グローバルでは販売台数が増加傾向に転じたiPhoneだが、日本ではやや苦戦を強いられている。より正確に言えば、iPhoneを含むハイエンドモデルの販売が低迷している。これは、2019年10月に電気通信事業法が改正され、端末購入補助に制限がかかった結果だ。Appleも例外ではなく、2020年1月に発表した第1四半期(2019年9月から12月)の決算では、日本市場での売上高が前年同期比で10%程度下落している。全世界ではiPhoneの販売が好調に推移し、売上高も増加しているのとは対照的だ。
大手3キャリアとも、ミドルレンジモデルを拡充するなどして対応を図っているが、iPhoneの最新モデルは全てハイエンド端末になるため、販売には限界もあった。このような状況の中、5万円を下回る価格で発売され、しかも最新モデルと同等のプロセッサを搭載したiPhone SEに寄せられた期待は大きい。
仮に端末購入補助を目いっぱいつけるとすれば、価格は3万円台にまで下げることができ、ミドルレンジモデルのボリュームゾーンと大きな差がなくなる。「スマートフォンが高くなった」と考えていたユーザーにも、十分魅力を訴求できる価格といえる。機種変更はもちろん、フィーチャーフォンからの移行を促す際にも、コストパフォーマンスに優れたiPhone SEは強力な武器になりそうだ。
電気通信事業法の改正には、Appleも強い関心を寄せていたが、改正案に対する反対意見をパブリックコメントで表明したことも話題になった。初代iPhone SEは、価格の高いiPhoneに手が届きにくい新興国をメインターゲットにしたといわれているが、ふたを開けてみると、日本市場でもサブブランドやMVNOが取り扱うなどして、節約志向のユーザーから高い評価を得ていた。
第2世代のiPhone SE投入にあたっては、こうした日本市場の動向が重視されたと見ていいだろう。現時点ではAppleと大手3キャリアしか扱っていないが、徐々にサブブランドやMVNOの一部に販路を広げていくことで、iPhone 8以上に息の長いロングセラーモデルになる可能性もありそうだ。
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