Apple対抗!? MS版「Slate」を披露──WindowsワールドをアピールするバルマーCEO2010 International CES(1/2 ページ)

» 2010年01月08日 01時43分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Microsoftの提案する3つの訴求ポイント「Cloud」「Screens Everywhere」「NUI」

photo 「マイクロソフトの技術で、リビングルーム、ひいては家電の世界ももっと楽しくなる」をアピールする米Microsoftのスティーブ・バルマーCEO

 10年あまりにも及ぶ期間でCES開催前日のプレキーノートを担当し、CESの顔だったとも言うべきビル・ゲイツ氏が同ステージを去ったのが2008年のこと。PC業界の巨人マイクロソフトと家電業界最大のイベントという、遠いようで近いような両者の関係だが、PC技術の拡大・進化と家電のデジタル化という形で双方が歩み寄ることで、その距離はしだいに縮まりつつある。

 そのゲイツ氏のステージを引き継いだ米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOがCESの顔として登場するのは今回で2回目。Microsoftきっての営業マンとして名高い彼は、いったいこのラスベガスの地で何を見せてくれるだろうか。


 リビングルームでテレビを見るというスタイルが確立されたのが1960年代ごろだとすると、それから50年あまり経ってもなおスタイルそのものは大きく変化していない。一方で、テレビはモノクロからカラーが一般的になり、デジタル化でハイビジョン画質の送波・配信が容易になりつつある。さらにデータ放送、多チャンネル視聴やオンデマンド配信、CESのテーマの1つである3D対応のほか、さらにコミュニケーションを組み合わせた新しい視聴スタイルも生まれ、デジタルやコンピュータ技術を組み合わせることで、半世紀という期間を経て、人間がリビングルームにいるという構図そのものは変化していなくても“できること”が増えつつある。バルマー氏がまず伝えたかったのは「マイクロソフトの技術で、リビングルーム、ひいては家電の世界ももっと楽しくなる」ということだ。


photo Microsoftの提案する3つの訴求ポイント「Cloud」「Screens Everywhere」「Natural User Interface(NUI)」

 この分野において、同社ができることとして挙げたのが「ネットワークを使った新しいサービス群(Cloud)」、「コンテンツをさまざまなデバイスで利用(Screens Everywhere)」、「自然なUI(Natural User Interface:NUI)」の3つのテーマだ。

 マイクロソフトは以前よりWindows Liveのブランド名で各種Web連携サービスを提供しているが、2009年は新たな検索サービス「Bing」を開始、さらにSilverlight技術を用いて街巡りそのものを楽しめるサービス「Bing Maps」を大幅アップデートした。このほか、ゲーム以外のコミュニケーションサービスとしても進化しつつあるXbox Live、FacebookやTwitterとの提携など、単なる音声通話やメールにとどまらない、さまざまなコミュニケーション手段をさかんに提案したのが近況だ。同社によると、ヒューレット・パッカード(HP)との提携により、HPが世界で販売するPCの標準検索システムとトップページがBing(MSN)に設定された状態で出荷されることになったという。


photo 米Microsoftエンターテイメント&デバイス部門プレジデントのロビー・バッハ氏

 また、従来型のPCフォームファクタにこだわらないことも最近の同社の特徴といえる。その1つは車載PCで、フォード車に搭載された「Sync」など、カーエンターテインメントやナビゲーションシステムを組み合わせた総合的なPC利用シーンを車に持ち込んでいる。また2009年10月にリリースされたばかりのWindows Mobile 6.5搭載スマートフォンや、2009年9月にリリースされた携帯メディアプレイヤーのZune HDなど、小型で、いわゆる“PC”の形状をなしていないデバイスにも技術が多く投入されてきた。

 このほか、テレビとPCを接続(リンク)するシーンも近年盛んに叫ばれている。Mediaroomを通してIPTVによるオンデマンド配信コンテンツを楽しんだり、Media Centerを通してPC内のコンテンツやほかのポータブルデバイスなどとも連携するなど、さまざまな機能を利用できるようにした。例えばMediaroomなどを通して得たコンテンツは、リビングルームの大型テレビはもちろん、寝室の別PC、あるいは携帯電話やZune HDなどのポータブル機器での閲覧も可能にするなど、表示する画面(スクリーン)を選ばない使い方──「Screens Everywhere」が実現する。

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