2013年末、いよいよ“新生AMD”が新たなステージへPS4もXbox OneもAMDはいってる(1/3 ページ)

» 2013年06月27日 21時51分 公開
[本間文,ITmedia]

 新生AMDが目指すのは、自社の知的財産(IP:Intellectual Property)をCPUやAPU、GPUだけでなく、パートナー企業のIPと組み合わせて、市場が求めるプロセッサをいち早く投入できるようにすることだ。その代表例が、ソニーのプレイステーション4やMicrosoftのXbox Oneに採用されたAPUであり、AMDは同様のビジネスを2013年末までに急拡大させる方針だ。

AMDのビジネス戦略について語るマーク・ペーパーマスターCTO兼上級副社長

 AMDが自社のIPとして位置づけるのは、なにもCPUやGPUコアだけではない。同社の技術開発を統括するマーク・ペーパーマスターCTO兼上級副社長は、「省電力技術や、システム同士を高速につなぐファブリックも、われわれの重要なIPだ」と説明する。

 同氏は、2012年2月に行われた投資家向け会議で省電力技術のロードマップを示し、CPUやGPUアーキテクチャの開発だけでなく、APUをより省電力で運用できる技術革新を続けていく意向を明らかにしたが、その技術もパートナーの製品にも生かされるという見通しを示す。

投資家向け会議でペーパーマスター氏が公開した省電力技術のロードマップ

 さらに同社は、買収した高密度サーバベンダーのSeaMicroが持つ、「Freedom Fabric」と呼ぶネットワークファブリック(高速インタフェース/サーバ同士を高速で接続する技術)が、急速に立ち上がりつつある高密度サーバ市場では、重要な技術として注目されており、これもエンタープライズ向け、またはネットワーク向け製品の開発を目指すパートナーに、同社の重要なIPの1つとして供給する意向だ。

 AMDが自社の重要なIPをパートナーに広く提供するといっても、基本的にAPUの製造や開発は、同社のもとで行われ、パートナーのIP統合をAMDの開発チームが請け負うカタチを採る。つまりは、IPをパートナーに開放するといっても、開発や製造はAMD主導で行うことで、自社IPの秘密を守りつつ、市場ニーズに迅速に応えられる製品群を、パートナーとともに幅広くそろえていくというものだ。そして、同社がARMとの協業を加速するのも、このビジネスモデルを成功に導くために不可欠な要素と捉えているからだ。

AMDは、パートナーのIPを積極的に取り入れることで、市場ニーズにあった製品をいち早く展開できる体制を構築する意向を示す(画面=左)。セミ・カスタム・プロセッサ・ビジネスの例として紹介されたソニーのプレイステーション4向けプロセッサ。Kabiniと同じJaguar CPUコアとGCNグラフィックスコアが統合されている(画面=左)

 また、AMDはこのビジネスモデルを加速するために、これまでCPUパフォーマンスを高めるために採用してきたSOI(Silicon on Insulator)などの特殊半導体プロセスではなく、28ナノメートルプロセスルールのCPUコアで汎用プロセスを用いることにより、他社IPとの統合をしやすくする。先に発表された新しいAMD-AシリーズのKabiniやTemashも、汎用プロセスを採用しており、このことがソニーやMicrosoftの次世代ゲーム機向けAPUで、両社それぞれのIP統合を進めやすくしている理由だ。

 ペーパーマスター氏は「AMDはもはや、何から何まで自分たちで手がけられる大企業ではなくなった。開発リソースを自分たちが得意とするジャンルに集約し、優れたIPを持つパートナーと協力することで、競争力のある“セミ・カスタム・プロセッサ”を正しいタイミングで市場投入できるようにすることが重要だ」と、新生AMDのビジネスモデルの重要性を説く。

 そして、同社はこのセミ・カスタム・プロセッサ・ビジネスを2013年末には収益の20%を占めるまでに成長させ、近い将来には40〜50%の収益をこのセミ・カスタム・プロセッサ・ビジネスでまかない、PCに偏ったビジネスモデルからの脱却を進める意味合いも持つ。

同社のAPU技術とGPUのIPを、成長著しい分野に積極的に展開していく(画面=左)。セミ・カスタム・プロセッサのビジネスを近い将来40〜50%に高めることで、PCへの依存度を低減する意向だ(画面=右)

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