下のホームボタン兼指紋認証センサーは廃止された。指紋認証センサーは背面に移され、その上にリング形状のLEDフラッシュとカメラが並ぶ。カメラの縁と指紋認証センサーの淵は同じ色合いで仕上げており、統一感あるデザインにまとめられている。

Meitu T9 円の形をそろえた背面のカメラ周り
Meitu T9 本体カラーは4色

 カメラの配置はMotorolaの最近のモデルに似た、2つのカメラを円で囲んだデザインだ。LEDライトは宝石のような表面仕上げになっており、ゴージャスなイメージでもある。赤とピンクのボディーは女性向けだろうが、緑と水色は男性が持ってもおかしくない。また赤と緑は深い色合いで上の年齢層もターゲットにしており、ピンクと水色は明るい仕上げで若い世代を狙っている。4色のボディーカラーをうまく作り分けている。

Meitu T9 T9の緑色。男性でも持てる色合い
Meitu T9 T9のピンクはやや淡い仕上げ

 インカメラを使った顔認証によるロック解除にも対応した。音声認識にも対応しカメラのコントロールなどができる。この音声認識は自社で開発したものではなくMicrosoftの技術を採用している。そしてAKMのHi-Fiチップを搭載することで音楽やゲーム利用時に迫力あるサウンド再生も可能だ。Snapdragon 660を採用したことにより、充電はQuick Charge 3.0に対応する。

Meitu T9 インカメラは顔認証に対応
Meitu T9 音声コントロールもできるようになった
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