「Surface RT」の特徴について一通り触れたところで、今回は本機の特徴をタブレットの代表格ともいえる「iPad」と比較してみよう。
もちろん両機はOSが異なるため単純な比較はできないが、日本におけるSurface RTのマーケティング施策を見るだけでも、iPadを強く意識しているのは明らかだ。Surface RTのティーザー広告をアップルストア銀座の正面にある松屋銀座の壁いっぱいに展開したほか、発売記念イベントでも米Microsoft ジェネラルマネージャーのブライアン・ホール氏はSurface RTの特長をiPadを引き合いに出しつつ紹介していた。
製品発表会でも日本マイクロソフト代表取締役の樋口泰行氏は「パートナーと一緒になってハードウェアからWindowsを盛り上げていきたい」と言及していることからも、Surface RTのライバルはほかのWindowsタブレットではなく、Android/iOS搭載タブレットであることがうかがえる。
それではまず、Surface RTとiPadのスペックを比較しよう。今回比較用として用意したのは第4世代のiPad(Retinaディスプレイ、Wi-Fiモデル)だ。
Surface RTとiPadスペック比較 | ||
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製品名 | Surface RT | iPad(第4世代、Wi-Fiモデル) |
画面サイズ | 10.6型ワイド | 9.7型ワイド |
本体サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約275×172×9ミリ | 約241.2×185.7×9.4ミリ |
重量(実測値) | 684グラム | 652グラム |
画面のアスペクト比 | 16:9 | 4:3 |
ディスプレイ解像度 | 1366×768ドット | 2048×1536ドット |
CPU | NVIDIA Tegra 3 (シングルコア1.4GHz/クアッドコア1.3GHz) | Apple A6X(デュアルコア) |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0 | |
インタフェース | USB 2.0、Micro HDMI出力、SDXC対応microSDカードスロット、ヘッドフォン出力 | Lightning、ヘッドフォン出力 |
センサー | 環境光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、デジタルコンパス | |
カメラ | イン(720p)、アウト(720p) | イン(約120万画素)、アウト(約500万画素) |
ストレージ | 32G/64Gバイト | 16G/32G/64G/128Gバイト |
バッテリー容量 | 31.5ワットアワー | 42.5ワットアワー |
価格(32Gバイトモデル) | 4万9800円 | 5万800円 |
ボディは画面サイズが大きなSurface RTがやや大きく、かつ30グラムほど重いものの、両手で持つ場合は両者の間で重さにあまり差を感じない。しかし片手で持つ場合は状況が異なる。16:9ディスプレイを採用するSurface RTの方が、横位置では重心が手から遠い位置になるため重く感じる。
ただ、側面が丸みを帯びているiPadに対し、Surface RTは端末を手にしたときに手のひらがうまくひっかかるように、側面がディスプレイ面から背面に向かって直線的に絞られている。厚さはほぼ互角だが、個人的にはSurface RTの方がフィット感があり、意外に持ちやすかった。
インタフェースはSurface RTの方が充実している。iPadはヘッドフォン出力とLightningポートしか搭載しないのに対し、SurfaceはUSB 2.0ポート、Micro HDMI出力、ヘッドフォン出力、SDXC対応microSDカードスロットを備える。microSDカードで不足しがちなストレージ容量を補える(iPadは128Gバイトモデルまであるが6万6800円になる)ほか、USB経由でのデータのやり取りなど、PCに近い使い方にも対応できるところはSurface RTのメリットだ。
タッチ/スワイプ操作に対する画面の追従性や、アプリの軽快な動作といった快適さはiPadの方が上だ。Surface RTも動作がなかなか軽快という印象を受けたが、やはりiOSには及ばない。画面の解像度もiPadの方が高く、画素密度(ppi:1インチあたりのピクセル数)で換算すれば約1.8倍もの差がある(iPadは264ppi、Surface RTは148ppi)。動画などのコンテンツをより精細な画面で楽しみたいとなればiPadが有利だろう。
アプリの数については30万本を超えるiPad(互換性があるiPhone用アプリも含めれば、倍以上にもなる)に対して、Windows RT向けのアプリは2万本程度と大きく差をつけられている。
一方で、Surface RTには(制限はあるものの)正規のOffice 2013 RTがあり、ビジネスシーンで業界標準となっているOffice文書を作成したり編集したりできるのは強みだ(iOS用の互換ソフトでは同じレベルでOffice文書を扱うのは困難)。
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