これがPiledriverの威力だ!(いろんな意味で)──TrinityのCPUパワーを試すイマドキのイタモノ(2/3 ページ)

» 2012年10月02日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

Llanoは確実に超えるがIvy Bridgeはなかなかどうして

PCMark 5 Build 1.2.0
PCMark Vantage Build 1.0.2

(その1)
(その2)

Sandra 2011 .SP4c(17.77):CPU Arithmetic
Sandra 2011 .SP4c(17.77):CPU Multimedia
Sandra 2011 .SP4c(17.77):Cryptgraphy

Sandra 2011 .SP4c(17.77): .NET Arithmetic
Sandra 2011 .SP4c(17.77): .NET Multimedia

Sandra 2011 .SP4c(17.77): Memory Bandwitdh
Sandra 2011 .SP4c(17.77): Memory Latency
Sandra 2011 .SP4c(17.77): Cache and Memory

CINEBENCH R11.5
MediaEspresso 6.5
vReveal version 3.2

LUXMark version 2.0
システム全体の消費電力

 各ハードウェアごとのスコアが出せるPCMark 05のOverallでは、A8-3870Kの12840 PCMarksに対し、A10-5800K、A8-5600Kともにそれを上回るスコアをだした。Cテスト項目を個別に比較すると、CPUスコアではA8-3870Kに対し、A10-5800Kが1200ポイント、A8-5600Kが500ポイント強の向上といったところだ。また、今回TrinityとLlanoともにシステムメモリをDDR3-1866でテストしているが、メモリスコアもA8-3870Kから向上している。

 PCMark VantageとPCMark 7も、スコアを伸ばした。PCMark Vantageで特に伸びたのはCommunicationsだ。PCMark 7ではEntertainment、Creativity、Computationといった項目で伸びが大きかった。なお、HDD関連のテストでは、PCMark 05、および、PCMark VantageにおけるA8-3870Kのスコアが思わしくなく、一方、PCMark 7では妥当なスコアとなる。PCMark 7では、SSDのHDDに対する優位性を緩和する処置を施しているが、同じSSD同士では別の要因ということになる。しかし、ほかのストレージテストではこのような傾向は確認できない。

 なお、Core i3-3240と比較してみると、PCMark 05、PCMark Vantageまでは、A10-5800K、A8-5600Kともに上回るスコアを見せたが、PCMark 7で逆転している。PCMark 7の場合、Computationでスコアに大きな差を付けられたのが影響している。

 Sandraでは、Processor ArithmeticのDhrystone Intで、A10-5800Kが54GIPSを出し、A8-3870Kから10GIPS近く向上した。Core i3-3240にも近づいている(が、下回っているのに変わりはない)。一方で、Whetstone Doubleはあまり向上せず、A8-5600Kに関してはA8-3870Kが上回っている。Processor Multi-Mediaは、Multi-Media IntでA8-3870Kの2倍以上になるスコアを記録し、Core i3-3240も上回ったほか、Multi-Media FloatやMulti-Media Doubleでも大幅に向上して、Core i3-3240との差を縮めた(しかし、ここでもスコアは下回る)Multi-Media Float Doubleに関しては大幅な向上というわけではなく、Core i3-3240とは差が開いている。

 .NET Arithmeticでは、Dhrystone .NET、Whetstone Double .NETで、Trinityの2製品ともA8-3870Kを下回った。Whetstone Float DoubleでもA8-3870Kから向上していない。.NET Multi-Mediaは、Multi-Media Int .NETでA8-3870Kと同等、Multi-Media Float .NET、Multi-Media Double .NET、Multi-Media Float Double .NETという3つの項目でようやくA8-3870Kを上回り、Core i3-3240に近づくことができた。

 ここまでのSandraによるベンチマークテストの結果は、得手不得手はあるがどちらかといえば向上しているテストが多く、Core i3-3240にも(テストによっては突き放されているものの)対抗できている。CPU関連のCryptographyでは、AES256-ECB Cryptographicで大幅に向上している。

 SandraのMemory Bandwidthベンチマークテストでは、Trinity世代もA8-3870Kもほぼ同等のスコアだ。一方でCache and Memoryベンチマークテストは、システムメモリより上位、1次キャッシュメモリまでの範囲でA8-3870Kが広帯域で、1Mバイトを超えた2次キャッシュメモリ領域ではTrinityが広帯域という結果だった。

 CINEBENCH R11.5は、Multi CPUでA8-3870KがTrinityの2製品を上回ったのに対し、Single CPUではTrinityが高かった。なお、A10-5800KはCore i3-3240よりMulti CPUで0.03ポイント低く、Single CPUでも0.3ポイントほど低い結果となっている。

 OpenCLベンチマークは、LUXMark v2.0およびCLBenchmark 1.2を利用した。LUXMarkはCPU、GPUおよびCPU+GPUと分けてOpenCL性能を計測するベンチマークだ。Core i3-3240の場合、CPUではそこそこのスコアだが、GPUは45ポイントで、CPU+GPUのスコアでもAPU勢には差を付けられている、一方、APU勢ではA8-5600KのCPU時のスコアがやや低かったものの、他は妥当なスコアだろう。

 エンコードテストは、MediaEspresso 6.5を用いた。なお、AMDが配布するv6.5.2713_43911を適用しているが、AMDがEnableになると説明するHardware encodeingオプション(VCE)が有効にはならなかった。そのため、APUのスコアはソフトウェアエンコードのもので、Core i3-3240のみQuickSyncVideo有効時の結果を並べている。ソフトウェアエンコードの所要時間は、A8-3870Kに対してA8-5600Kが20秒ほど短縮し、A10-5800Kはそこからさらに30秒ほど短縮する。Core i3-3240のソフトウェアエンコード時のタイムと比較すると、A8-5600Kが5秒程度の差でほぼ同タイムになった。

 なお、VCEに関しては、ほかに2つのアプリケーションで挙動を調べたが、対応を表明しているPowerDirector 10でもVCEオンでの動作が確認できず、vReveal v3.2ではGPUをオンにする項目を選ぶことでTrinityでも処理が高速化することを確認できたが、GPUをオフにした場合に処理時間が“異常に”長いなど、VCEの挙動が正しく行われている確証を得らることはできなかった。

 消費電力の評価では、CPU処理における消費電力がメインであるため、CINEBENCH R11.5のMulti CPU時の最大消費電力を計測している。傾向としてはグラフィックス処理をメインとした最大消費電力と似ている。CPU負荷をメインにしてもグラフィックスコア負荷をメインにしても、Trinityの消費電力値がほとんど変わらない点に注目したい。Turbo CORE Technology 3.0によって電力消費を細かく管理している証と考えることもできる。

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