最短で3日、通常4日という短期間修理の実現は、顧客データを一元管理する同社のシステムによるところが大きい。
「1日修理の特徴として保証書が不要という点も挙げられますが、これは製品の購入日やスペック、保証サービス、お客さまの情報などをすべて弊社の基幹システムで一元管理しているためです。修理センターでは、故障したマシンがいつ届くのか、そのマシンがどのような構成なのか、故障の状態などをスタッフがすぐに把握できますし、どういった処置をしたのかといった情報も逐次アップデートされていきます。ノートPCの修理工場は東京、デスクトップPCは長野にありますが、これはどちらも同じです」(宮坂氏)。この体制はメーカーと顧客がダイレクトにつながる(間に量販店を挟まない)直販PCならではのメリットだろう。
そして1日修理は、2007年10月から土日も休まずに稼働を始めた。指定休業日を調べてみると、年末年始(12月29日〜1月5日)はさすがに休みだが、例えば2008年の2月は指定休業日が1日しか設定されていない。“1秒でも早く”という言葉に込められた強い意志を感じさせる。
「10月からさらにサービスを強化し、土日も含めて動くようになりましたが、修理に関する満足度調査でも高い評価を頂いております。“早い”“土日もやっていて助かった”という声が多いですね。特にPCを仕事で使われている方には喜ばれております。ビジネスはスピードが重要になってきますし、待ってはくれません」(宮坂氏)。
しかし、この画期的な短期修理サービスもまだまだ改善の余地はあるという。いままでも6年の歳月をかけて、人員の配置や修理体制を手探りで最適化してきた。「1日修理サービスは、修理センターだけでなくテクニカルセンターやカスタマーサービスセンター、配送も含めて評価されるので、毎月定例会議をやって常に改善項目を話し合い、全体で品質管理を上げていく活動を地道に、継続的にやっています。最短3日でお返しするといっても、お客さまの手元にはPCが3日間なくなるわけで、それは修理する側にとっては短い時間でも、お客さまにとっては長い時間ですから」(宮坂氏)。
エプソンダイレクトの社内には「支持率を上げていこう」(宮坂氏)という理念が浸透しているという。製品を売るだけではだめで、製品を売った後こそ重要だ、という考え方だ。確かに、PCのコモディティ化が進み、機能や価格による差別化が難しくなれば、購入後のサポートは大きな訴求点になるだろう。「安心」「信頼」を付加価値として創出するエプソンダイレクトの取り組みは、PCが生活必需品になったいまだからこそ、非常に心強いものに感じられる。
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