iPhoneやAndroidに負けない“Windows Phoneならでは”の機能とは:「T-01B」「IS02」レビュー(後編)(3/3 ページ)
前編では「IS02」「T-01B」でほぼ共通となる機能や使い勝手に触れた。カタログスペックはほぼ同等の2機種だが、何が違うのか。後編では機能、プリインストールアプリ、サービス、料金の差異などに触れていく。あわせて、iPhoneやAndroid端末との違いも検証した。
iPhone、Android端末との違い――閲覧性の高いPIM機能
Windows Phoneを選択する際に競合するがiPhoneやAndroid OS搭載製品だ。筆者はIS02とiPhone 3GS、Xperiaを所有しているので、ユーザー視点で比較してみた。できるだけ客観的に見ているつもりだが、多少は主観が含まれる可能性があることはご容赦いただきたい。
通話やPIMといったスマートフォンの基本的な利用では、Windows Phone、Android端末、iPhoneに大きな差はない。電源キーから誤操作防止ロックをかけ、マナーモードのオン/オフも物理キーから行う。あえていえば、マナーモード設定用にスライドスイッチを持つiPhoneがスマート。アドレス帳や発着信履歴に関しては特にどれが秀でているとは感じないが、本機(IS02とT-01B※以下同)はに発話キーがあるので、いつでも通話機能を呼び出せるメリットがある。
PIMに関してはそれぞれOTA(SIMカード)での同期機能を備え、GoogleSyncもサポートし、本機では「MyPhone」、iPhoneでは「MobileMe」が専用サービスとして存在する。MyPhoneはストレージ容量が25Gバイトとさほど大きくない代わりに無料であり、アドレス帳、スケジュール、SMS、写真のバックアップにができる。PIM情報の一覧性は、ホーム画面にウィジェットを使える本機やAndroid端末が便利で、必要な情報をさっと確認できる。iPhoneではアイコンのバッジで新着情報の有無や数を確認できるのみに留まる。
iPhone、Android端末との違い――メールとブラウザは?
Eメールの使い勝手はほぼ同等。Gmailなどのメールを自動受信できるダイレクトプッシュは本機、iPhone、Android端末はAndroid2.1以降、Xperiaは現状1.6だがプリインストールの「Moxierメール」がサポートし、Gmailは標準で自動受信が可能だ。キャリアメールは、T-01Bはspモードでiモードと同じメールアドレスが利用でき、デコメールもサポート。Android端末ではXperiaが同じくspモードをサポートし、ソフトバンクのX06HT/X06HTIIも10月8日からS!メール(MMS)が利用できるようになる。またiPhoneもS!メール(MMS)をサポートしている。Eメールに対応しないIS02のみが蚊帳の外なのが残念だ。
ブラウジングの使い勝手はiPhoneやAndroid端末の方に分がある。スマートフォン向けのWebサイトはiPhoneやAndorid端末向けに対応したものが多い。レンダリングエンジンが共通のWebkitなので、対応しやすいのだろう。リスト選択操作もブラウザ側でタッチ操作に最適化されているほか、iPhoneはマルチタッチ対応なので、拡大縮小がスムーズというメリットもある。本機のnternet Explorer Mobileは、iPhoneやAndroid端末ほどには表示が最適化されない場合が多く、リスト選択項目の操作もタッチ操作では難がある場合が少なくない。QWERTYキーの活用で回避はできる部分でもあるが。
ただし本機はブラウザの選択肢が広く、例えばOpera Mobile/Miniを使えば、選択項目の操作はタッチ操作でも難なく行えるようになる。モバイル向けサイトの利用が多いなら、これらを標準ブラウザにしてしまうのもありだ。ブラウザのユーザーエージェントを変更できるアプリを使えば、スマートフォン以外の音声端末向けサイトにもアクセスでき、QWERTYキー、特に方向キーが威力を発揮する。
iPhone、Android端末との違い――アプリストアはこれからか
アプリに関しては現在iPhoneのAppストア登録が20万、Android端末のAndroid マーケットが8万の登録数を超えたと報道されている。本機のOSであるWindows Mobileは歴史が長く、アプリ数で大きく見劣りすることはないが、新規リリース数で見劣りするのは事実で、タッチ操作を考慮して作られたアプリもあまり多くない。
Twitterクライアントはタッチ操作に適した「Frother」「Rewit」「moTweet」、本機のQWERTYキーによるショートカットキー操作も可能な「Azurea」など、十分な数が配信されており、改良も進んでいる。Twitterと連携して使われる国内で人気の写真投稿サービス「携帯百景」「はてなフォトライフ」に写真を投稿する「百景Gate」、位置情報を投稿する「FOURSQUARE」「今ココなう!」対応アプリなども登場している。
国内では盛り上がりが今ひとつだが、世界的に人気のFacebook対応アプリもMicrosoftから提供されおり、mixi用アプリもある。SNSを快適に利用できることを目的にスマートフォンの購入を考慮する人にとっては、本機はその期待に十分応えられるだろう。
かつてWindows Mobileといえば、アプリ導入のハードルの高さも問題だった。しかし、App StoreやAndroid マーケットなどと同様に、Microsoftが「Windows Marketplace for Mobile」を提供しているほか、老舗のアプリ配信サイト「WindowsCE FAN!」が「aplio」も提供しており、もちろんインストールの自動化やアップデートの管理にも対応。数ではApp StoreやAndroid マーケットには及ばないが、主要カテゴリやサービス向けのアプリは多数ある。
レガシーな資産ともいえる古いアプリでも、利用価値の高いものは多数あり、これらの利用では本機のQWERTYキーが有効に機能する。例えばファイル検索アプリの「GS Finder+ W03」では、ワイドVGAの解像度を生かした一覧性の高い表示が可能で、QWERTYキーを使えば難なく操作できる。
ファイル検索アプリ「GSFinfer+ W03」。このように高解像度ディスプレイを生かした一覧性の高い表示が可能で、QWERTYキーを使えばファイルの選択などもスムーズだ。すでにWindowsMobile 6.5.3に合わせて表示を改良したバージョンが公開されている
iPhoneやAndroid端末は、登場時からタッチ操作が前提なので、このような一覧性重視の表示ができるアプリは少ない。また、ほとんどのキー操作をカスタマイズできるアプリも存在する。それが魅力に映るかどうかは人それぞれだと思うが、Windows MobileはAndroid OS以上にオープンといえる部分もある。
iPhone、Android端末との違い――USBホスト機能
USBホスト機能は、ここで比較している端末の中ではIS02とT-01Bのみが備えている。USBホストケーブルを使えばキーボードやマウスにも接続でき、USBメモリやカードリーダーなども利用できる。Officeファイルのほか、アプリを活用すれば、PCに保存した静止画、音楽、動画(SD解像度のWMV/Divx/MPEG4)などのファイルをそのまま閲覧、編集するといったことも可能だ。
さらに、マスストレージクラス対応のデジカメを接続し、撮影した画像を本機から直接メール送信したり、サーバにアップロードしたりといったことも可能だ。こうした点では、本機がPCに最も近い使い方ができるといえる。
Windows Phoneの集大成といえる仕上がり
かつてはWindows Phoneといえば、スマートフォンの代名詞でもあったが、使いこなすためのハードルが決して低いとはいえなかった。OSの提供する機能はそれほどリッチではなく、便利に使うにはToday画面のカスタマイズを含めてアプリの導入が必須。さらに、アプリのポータルサイトは古くから存在するものの、ダウンロードからインストールまでに手間がかかり、アップデートの管理もユーザが行う必要があった。Windows Phoneは長く感圧式タッチパネル対応だったので指での操作には難があり、スタイラスでの操作が面倒と思った人も少くないはずだ。
しかし本機に関していえば、これら過去の印象は、一度捨て去って見てほしい。ホーム画面のカスタマイズはNX!UIが十分カバーしているし、各種設定にも、静電式タッチパネルで操作しやすいUIが提供されている。アプリの導入もWindows Marketplace for Mobileやaplioを利用すれば、予備知識はほとんど必要ない。
筆者はWindows Mobile系端末とはWindows CE1.X世代からの付き合いだが、私物のIS02ではNX!UIのカスタマイズだけで十分快適に使えている。タッチ操作もiPhoneにはチューニングレベルで追いついていないが、使い続けてコツをつかめば指先で快適に操作できる。この点は過去の感圧式タッチパネルのWindows Mobile端末とは比較にならないほど快適だ。
もちろん、これまでのWindows Phoneと同じく“ディープな世界”も存在する。過去のWindows Phone向けアプリがすべてて問題なく動作するわけではないが、カスタマイズ関係のアプリも豊富に存在し、先述した物理キーへの機能割り当てを変更したり、ソフトウェアキーボードの変更もできる。なお、NX!UIをアンインストールしてホーム画面のUIを完全に変更することもできる(ただしIS02ではCメールが受信できなくなる)。
Windowsとの親和性も非常に高く、無線LANで接続したPC内のファイルを直接閲覧、再生、編集といったこともできる。USBホストケーブ経由で接続したマスストレージデバイスでも同様で、ファイルの互換性も高い。Bluetoothを使ってワイヤレスでPCと同期することもできる。クラウド時代には原始的な親和性といえなくもないが、シンプルで分かりやすい。
2010年内にはWindows Phone 7の登場が控えており、本機が搭載するWindows Mobile6.5.3とはアプリの互換性もなくなってしまうので、今Windows Phoneを購入するのはためらってしまう人も多いかもしれない。しかしMicrosoftのサポートは続くし、アプリ供給や対応サービス提供が急速になくなることは考えにくい。本機とアプリベースでの互換性を持つWindows Phoneの稼働数は膨大だし、市場性もまだまだ残る。むしろ本機はWindows Phoneの集大成といえる仕上がりであり、スリムな筐体に収めたQWERTYキーを有効活用できるスマートフォンとして十分な魅力を持つ。音声端末の延長というよりは、「PCのようにスマートフォンを使いたい」という人には特にお勧めといえるだろう。
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