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» 2012年12月29日 18時45分 UPDATE

スマホ/タブレット連携も大幅強化:約40%体積カットで“これなら置ける”A4複合機へ――エプソン「EP-805A」徹底検証 (1/6)

2012年の年末商戦で高い人気を誇る個人向けA4インクジェット複合機「EP-805A」。驚きのコンパクトボディと大幅に強化されたスマートデバイス連携など、その実力をじっくりチェックしていこう。

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

豊富なラインアップを誇るエプソンのホームプリンタ

tm_1212ep-805a_01.jpg エプソンの家庭向けプリンタにおいて、2012年の主力モデルに位置付けられる「EP-805A」

 エプソンは年末年始の商戦に向けて、2012年9月から大量の家庭向けA4カラーインクジェット複合機および小型フォトプリンタを市場に投入している。その総数は9機種14モデルであり、昨年と変わらぬモデル数を誇る堂々たる陣容を整えてきた。

 ラインアップの内訳はA4カラーインクジェット複合機の「カラリオ・プリンター」が7機種11モデル、小型フォトプリンタの「カラリオミー」が2機種3モデルだ。2011年は「プロセレクション」のA3ノビプリンタ1機種(PX-7V)が同時発表されたので、実質的にはカラリオシリーズの幅がさらに広がったことになる。

 拡充されたのはエントリークラスの「PX-045A」だ。液晶モニタは搭載せず、メモリカードからのダイレクトプリントもできないとはいえ、カラリオの複合機が1万円を切るのは驚きだ。「間に合わせの1台」やPCなどとのセット販売用といった層を当て込んでいるのかもしれない。

 毎年恒例のキャッチコピーだが、今回は「うちカラそとカラ 新!カラリオ。」とのこと。いまひとつ伝わりにくいかもしれないが、要は家庭内でのプリントだけでなく、モバイル環境でのプリントにも注力していることを指す。無論、必ずしもPCを必要とはせず、スマートフォンやタブレットからのプリントも想定し、そのための機能を一層強化している。

日本の住宅環境に適した圧倒的なコンパクトボディ

tm_1212ep-805a_21.jpg 「EP-805A」の背面手差しトレイと前面排紙トレイを出した状態

 豊富なラインアップの中で、エプソン自身が「まよったらコレ!」と推すのが、ミドルハイクラスとなるEP-800番台の製品だ。2011年の人気機種「EP-804A」に続き、2012年モデルは「EP-805A」という順当な型番の製品が投入された。

 特筆すべきはそのボディサイズだ。本体サイズは390(幅)×341(奥行き)×141(高さ)ミリ、重量は約7.3キロと、フラットベッドスキャナを搭載したA4インクジェット複合機とは思えないコンパクトボディに仕上げてきた。EP-804A(自動両面印刷ユニット装着時)に比べて、体積を約40%(38.7%)も減らしている。EP-804Aではオプションだった自動両面印刷機構を標準で内蔵し、ここまで小型化してきたのだから驚きだ。

 開発陣が目指したのは「どこにでも置ける」サイズとのことで、そのために市場の家具やOA機器、ラックやキャビネットを調査してEP-805Aの目標値を定めたという。一口に小型化といっても、もともとスリムだったEP-804Aをさらに小型にする労苦は並大抵ではないだろう。

tm_1212ep-805a_02.jpgtm_1212ep-805a_03.jpg 左が新モデルのEP-805A、右が2011年モデルのEP-804Aだ(写真=左)。並べてみると、大幅に小型化しているのが分かる。製品発表会においてCMキャラクターの忽那汐里さんが、EP-804AWの模型を持ち上げると、中からEP-805AWが出てくるという、体積約40%カットをアピールするデモが行われたほど、今回の小型化には力が注がれた(写真=左)。ちなみに、EP-804Aは自動両面印刷ユニットを搭載しない状態でもサイズが445(幅)×386(奥行き)×150(高さ)ミリ、重量が約9.1キロあった

 まずエプソンが着手したのはプリントヘッドのキャリッジだ。EP-804Aでは薄型化のためにインクタンクをヘッドキャリッジから離したオフキャリッジ方式を採用していた。しかし、オフキャリッジ方式は薄型化には貢献する半面、フットプリントが増してしまう(インクタンク長+ヘッド長のため)。

 そこでEP-805Aでは再びオンキャリッジ方式を採用するとともに、ヘッドの流路の見直しとインクタンク形状の変更を行うことで、本体の高さと奥行きの縮小を両立させている。さらにキャリッジの駆動距離を狭めることで、横幅の縮小も行われた。ただし、キャリッジの空走距離が狭まることで、このままではインクのドロップ精度が低下してしまう。これを解消するため、インクの吐出タイミングとキャリッジの制御には苦心したようだ。

 このほか、基板や用紙搬送機構の小型化、部品レイアウトの改善、給紙トレイやスキャナユニットの薄型化など、それこそ全面に渡ってぜい肉を削ぎ落している。もちろん、先に触れた自動両面印刷機構も新規に設計しており、用紙経路を従来からの前面給紙やBlu-ray/DVD/CDレーベル印刷用トレイなどの経路と共通化したほか、湾曲経路の直径も従来の57ミリから45ミリに縮小したことにより、奥行きサイズを縮小しつつ、自動両面印刷を可能とした。

 これらの地道な積み重ねにより、圧倒的にコンパクトなボディサイズを実現しているのだ。「どこにでも置ける」というのは少々オーバーな表現としても、A4カラー複合機として置く場所にはまず困らないだろう。

 ちなみに印刷時の排紙トレイは約160ミリほどの前面スペースが必要になる。EP-805Aでは背面に手差し給紙機構も追加されたが、こちらは2段式のトレイになっており、1段だけならば、ほぼ設置面積のままで使用可能だ。細いグレーのバーが伸びる2段目を引き出した場合だと、高さが50ミリ程度、奥行きが80ミリ程度増す。

tm_1212ep-805a_04.jpgtm_1212ep-805a_05.jpgtm_1212ep-805a_06.jpg トレイやカバーを開いた状態でのボディ前面(写真=左)、背面(写真=中央)、側面(写真=右)。利用時は排紙トレイが手前に伸びるが、前面下部の給紙カセットは前面から利用できるので、背面の手差し給紙を利用しない場合、後方にスペースは必要ない

 大幅に小型化しつつ、ボディデザインはEP-804Aの方向性を踏襲している。すっきりとした直方体のボディには余分な突起がなく、背面の端子周辺をくぼませているので、手差し給紙をしない場合は壁面につけて設置することも可能だ。従来同様、表面加工は見栄えがする鏡面仕上げを主体とし、天面の原稿カバーに指紋が付きにくいドットのテクスチャを施している。

 EP-804Aはカラーバリエーションでも注目を集めたが、EP-805Aはこれを踏襲した。ブラック(EP-805A)とホワイト(EP-805AW)といった無難な色のほかに、2012年モデルもレッド(EP-805AR)を用意。ブラックモデルは従来よりもやや青みがかっており、照り返しなどにやや深みが加わって、高級感が少し増した印象を受ける。

tm_1212ep-805a_07.jpgtm_1212ep-805a_08.jpgtm_1212ep-805a_09.jpg カラーバリエーションは2011年モデルと同じ3色。ブラックの「EP-805A」(写真=左)、ホワイトの「EP-805AW」(写真=中央)、レッドの「EP-805AR」(写真=右)を用意している

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