クアッドコアの特性を伝えたあとは、某ライバル社との比較コーナーに突入。まずは、「社外に出すなと言われたが、面白いから持ってきました」(天野氏)と、料理対決番組をモチーフにしたイメージビデオ「シリコンシェフ」を披露した。
ビデオは、緑色のライバル社(つまり、AMD)とインテルチームが10皿の料理を作るタイムを競争するストーリーで、両社の構造の違いを端的に表している。
AMDチームは、シェフ(コア)ごとに別の冷蔵庫(L2キャッシュ)を持つため、それぞれの冷蔵庫が空になるとシェフが個別に「Main Memory Market」に材料の買い出しに走る。1つの冷蔵庫の容量が小さいため、買い出しの回数は増えるが、移動に使う車(メモリバス)は非常に高速だ。
一方のインテルチームは、共通の大きな冷蔵庫を持っているため材料を調達する回数は少ないが、車は低速なので買い出しには時間がかかる。結果、AMDチームが7皿作る間にインテルチームが10皿仕上げて勝利を収めるという内容だった。
天野氏は、「メモリ周りはライバル社が優秀なので、アチラはメモリ性能を測るベンチマークで、自社の優位性をアピールすることでしょう」と、AMDの特性を認めつつも牽制を忘れない。
ビデオの後、インテルとAMDのクアッドコアの構造について解説。L2キャッシュを2コアで共有するインテル製CPUのメリットを伝える一方で、デュアルコアを2つ搭載しただけの簡単な構造についても言及した。
「自社のクアッドコアは、AMDもいうように“なんちゃってQuad Core”です。しかし、この方法なら製造コストが安くなって、大量生産しやすいんです。普及価格帯でクアッドコアCPUを出すための、打ち出の小槌的な発想といえるでしょう」(天野氏)と語った。
イベントの冒頭で天野氏は「2007年第3四半期までにクアッドコアCPUを100万個売る」という計画を説明する中で、「7月ごろに出荷数が急激に上がると見ています」とコメントしていた。その根拠が上記の“打ち出の小槌的”な技術にあるとすれば、まもなく普及価格帯のクアッドコアCPUが登場する可能性は高い。
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