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» 2009年08月06日 10時30分 UPDATE

AtomでもフルHDがOKよ──“ION”搭載超小型ベアボーン「Valore ION 330」で遊ぶ (1/3)

一部の自作ユーザーから熱烈に支持されているAtom搭載マザーボードだがHD動画の再生には力不足。この弱点を解消する“ION”搭載ベアボーンを試してみた。

[長畑利博(撮影:矢野渉),ITmedia]

 AtomはNetbookやNettopといった低価格のコンプリートPC向けCPUという印象が強いが、低価格で省電力、そして超小型なPCを構築できるので、自作PCユーザーでもNASやFTPサーバ、大画面テレビに接続するセカンドPCなどの用途として人気がある。しかし、Atomに対応するマザーボードで使われる標準的なグラフィックスコアのIntel GMA 950では、3Dグラフィックスを多用するゲームだけでなく、フルHDクラスの動画再生にも性能が不足する。

 そういう状況を解決する方法として注目されているのが、AtomとGeForce 9400MGチップセットを組み合わせたNVIDIAの「IONプラットフォーム」だ。チップセットのGeForce 9400MGは、デスクトップPC向けGPUのバリュークラスに相当するグラフィックスコアを統合しているので、動画再生支援機能の「PureVideo HD」やNVIDIAのGPGPU向け開発環境「CUDA」に対応したアプリケーションをサポートしているのが特徴だ。

本体は超コンパクトで超シンプル

kn_valore_01.jpg コンパクトな「Valore ION 330」。今回試用したのはホワイトカラーのモデルだ。ラインアップにはブラックモデルも用意されている

 ユニティの「Valore ION 330」は、このIONプラットフォームに対応したテスクトップベアボーンキットだ。CPUにはデュアルコアの「Atom 330」を組み込んでいる。Atom 330はハイパースレッドに対応しているので、4つのスレッドを同時に実行できることになる。

 Valore ION 330の本体は、195(幅)×186(奥行)×70(高さ)ミリと、片手で持てるほどに小さい。前面は光学ドライブと電源スイッチだけというシンプルなデザインになっている。背面にはUSB 2.0×5、ギガビットに対応した有線LAN、S/PDF光端子(角型)、ヘッドフォン端子、マイク端子、HDMI、アナログRGB出力といったインタフェースを備える。DVI対応ディスプレイとの接続は標準で付属するHDMI−DVI変換アダプタを使用する。十分な種類のインタフェースが用意されていると言えるが、本体内部に増設ができない構造であるため、5基あるUSB 2.0のうち、1基はeSATA兼用であってもよかったのでないだろうか。

kn_valore_02.jpgkn_valore_03.jpg 前面はインタフェースを持たないシンプルなデザインとなっている(写真=左)。背面は、USB 2.0×5、有線LAN、S/PDF対応光端子(角型)、ヘッドフォン端子、マイク端子、HDMI、アナログRGB出力が搭載されている。前面にUSBが1つあってもいいかもしれない

アクセスは簡単だが、拡張の余地はなし

 ベアボーンキットなので、標準でHDDやメモリは付属しない。自分で購入して組み込むことになるが、そのため、誰もが一度は本体内部にアクセスする必要がある。コンパクトなボディなので、組み込み作業は面倒かと思いきや、CPUがオンボードであることや、組み込むパーツが少ないこともあって、セットアップは簡単に行なえる。本体内部へアクセスは、背面のネジを2つ外してトップパネルを取り外す。この段階でスリムタイプの光学ドライブを取り付けたドライブベイが姿を現す。組み込み作業では、この時点で光学ドライブに接続しているSerial ATAケーブルを外しておくといいだろう。

 ドライブベイを固定している2つのネジを外して、光学ドライブごと取り外せばマザーボードにアクセスできる。マザーボードは個性的な製品を開発することで知られるASRockの「AMCP7A-ION」だ。ASRockに対して“トリッキーでとっても過激”というイメージを持つ自作PCユーザーも少なくないが、Valore ION 330のマザーボードはメモリスロットが2基、Serial ATAが2基といたって標準的な構成だ。Serial ATAコネクタはHDDと光学ドライブで使ってしまうため、事実上、ユーザーが拡張できる余地はない。さすがのASRockも“個性”を発揮することができないぐらい切り詰めたレイアウトになっている。

 なお、このサイズのキューブPCではノートPC用のSO-DIMMを採用しているモデルも多いが、Valore ION 330はデスクトップPC用のDDR2-800が利用できる。DDR2ではS0-DIMMとDIMMの価格差が少ないが、デスクトップPC用のメモリを使えるとほかのシステムから流用できるなど、なにかと柔軟性が高い。

 HDD、もしくはSSDのデータストレージは、ドライブベイに設けられた2.5インチドライブ用のマウンタに取り付ける。高さは余裕があるので厚さ12ミリのドライブも取り付けられるが、ケース内部の冷却に余裕がないのでできるだけ発熱量の少ないドライブを選ぶようにしたい。

kn_valore_04.jpgkn_valore_06.jpgkn_valore_05.jpg ケースのパネルを開けると、そのほとんどのエリアを光学ドライブが占めている。評価した機材に搭載されていた光学ドライブは、Lite-OnのOEM向けDVDスーパーマルチドライブ「DS8A3S」だった(写真=左)。ドライブベイは2段構造になっていて上の段に光学ドライブを組み込み、下の段には2.5インチサイズのドライブを搭載できる(写真=中央)。ドライブベイを取り外すとマザーボードにアクセスできる。標準で用意されるSerial ATAケーブルも長さがちょうど良く調整されているので、このサイズのケースとしては取り回しは悪くない(写真=右)

 本体内部の冷却では、フロント側の3センチ角ファンとリア側の5センチ角ファンを直列に配置することで、風を直線的に流すようにしている。この空気の流れでCPUとチップセットのヒートシンクとドライブベイを冷やす仕組みになっている。2つのヒートシンクのうち、フロント側がAtom 330で、リア側の大きなヒートシンクがGeForce 9400MGになる。ただ、ファンのサイズが小さいこともあって、負荷をかけた長時間動作では、熱がこもりやすい傾向が見られた。

kn_valore_07.jpgkn_valore_08.jpgkn_valore_09.jpg マザーボードには、自作PCに“過激なベンダー”と恐れられているASRockの製品を採用する。しかし、その構成はいたって標準的だ(写真=左)。フロント側のヒートシンクを外してAtom 330を見る。デュアルコアダイ構成になっていることが分かる(写真=中央)。GeForce 9400MGのヒートシンクを外す。マザーボードでは大きな面積を占めている。「MPC7A ION」の刻印に注目(写真=右)

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