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» 2013年01月01日 15時00分 UPDATE

本田雅一のクロスオーバーデジタル:“PCを使う理由”が改めて問われる2013年 (1/3)

2013年のPC業界は「Office 2013」や「Haswell」といった大きなトピックが続く。しかし、スマートフォンやタブレットが一般層にも普及する中で、PCはより大きなターニングポイントを迎えようとしている。

[本田雅一,ITmedia]

2013年はPC業界の節目となる予感

tm_1212_2013pc_01.jpg 2013年の第2四半期には第4世代Coreアーキテクチャとなる「Haswell」が登場する予定だが……(IDF 2012の資料より)

 PC業界は2013年にどうなるのか――。ITmedia PC USERからの依頼は昨年に続いて2回目だが、1年間のPC業界やデジタル機器トレンドを新年早々に予想するのは、実はあまり気が進まない。なかなか“今後1年のこと”を面白く書きつつ、しかも“ピタリと予想を当てる”ことは難しいからだ。

 もちろん、PCプラットフォームを提供する各社のロードマップは紹介できる。しかし、ロードマップは常に変更されるもので、ソフトウェアの開発スケジュールは守られないことも多い。そのうえ、メガトレンドに沿って波風立たずに前へと進んでいた10年前とは異なり、今はPCという商品を脅かす存在がたくさんある。

 そんなわけで、2013年のPC業界を占うことは難しいのだが、一方でこの年はPC業界の節目となる、という予感もしている。それが業界全体が発展する方向に転ぶのか、あるいは衰退する方向へと向かうのかは分からないが、後に「2012〜2013年は大きなターニングポイントだった」と言われるようになるだろう。

予想以上に早い“ポストPC”への流れ

tm_1212_2013pc_a.jpg 「これからスマートフォンが起こすこと。」(東洋経済新報社)

 一昨年前にさかのぼるが、2011年春に筆者は「これからスマートフォンが起こすこと。」(東洋経済新報社)という書籍を上梓し、その中で「パソコンはなくなる」と書いた。

 もちろん、PCがこの世から完全になくなるわけではない。企業システム、公共サービスなど、さまざまなところでPCは世の中のインフラとして定着している。実際、2011年は過去最高のPC出荷台数を記録。販売台数という意味で、PC需要の底堅さに言及する論調がアナリストリポートなどの中にも多く見られた。

 では、なぜ「パソコンはなくなる」と書いたのかというと、“パーソナルコンピュータの定義”が変わっていくと予想したからだ。詳しくは弊著に書いたが、最も身近で、個人のライフスタイルに密着したコンピュータとして、スマートフォンやタブレットが認知されるようになれば、PCは“パーソナルな”コンピュータとしてのマインドシェアが下がると考えられる。

 筆者は昔からPCを道具として使っているから、手になじむ道具として欠かせないものだし、よりよい結果を得るために最新の機種を買い続けている。しかし、個人の生活の中でPCが必須の道具かと問われたなら、「イエス」と答える自信がない(3年前はイエスと答えただろうが)。PCのほうが便利だったアプリケーションのうち、何割かはスマートフォンやタブレットのほうがよいと思えるようになってきたためだ。

 数字だけを見れば、日本におけるPC市場は堅調のように見える。JEITA(電子情報技術産業協会)によると、2011年の実績である1086万8000台(国内PC出荷台数)を2012年に越えるのは確実とのこと。やはり底堅いと言えるだろう。しかし、この記事を読んでいる読者の多くは、PC業界がそんなに盛り上がっているようには思えないのではないだろうか。

 実際、ポストPCへの流れは、筆者が弊著で予想していたよりも早いペースで進んでいる。なぜなら、台数は伸びているものの、その内容は決して明るい将来を示していないように思えるからだ。

tm_1212_2013pc_02.jpg JEITAが発表した2012年11月の国内PC出荷台数と出荷金額

 JEITAはWindows 8の一般販売開始から2カ月目となる2012年11月のPC出荷台数に関して、前年同月比8.8%減の71万7000台と発表している。2012年の9月と10月は前年同月比でプラスになったものの、11月には早くも前年割れとなった。

 2012年の9月と10月は、Windows 7搭載PCが在庫処分で安価になったほか、操作性が変化するWindows 8を望まないユーザーが意図してWindows 7マシンの流通在庫を買ったとも言われている。新製品への切り替えが進み、Windows 7搭載モデルがなくなった後は、Windows 8の新製品効果で伸びることが期待されたものの、期待ほどには売れなかったということだろう。

 そもそも、ここ数年でPCの出荷台数が伸びている理由は、企業向け販売が伸びているからだった。企業におけるWindows 8の評価はまだ終わっていないと考えられ、個人向けPCの販売も低調となると、市場全体が急に落ち込むのは致し方ないところかもしれない。

 ところが、マイクロソフト周辺の話を聞いてみると、Windows 8そのもののライセンス販売は好調とのこと。日本に限らず、欧米各国でのWindows 8アップグレードは予想を超えているそうだ。低パフォーマンスのPCでも動作するよう、Windows Vista世代のPCをWindows 8にアップグレードする例が多いからと、マイクロソフト自身は販売状況を分析しているという。

 少ないメモリ、遅いプロセッサでも応答性がよいWindows 8は、ライセンス販売は好調だが、搭載PCの販売は厳しい、というのが現状だ。

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