モバイルノートPCを中心に、PCでも採用例が増えているワンセグ機能は、モデルチェンジにともない大幅に強化された。前述の通り、従来機では外付けのPCカードとして提供されていたワンセグチューナーが本体に内蔵されたほか、視聴・録画のアプリケーションも一新されている。
ワンセグの視聴・録画のアプリケーションは、ピクセラの「StationMobile for FMV」からインタービデオの「Mobile TV」に変更された。視聴中の番組録画はもちろん、番組情報を基にした録画予約、字幕表示、2カ国語の音声切り替えにも対応する(現時点でデータ放送には非対応)。画面サイズは100%(320×180ドット)、200%、フルスクリーンに変更可能だ。
ワンセグの視聴画面は常に前面に表示できるほか、受信感度もまずまずで使い勝手に大きな不満はない。ただし、番組一覧や録画予約の設定画面も小さなワンセグ画面の領域に表示するため、設定時の視認性には難がある。また、前述したパフォーマンスの問題もあり、ワンセグを見ながらWebブラウズをするような「ながら見」は実用的ではないと感じた。
そのほか、AV視聴統合環境の「MyMedia」、Webカメラで写真を撮影したり、動画を保存できる「WebCam Companion」、3D加速度センサーの感度調節を行う「Shock Sensor Utility」、カードスロット、光学ドライブ、有線LANなどへの電源供給をコントロールして消費電力を抑える「省電力ユーティリティ」などの独自ソフトウェアを用意している。Office Personal 2007がプリインストールされているのもポイントだ。
新しいFMV-BIBLO LOOX Tシリーズは、モバイルノートPCだからといってむやみに機能を削減するのではなく、着脱式の光学ドライブやワンセグチューナー、Webカメラなどの付加機能を盛り込みつつ、さらなる軽量化にも注力した意欲的な製品だ。そのミドルレンジに位置するT50U/Vは、店頭販売向けモデルでは唯一ワンセグチューナーを内蔵する一方、基本スペックをコンパクトにまとめつつ、OSにVista Home Basicを採用することで、多機能ながら手の届きやすい価格を実現している。ワンセグ内蔵のモバイルノートPCを探しているならば、魅力的な選択肢に映るだろう。
ただし、メーカー製PCのプリインストールOSがWindows XPからWindows Vistaに移行したいま、Celeron Mと512Mバイトのメインメモリという構成はそろそろ厳しくなってきた感がある。Windows XPのころは、Core 2 Duo、Core Duo/Solo、Pentium Mに比べてバッテリー駆動時間こそ減ってしまうが、Celeron Mでも処理速度は必要十分といった風潮があった。実際、国内の大手メーカー製PCでは“多機能だがCeleron搭載で低価格”いったモデルが売れている状況で、パフォーマンス面の不満はあまり出なかった。しかし、Windows VistaではCPUやメモリ容量の差がパフォーマンスに明確に現れてくる。デュアルコアCPUを載せられないような小型軽量モバイルPCでも、できるだけハイスペックな構成を選んだほうが、Vistaがストレスなく扱えることを覚えておきたい。
以上を踏まえてFMV-BIBLO LOOX Tシリーズを選ぶ場合、上位モデルのT70U(Core Solo U1400、1Gバイトメモリ、Vista Home Premium)も併せて検討したいところだが、こちらはワンセグチューナーが搭載されていない。そこで注目したいのが、前述した直販サイトWEB MARTのカスタムメイドモデルだ。カスタムメイドモデルならば、Core Solo U1400、Vista Home Premium、ワンセグチューナーといった構成が可能なほか、Office Personal 2007を省いて価格を調整することができる。また、カスタムメイドモデルでは店頭モデルのカラーを含む9色のカラーバリエーションが選べるため、人とは違ったPCが欲しいと考える向きにおすすめしたい(オリジナルカラーは+1万円)。
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