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» 2007年07月11日 20時25分 UPDATE

ただの製品ブランドではない──「Vostro」で示すスモールビジネスの“本気度”

デルは7月11日に、新しく立ち上げたブランド「Vostro」の説明会を行った。必然性を訴求しにくい「小規模企業ユーザー向け製品」の存在理由とはなんであろうか。

[長浜和也,ITmedia]

 デルが新しく立ち上げた「Vostro」(ボストロ)は、企業向け「OptiPlex」「Latitude」、個人向けの「Inspiron」「Dimension」に続くブランドとして、1人から100人未満の小規模企業における導入を狙ったラインアップとなる(最近加わった「XPS」「ATG」は特定ユーザー向けの製品群に使われるブランドで、先に記したシリーズとは性格がやや異なる)。

kn_ev_vosront.jpg Vostroブランド第1弾ノートPCとなる「Vostro 1000」(左)、「Vostro 1400」(中)、「Vostro 1500」(右)
kn_ev_vosrodt.jpg 同じく、Vostroブランド第1弾デスクトップPCの「Vostro 200スリムタワー」(左)と「Vostro 200ミニタワー」(右)

 企業向けのPCラインアップを擁するPCメーカーには、大企業向け製品と中小企業向け製品を分けて扱うケースが見られるが、「大企業」向けと「中小企業」向けとで、PCに求められるものにどのような違いがあるのかを明確に訴求することが難しく、ユーザーにその違いが理解されているとは言いがたい状況にあると聞く。デルはこれまで、中小企業向けの商談においてはユーザーのリクエストとその企業の状況に応じて、ハードウェアはInspiron/DimensionやLatitude/OptiPlexから適切なものを選んで納入し、サポートは大企業向けメニューからユーザーの規模と需要に合わせてカスタマイズしてきたという。そういった「複雑なラインアップ」に対応してきたデルの中小企業向け営業部隊が、Vostroの登場によって、スッキリと分かりやすい製品とサポートを提案できるというメリットが社内的な事情として考えられると関係者は語っていた。その一方で、Vostroはユーザーにどのようなメリットを提供してくれるのだろうか。

 説明会の最初に登場した同社の中島耕一郎(クライアント製品マーケティング本部本部長)は、「デルはほかの国内や外資のPCメーカーと比べて歴史が浅く若い会社。創業してから7年から8年間は、デルも“ベンチャー”であったし、顧客もスモールビジネスやお金のない学生だった。マイケル・デルが会社を登記したときの資本金は1000ドル。これがデルの原点だった」と、デルもかつては“スモールビジネス”であったことを紹介。次いで、「デルはユーザーの規模に関係なく、ITの“TOTAL EXPERIENCE”を提供する」と述べ、中小企業のユーザーに対しても大企業のユーザーを同じような製品とサービスを提供するというデルの姿勢を示した。「スモールビジネスにおけるIT技術の活用をシンプルに提供するのが“Vosrto”の目的です」(中島氏)

 続いて登場した同社の小林治朗氏(ホーム・スモールビジネスマーケティング本部 ディレクター)が、「新ブランドの意味するもの」を紹介。「全産業売り上げの47%はスモールビジネスが占める」「全従業員の75%がスモールビジネスに従事」「改善されたが大企業と比べて依然として差がある収益力」といった日本経済におけるスモールビジネスの現状を紹介したうえで、Vostroは「プロ仕様」「カスタマイズ対応」「体験版ソフトなし」といった性格を持つPCと「電話で24時間365日が標準」のサポート体制、「スモールビジネスに精通した」デルの営業部隊、「大企業向けと同様の高度なサポートオプション」の対応など、単体の製品だけでない「トータルでソリューションを提供していく」(小林氏)のがVostroであると、スモールビジネス向けブランドの意義を説明した。

kn_ev_vosronaka.jpg デル クライアント製品マーケティング本部本部長の中島耕一郎氏
kn_ev_vosrokoba.jpg デル ホーム・スモールビジネスマーケティング本部 ディレクターの小林治朗氏

 別記事で紹介したように、PC単体だけで見ると個人向けのInspironをベースに、導入するOSにWindows XPを加えたり筐体の色をシルバー基調から黒基調にしたりと小規模な変更を加えているが、選任のIT管理者を持たない小規模企業に導入されるVostroとしては、製品のスペックとともに充実したサポートが大きな特徴となる。Vostroの製品群といっしょに提供されるサポートメニューについて、デルの橘宏至氏(サービスマーケティング本部シニアマネージャー)が説明。ユーザーが求める利便性の高さと安価なコストを両立させるために、大企業向けのサポートメニューをベースに、基本的なサポートサービスを拡充し価格設定を見直すことで小規模の企業にあったVostroのサポートを提供するとしている。

 Vostroで提供される標準サポートメニューには「24時間365日テクニカル電話サポート」、「デルコネクト」(サポート側からリモート操作でトラブルに対応)、「デルサポートセンター」(トラブルシューティング情報を簡単に取得)、「デルサポート」(パッチプログラムの自動アップデートユーティリティ)、「E-mailサポート」、「電話予約サポート」(事前に時間を予約してサポート電話をかけてもらう)、「1年間引き取り修理サービス」、「1年間パーツ保証」が用意される。

 また、有償で、複数のサポートメニューを組み合わせてひとまとめにしたサポートプラン「ビジネスケア」「ビジネスケアプラス」「ビジネスケアプレミアム」を選択できるようになる。それぞれのサポートプランの価格は「ビジネスケア」で1万円前後、「ビジネスケアプラス」で1万5000円から2万円、「ビジネスケアプレミアム」で2万円から2万5000円となる予定。ビジネスケアでは標準で1年間のパーツ保証期間が3年間に延び、ビジネスケアプラスでは翌営業日出張修理サービスが追加され、ビジネスケアプレミアムでは破損や盗難保証に対応するコンプリートケアとユーザーごとに割り当てられる専用ダイヤルによる24時間対応のゴールドテクニカルサポートが利用できる(ノートPCでは海外主要国でもサポートを受けられるインターナショナルサービスも追加)。

kn_ev_vosrospon.jpg Vostroユーザーに標準で提供されるサポートメニュー
kn_ev_vosrospou.jpg Vostroユーザー向けのアップグレードサポートメニュー。このリストはデスクトップPC向けで、ノートPCでは“プレミアム”に海外におけるサポートメニューが加わる

 先に述べたように、「大規模な企業のユーザー」「小規模な企業のユーザー」を分ける明確な指標がユーザーに理解されにくい状況であるが、“Vostroブランドの意味するもの”を紹介した小林氏は、「“Vostro”にあってOptiPlexやInspironにないものは?」の問いに対して、「製品の違いというよりも(スモールビジネスに特化した営業部隊やサポート部隊といった)トータルなソリューションの違いであると理解していただければ」と回答している。

 小林氏は加えて、「“Vostro”ブランドの立ち上げは、単に新しいブランドに対応した製品が登場したということだけではなく、デルがスモールビジネスユーザーに対して力を入れていくことの表明でもある」と語った。

kn_ev_vosro.jpg 単なる製品ではなく、「製品」「サポート」「営業」といった“総合力”がVostroブランドであるとデルは説明している

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