エプソンは6月28日、3LCD方式のビジネス向け液晶プロジェクター10機種を発表した。モバイルモデル4機種、スタンダードモデル2機種、多機能パワーモデル4機種およびオプションの書画カメラを一挙に投入する。発売日は、スタンダードモデルの2機種「EB-S12H」「EB-S02H」が2012年7月25日、そのほかのモデルは2012年6月29日だ。書庫カメラの「ELPDC20」は2012年9月中旬に発売予定だ。いずれも価格はオープンで、想定実売価格は下表の通りだ。
今回の新製品は、台形補正機能「ピタッと補正」の進化や、2画面表示への対応といったソフトウェア面の更新が主な見どころだ。ハードウェア面ではDisplayPort入力を追加するなど、インタフェースを強化した機種が多い。
ピタッと補正については、「自動タテ・ヨコ補正」機能の性能が向上した。プロジェクターが投写面とプロジェクターの位置関係を検知し、自動で縦方向/横方向の台形補正を行い、フォーカスを調整するようになった(従来は、同機能を使う際にボタンを押す必要があった)。
プロジェクター新機種の主な仕様 | ||||||||
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製品名 | カテゴリ | 解像度 | 明るさ | コントラスト比 | 倍率(ズーム) | フォーカス | 重量 | 想定実売価格 |
EB-1776W | モバイル | 1280×800 | 3000ルーメン | 2000:1 | 1.2(手動) | オート | 約1.7キロ | 17万円台後半 |
EB-1771W | モバイル | 1280×800 | 3000ルーメン | 2000:1 | 1.2(手動) | 手動 | 約1.7キロ | 15万円台後半 |
EB-1761W | モバイル | 1280×800 | 2600ルーメン | 2000:1 | 1.2(手動) | 手動 | 約1.7キロ | 10万円台後半 |
EB-1751 | モバイル | 1024×768 | 2600ルーメン | 2000:1 | 1.2(手動) | 手動 | 約1.7キロ | 8万円台後半 |
EB-1965 | 多機能パワー | 1024×768 | 5000ルーメン | 3000:1 | 1.6(手動) | 手動 | 約3.9キロ | 28万円台後半 |
EB-1960 | 多機能パワー | 1024×768 | 5000ルーメン | 3000:1 | 1.6(手動) | 手動 | 約3.7キロ | 26万円台半ば |
EB-1945W | 多機能パワー | 1280×800 | 4200ルーメン | 3000:1 | 1.6(手動) | 手動 | 約3.9キロ | 28万円台後半 |
EB-1940W | 多機能パワー | 1280×800 | 4200ルーメン | 3000:1 | 1.6(手動) | 手動 | 約3.7キロ | 26万円台半ば |
EB-S12H | スタンダード | 800×600 | 2800ルーメン | 3000:1 | 1.35(デジタル) | 手動 | 約2.3キロ | 4万円台後半 |
EB-S02H | スタンダード | 800×600 | 2600ルーメン | 3000:1 | 1.35(デジタル) | 手動 | 約2.3キロ | 3万円台後半 |
モバイルモデルは厚さが44ミリと、3LCD方式としては世界最薄のプロジェクターだ(2012年6月28日現在、エプソン調べ)。本体サイズが292(幅)×210(奥行き)×44(高さ)ミリ、重量が約1.7キロのコンパクトボディを採用する。ノートPCやタブレットデバイスなどと客先に持っていくことを想定したモデルで、短い距離で大画面を投写できる単焦点レンズを備える。
ラインアップは、明るさ3000ルーメンの「EB-1776W」「EB-1771W」と、明るさ2600ルーメンの「EB-1761W」「EB-1751」の4種類だ。液晶パネルはEB-1751が1024×768ドットで、それ以外は1280×800ドット。コントラスト比はすべて2000:1となる。
EB-1776Wは「自動タテ・ヨコ補正」に対応するほか、スクリーンの大きさに合わせて台形補正を行う「フレームフィット」機能を利用できる。ほかの3機種については縦方向のみ、歪みの自動検知/修正機能を備える(横方向は手動でスライド式)。映像入力インタフェースは、アナログRGB、コンポジットビデオ、HDMIを備えており、USB経由で映像と音声を転送できる「USBディスプレイ」機能にも対応する。
今回の新モデルでは、異なる映像入力による「2画面表示」機能を備えた。画面を左右に分割し、それぞれの映像を縮小表示する。この機能により、2つのデータを投写して比較したり、議事録とプレゼンの資料を同時に投写するといった使い方が可能となった。このほか、レントゲン写真などの表示に向くカラーモード「DICOM SIM」に対応した。
USBメモリなどを接続し、メモリ内のコンテンツを直接投写できる「スライドショー」機能は、従来のJPEG、BMP、PNG、GIF形式のファイルに加えて、PDF、Motion JPGに対応した。
大型の会議室で使うことを想定する多機能パワーモデルは、4機種を投入する。明るさ5000ルーメンで、解像度が1280×800ドットの「EB-1965」「EB-1960」と、明るさ4200ルーメンで、解像度が1024×768ドットの「EB-1945W」「EB-1940W」だ。
既存モデルの「EB-1880」よりも明るさが1000ルーメン向上し、コントラスト比も2500:1から3000:1に強化している。
画像補整機能はEB-1965とEB-1945Wが「自動タテ・ヨコ補正」と「フレームフィット」の両方に対応、EB-1960とEB-1940Wは縦方向のみ、歪みの自動検知/修正機能を備える(横方向は手動でスライド式)。また、EB-1965とEB-1945Wは、最大32台のPCをネットワーク経由で接続し、同時に4画面まで表示できる「EasyMP Multi PC Projection」機能に対応する。
今回のモデルでは、映像入力インタフェースに新しくDisplayPortを追加した。このほかアナログRGB×2、HDMI、コンポジットビデオを備える。本体サイズは377(幅)×271(奥行き)×93(高さ)で、重量は約3.9キロ。
ビジネス用途に加えて、コンシューマー向けの用途も想定しているスタンダードモデルは、想定実売価格がそれぞれ4万円台の「EB-S12H」、3万円台の「EB-S02H」という廉価なモデルを用意する。解像度はともに800×600ドットだ。同社が2011年9月に発売した「EB-S12」「EB-S02」から基本仕様を引き継ぎつつ、インタフェースにHDMI入力を追加した。
明るさは「EB-S12H」が2800ルーメン、「EB-S02H」が2600ルーメン、コントラスト比は3000:1、映像出力インタフェースはUSBディスプレイに対応するほかアナログRGB、コンポジットビデオ、S-Video、HDMIを備える。本体サイズは295(幅)×228(奥行き)×77(高さ)ミリ、重量は2.3キロと持ち運びにも適したサイズとなっている。
書画カメラ(実物投映機)の「ELPDC20」は、机上に設置したものを内蔵カメラで撮影してプロジェクターやテレビ、PCに出力するためのオプションだ。2010年10月に発売した同種の製品「ELPDC11」の上位モデルとなる。
200万画素の1/2.7型CMOSセンサー(有効画素数1920×1080ドット)を搭載し、最大A3サイズまでの撮像が可能。最大12倍の光学ズームと10倍のデジタルズームを備える。
インタフェースはアナログRGB入出力、HDMI出力、USB 2.0×2(USBディスプレイに対応)、音声出力、SDHC対応SDメモリーカードスロットを備えており、動画の撮影も可能だ。本体サイズは収納時が367(幅)×122(奥行き)×120(高さ)ミリで、セットアップ時が210(幅)×312(奥行き)×477(高さ)ミリ。重量は約3キロだ。
製品発表会では、エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏が登壇し、2011年度のプロジェクター市場について振り返った。2011年度のエプソンは四半期ごとにシェアを伸ばし、第4四半期ではシェアが56%となっている(富士キメラ総研調べ)。これについて中野氏は「2011年度は新製品を投入するごとにシェアが増えていったイメージがある」と述べ、2012年度も積極的に製品を投入するとアピールした。
2012年度の目標について「4、5月時点ではシェアは約54%となった。今年度はシェア60%を目指す」と中野氏は述べた。2012年度におけるプロジェクター新製品全体の販売台数目標は、約12万台としている。
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