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» 2012年09月19日 11時30分 UPDATE

薄く、軽く、広く、よりパワフルに:「iPhone 5」はやっぱり史上最高のモデルチェンジ (4/5)

[林信行,ITmedia]

iOS 6はアップルにとって未来への投資

 OSの話をすると、iPhone 5は200近い新機能を搭載した「iOS 6」に最適化されている。iPhone 5の本体そのものがそうであったように、iOS 6もかなり意欲的なアップデートになっており、それまで人気の標準機能だったGoogleの地図機能や、特に小さな子供を持つお母さんに人気があったYouTubeの機能もなくなってしまった。

 ただし、これはiPhoneでYouTubeが見られなくなる、というわけではない。実際、GoogleはiPhone 5の発表と前後して、iOS用のYouTubeアプリケーションを新たにリリースしている。同様にGoogleが間もなく、グーグルマップのiOS用アプリを出すというウワサもつきない。

 それでは、グーグルマップに変わって、新たにアップルが開発したという地図の使い勝手はどうだろうか。拡大/縮小自由自在のベクターグラフィックスを採用し、見た目もスッキリ、表示までの時間も速くなった地図機能は、拡大していくとお店情報がアイコンとして表示され、その1つをクリックすると、店名や電話番号など細かな情報が表示される。

 ここまではなかなかいい。ここで店名の左側にある緑色の車のアイコンをタップすると、実は歩きや電車での行き方の代わりに、車でのルートが表示され、右上の「出発」ボタンを押せば、iPhoneがカーナビとして機能し始める。

 ただし、Siriの日本語がおぼつかなく「この先3キロメートル、環八(=環状八号線、通称、カンパチ)を左折」は「コノサキサンキロメートル『ワハチ』ヲサセツ」になってしまったりと、画面を見ながらでないと安心して使えない印象だ。また、地下鉄の路線などの情報も入っていないため、これまではできていた路線検索ができなくなってしまっている。

 アップルはなんだかんだいって米国の会社。まずは米国で便利な機能を完成させ、そこから徐々に日本の事情にも最適化させていくつもりなのだろう。ただ、それが待てない人は、グーグルマップのWeb版や、ナビタイムなどの他社製のナビアプリにしばらく頼ったほうが使い勝手はいいかもしれない。

 残念ながら、まだ日本ではいまひとつ使い勝手がよくない地図機能だが、それでも「Fly-over」の機能は、使っていて楽しい。ニューヨークの摩天楼や、シドニーのオペラハウス、ロンドンのビッグベンなど、世界の名建築を上空の好きな位置から見下ろすことができるのだ。日本の町で、この機能が利用できる場所がまだないのは少し残念だが、Siriに負けないくらい、未来の発展に希望を持つ機能の1つといえそうだ。

og_iphone5_015.jpgog_iphone5_016.jpg Fly-Over機能で、ニューヨークの摩天楼やロンドンのビッグベン、シドニーのオペラハウスなど有名建築の周りを飛び回れる

 それでは、そのSiriはiOS 6でどのくらい進化したのだろう。米国ではSiriを使って、周囲の飲食店や各種サービスを簡単に見つけられるのが非常に便利だが、残念ながらこの機能は日本語版のSiriにはまだ搭載されていない(地図上のお店情報がある程度、充実した段階で対応するのだろう)。

 スポーツの結果を調べる機能もついたが、これも日本のプロ野球やJリーグ、大相撲の試合結果が分かるわけではなく、米国のスポーツの試合結果を調べるだけ。実は日本に置いて恩恵を受けられる場面はまだ少なそうだ。

 ただし、1つ確実に恩恵を受けられるのは(利用者限定だが)Facebookへの投稿機能。ジョギングなどをしながらiPhoneをポケットに入れたままの状態で、マイクだけを使ってFacebookにメッセージの投稿をできる。

og_iphone5_017.jpgog_iphone5_018.jpg 米国の野球、サッカーチームなどの情報であればSiriを使って調べることができる。Twitter同様、Facebookへの投稿もSiriを使って音声だけでできるようになった

 iPhoneから、さっと近所にあるお店の割引クーポンや、飛行機のボーディングパスなどを取り出すことができる「Passbook」という機能も、かなり期待している機能の1つだが、執筆時点ではApp Storeで対応アプリケーションが公開されておらず、先が読めない状況だ(ただし、電通がこのPassbookを使った「Passs」というサービスを発表しており、ここにどれくらいの数の店舗系ビジネスが軒を連ねるかは少し気になる)。

 このようにiOS 6で期待されていた機能の中には、実は日本ではあまり役立たない機能も多い。iOS 6の新機能の多くは、今すぐに恩恵を受けられる機能と言うよりは、これから先、アップルがずば抜けていいサービスを提供するために必要な未来への投資、とも言えるモノなのかもしれない。

 しかし、だからといってiOS 6へアップグレードを今する必要がないのかと言うと、そんなことはない。

細かい改良ほどうれしいiOS 6

 実は筆者は、iOS 6の本当の価値はディテールにこそ宿っているのではないかと思っている。予想以上に重宝しているのが新しい電話の応答機能とおやすみモード、SafariのiCloudタブと共有フォトストリーム、そしてパノラマ撮影機能だ。

 電話の応答機能とは、電話に出られないが気になっているときに、ボタンを押すだけで「今は電話に出られません……後でかけ直します」というメッセージをSMSで自動的に返す機能だ(それ以外に、1時間後に電話をかけ直すようにリマインドするオプションも用意されている)。

 「おやすみモード」というのは、指定した時間のあいだ、電話を鳴らないようにする機能だ。指定したグループからの電話だけ取り次ぐ設定や、同じ人から3分以内に2度電話がかかってきた時は、緊急の用事とみなして、ベルをならす機能など、とにかく本当によく考えられている。この機能、夜寝ているあいだはもちろんだが、実は徹夜作業明けや海外出張中にも非常に役に立つのではないかと期待を寄せている。

og_iphone5_019.jpgog_iphone5_020.jpg ボタンを押すだけで即時応答したり、電話を書け直すリマインダーを作成できる(画面=左)。おやすみモードは、指定した時間、電話の呼び鈴がなるのを止めてくれる(画面=右)

 少し前までは「iPhoneでは電話をしない」などと胸を張っている人をたまに見かけたが、このスマートフォン全盛時代となった今、iPhone以上に優れた電話はないのではないかと筆者は密かに思っている。今回、欧米の一部の国では、キャリアと組んで、音声通話の品質向上のための技術も新たに取り入れた。それに加え、iPhoneにはそもそもの機能として、簡単に6人までのグループ通話を楽しむ機能もある。

 iPhone 3GSくらいまでのころは、折りたたみ式でないiPhoneを耳に当てて通話するのは恥ずかしいなどと言っている人もいたが、今ではこれは日常風景だ。いや、それどころか最近では、それほど技術に詳しくなさそうに見える人も、老若男女を問わずiPhone付属のヘッドフォンでマイクの部分を手に持ち、口に近づけて通話する姿を東京の地下鉄のホームなどでよく見かけるようになった。

og_iphone5_021.jpg iCloudタブを使えば、Macのブラウザで開いているタブを、一覧表示して開くことができる。

 Safariやメールといった基本機能も、iOS 6では大幅にテコ入れされている。Mailでは、OS X Mountain Lion同様、大事な人だけVIP登録しておき、大事な人からのメールだけを見ることができるVIP受信箱が加わったのがうれしい。

 Safariでは、後で時間がある時に読みたい記事を登録しておくリーディングリストという機能が、オフラインでの閲覧に対応した。飛行機に乗っている間に、読み逃していた記事をまとめて読むのに向いている。

 そして先に重宝している機能として挙げたiCloudタブとは、MacのSafari上で開いているWebページを、iPhone上で簡単に呼び出す機能だ。ブックマーク一覧にある「iCloudタブ」という項目を選ぶと、MacのSafari上で開いているタブの一覧が現れるので、ここから読みたいページを選べばいい。

 URLを打ち込むのはなかなか手間だが、かといって面白いページをいちいち毎回リーディングリストに登録するのも、メールなどで共有するのも少し面倒くさい。iCloudタブは実にスマートなソリューションで気に入っている。

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