「IPS236V」実力診断――2万円台前半で買える新IPSパネル搭載の23型フルHD液晶安いときれいは両立するか(1/4 ページ)

» 2010年11月29日 06時00分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

IPSパネル搭載の液晶ディスプレイに新展開

LGエレクトロニクス・ジャパンの「IPS236V」。実売価格は2万4000円前後

 このところ立て続けに低価格なIPSパネル搭載ワイド液晶ディスプレイが登場している。これを後押しするかのように、LGエレクトロニクスの日本法人であるLGエレクトロニクス・ジャパンは2010年10月27日、新型IPSパネル「UH-IPS」および「S-IPS II」を搭載したフルHD液晶ディスプレイの新モデルを発表した。これらは「IPS6 series」と総称される。

 IPS6 seriesの眼目は開口率の向上だ。UH-IPSは従来のH-IPSと比べて、18%もの向上を実現。さらにS-IPS IIは、このUH-IPSよりも開口率を11.6%向上している。これによって、IPSパネルの課題である開口率の低さに起因する輝度とコントラストの低下を抑えているのだ。また、同社の液晶ディスプレイらしい低価格設定も大きな魅力といえる。

 今回は2010年12月上旬の発売を前に、IPS6 seriesの23型フルHD液晶ディスプレイ「IPS236V」を入手できたので、画質や機能をチェックしていきたい。なお、今回試用したのは海外版なので、国内版と一部異なる可能性があることをあらかじめお断りしておく。

左からH-IPS、UH-IPS、S-IPS IIの内部構造。右に行くほど開口率が上がる

開口率を従来比で18%高めたUH-IPSパネル搭載

1920×1080ドット表示の23型UH-IPSパネルを搭載。パネル表面はノングレアだ

 まずは基本的なスペックをなぞっていこう。液晶パネルは前記の通り、IPS方式の新型パネルを採用している。

 IPS236Vが搭載するパネルはUH-IPSだ。2010年10月27日の発表当初はさらに開口率が高いS-IPS IIパネルを装備するとしていたが、PC USER編集部で借用した機材の液晶パネルをマイクロスコープで確認したところ、違うパネルを搭載していることが判明し、これをメーカーに問い合わせた結果、11月22日に訂正のニュースリリースが出されるに至った(S-IPS IIは21.5型の「IPS226V」に採用)。

 IPS236Vに最新のS-IPS IIパネルを期待していた人にとっては寝耳に水だったと思うが、出荷前に製品情報が訂正されたのは不幸中の幸いだろう。ちなみに原因は、LGディスプレイとLGエレクトロニクス本社間における情報の伝達ミスによるものとされている。

 パネルサイズは23型ワイド、解像度は1920×1080ドットでフルHDに対応する。バックライトにはエッジライト式の白色LEDを用いており、消費電力や発熱を抑えている。消費電力は通常動作時で36ワット、省電力/スリープモード時で0.5ワット以下だ。

 輝度は250カンデラ/平方メートルとなっており、直下式バックライトではないこのサイズのIPS液晶ディスプレイとしてはまずまず。コントラスト比はパネル本来のスペックで1000:1と、IPS方式にしてはやや高めだ。さらに、LEDバックライトの調光制御と映像処理エンジン「f-ENGINE」によって、ダイナミックコントラスト比は最大500万:1にも及ぶ。この辺りの性能に開口率を上げたUH-IPSパネルが貢献していると思われる。

 IPS方式ということで、視野角はさすがに広く、水平/垂直とも178度を確保している。TN方式より視野角特性が優れているのは当然として、VA方式に比べても、斜めから見た場合の色度変位が小さい(色が変わりにくい)。色域については公表されていないが、目視および後に掲載した測定結果から、sRGB相当の標準的な色域となっている。最大表示色は約1670万色だ。応答速度は中間階調から中間階調(GTG)で14ms、中間階調から白/黒で6msとなっている。

「IPS236V」が搭載するUH-IPSパネルをマイクロスコープで撮影。従来のH-IPSと比べて、開口率を18%アップした。画素の形状は従来のH-IPSにかなり近い
「IPS226V」が搭載するS-IPS IIパネルをマイクロスコープで撮影。UH-IPSと比べて、開口率をさらに11.6%向上している。形状がIPS236Vとは明らかに異なる

個性的なデザインのボディに3系統入力を装備

 ボディは液晶ディスプレイ部、スタンド部とも一風変わったデザインだ。まずは液晶ディスプレイ部だが、バックライトにエッジライト式の白色LED、電源にACアダプタを採用することで、スリムに仕上げている。デザインの見栄えを考慮してか、フレーム部を光沢仕上げにしており、ディスプレイ部の下辺もクリアパーツとしているが、液晶パネル自体は光沢がないノングレアタイプなのに、周辺の光がフレームに反射するため、個人的にはマイナスポイントだ。

 円形のベースと円柱のネックで構成されるスタンド部はなかなかに凝ったデザインで、ネックにオレンジのクリアパーツを取り込んでいる。このデザインをスタイリッシュと高評価する向きもあるだろう。機能はシンプルで、下5度/上15度のチルト調整に対応する一方、スイベルや高さの調整は行えない。ただ、液晶ディスプレイ部の背面にはVESAマウント規格に準拠したネジ穴(75ミリピッチ)が設けられているので、市販のフレキシブルアームなどと組み合わせることは容易だ。

 本体サイズは548.7(幅)×230(奥行き)×421.9(高さ)ミリ、重量は約3.95キロだ。最近の23型ワイド液晶ディスプレイとしては標準的なサイズだが、円形のベースの後方にネックがあることから、設置するとベースが画面の前方に張り出すうえ、ベース自体に厚みがあるため、机に置いたキーボードと少し干渉しやすかった。

 背面にはD-Sub、DVI-D(HDCP対応)、HDMIの映像入力端子とステレオミニのヘッドフォン出力端子が並ぶ。コネクタの向きはいずれも水平なので、背面に少しスペースが必要になるが、ケーブルの抜き差しはしやすい。スピーカーは内蔵しないシンプルな設計だ。

背面はシンプルなデザイン。カラーは光沢ブラックだ
チルト調整で下5度に画面を傾けた様子
チルト調整で上15度まで画面を傾けた様子

スタンドのネックにはオレンジのクリアパーツを取り込んでおり、デザインのアクセントになっている
映像入力はD-Sub、DVI-D(HDCP対応)、HDMIの3系統。HDMI入力の音声を出力するヘッドフォン端子も備える
電源ユニットは内蔵せず、ACアダプタで供給する。写真は海外モデルなので、電源ケーブルの仕様が違っている

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月19日 更新
  1. 無償版「Copilot」でもフルタイムでGPT-4 Turboが利用可能に/「Copilot for Security」が4月1日から一般提供開始 (2024年03月17日)
  2. ナゼか小型タブレットでお絵描きにハマりそう! NECPC「LAVIE Tab T14/T9」 の実機を試して分かった驚き (2024年03月18日)
  3. 最高6.2GHzで動作するCoreプロセッサ現行最上位の「Core i9-14900KS」がデビュー! (2024年03月18日)
  4. 外付けGPU「ONEXGPU」でビジネスノートPCをパワーアップしてみた オンライン会議における“もっさり”の解決策になる? (2024年03月19日)
  5. 総務省がCHUWI(ツーウェイ)を「行政指導」 一部モデルで認証の取得漏れなどが判明 当該機種では「5GHz帯Wi-Fi」は使わないように (2023年04月13日)
  6. ロープロで2スロット厚! NVIDIA RTX 2000 “Ada世代”のグラフィックスカードが登場! (2024年03月16日)
  7. 新「M3 MacBook Air」は守備範囲の広さが魅力 MacBook Proとの違いはある? 買い替え検討者に伝えたい注目ポイント (2024年03月14日)
  8. PCの累計生産台数5000万台突破目前! 「島根富士通」が出雲にある理由 (2024年03月15日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. Copilotで画像を生成できる「Image Creator」を試してみよう (2024年03月15日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー