インタビュー
» 2013年12月05日 17時00分 UPDATE

「PC+」と「マルチモード」で、あなたの何が変わるのか──レノボ・ジャパンのマーケティング戦略を聞く

“マルチモード”な特長を持つタブレット「YOGA TABLET」を新たにリリースし、PCメーカーの枠を取り払い、タブレットも含めたマルチモード製品群の展開を推し進めるレノボ・ジャパン。この秋からはブランドアンバサダーにアシュトン・カッチャー氏を迎え、レノボが考えるPC+の考え方はさらに一歩、次のステップへと踏み出した。そんなレノボの新しいマーケティング戦略の裏側に迫った。

[青山祐介,ITmedia]

レノボが提唱する「PC+」と「マルチモード」

photo レノボ・ジャパン コンシューマーマーケティングマネージャーの室井崇裕氏

 「レノボは直近の連続2四半期で販売台数世界ナンバーワンのPCメーカーです。でも、実は出荷台数で見るとPCよりもタブレットやスマートフォン(日本未発売)を合わせた台数のの方が多くなっています。ユーザーがデジタルデバイスに求めるものが変わってきている“今”、それに合わせた製品ラインアップでそのシーンを具体的に提案するのが必要と考えています。マーケティングのイノベーションを起こすのもまさに“今”です」

 こう語るのは、レノボ・ジャパン コンシューマーマーケティングマネージャーの室井崇裕氏。室井氏の説明にあるとおり、デジタルデバイスの使い方の変化に応えるよう、レノボはPCを主軸としつつも、利用シーンに応じてPC、タブレット、スマートフォンと、デバイスあるいはスタイルを使い分けるという、これまでのPCに何かを“プラス”するという新しい製品群の考え方「PC+」を提唱。このPC+の考え方に沿った製品を続々と投入している。

 このPC+を象徴するキーワードが「マルチモード」だ。1つのデバイスが利用シーンに応じたスタイルに変化することで、それぞれのシーンで最も快適な使い勝手を実現する──というのが狙いだ。このマルチモードコンセプトを持った製品が2013年秋冬商戦向けに投入した「Yoga 2 Pro」であり「Flex 14」「Flex 20」、そして「YOGA TABLET」シリーズとなる。

 しかし、これらはいずれもPCをもとにしたデバイス。PCのカテゴリでは、ようやくレノボの日本での認知度は高まっているが、レノボがタブレットも販売していることはまだまだ知られていない。そんなタブレット“も”しっかり投入するメーカーとして知名度を一気に押し上げる役目を担うのが、10月29日に発表された「YOGA TABLET」シリーズ。そして、この「マルチモード」プロモーションの中心となる存在が、“レノボ ブランド・アンバサダー”として就任したアシュトン・カッチャー氏である。

photo レノボはアシュトン・カッチャー氏をブランドアンバサダーに起用。戦略的デバイス「YOGA TABLET」シリーズを軸に、「PC+」そして「マルチモード」の具体的な価値を積極的にユーザーに提案していく

ジョブズ役を演じたアシュトン・カッチャー氏が、“次に選んだ”プロジェクト

photo 2013年10月29日に行われたYOGA TABLET発表イベントで登壇したアシュトン・カッチャー氏

 アシュトン・カッチャー氏は、俳優、起業家、テクノロジー投資家、プロデューサー、社会奉仕事業家と多彩な顔を持つ人物。とりわけIT分野の技術や事業に精通し、カッチャー氏のTwitterアカウントには100万以上ものフォロワーがいる。アシュトン・カッチャー氏がこれまでと大きく違うのは、レノボの単なるプロモーションアイコンではなく、氏のテクノロジー知識と行動力を生かした「プロダクトエンジニア」として、今後のレノボ製品の開発からマーケティングに携わる役割をも担っている点である。

 実際、2013年10月29日(日本時間)に世界同時に行われたYOGA TABLET発表イベントでは、カッチャー氏自身がステージに立ち、なぜレノボのプロダクトエンジニアとして参画したか、そして画期的なマルチモードタブレットであるYOGA TABLETはどんなコンセプトを取り入れ、どんな意図があるデバイスなのか、ITに造詣の深いカッチャー氏らしい言葉で熱く語っている。それは、まるで氏が映画で演じたあの人を思わせる存在感があった。



 日本では、俳優としてのアシュトン・カッチャー氏を知る人はまだ少ないかもしれない。米国で2013年夏に公開(日本では2013年11月1日に公開)された映画『スティーブ・ジョブズ(原題:Jobs)』で、物語の中心人物であるスティーブ・ジョブズ役(Apple 元CEO)を演じたことで一躍脚光を浴びた。世界中の多くの人が知るスティーブ・ジョブズという主役を射止めた背景には、ITに精通したガジェット好きであり、IT企業への投資家でもあるというカッチャー氏の顔があったことは言うまでもない。そんなスティーブ・ジョブズを演じたカッチャー氏が「次のプロジェクト」として選んだのが、レノボとのパートナーシップなのである。

 実はアシュトン・カッチャー氏以外にも、今回のブランド・アンバサダー候補は存在した。その中でレノボがカッチャー氏を選んだのは「彼のリスクをいとわないチャレンジ精神と、レノボの常にイノベーティブなスタンスが合致したことにほかならない」(レノボ・ジャパンの室井氏)。YOGA TABLETのプレゼンテーションでもアシュトン・カッチャー氏は、「“安全圏から出ようとしない人”という顔は、絶対に自分の顔ではない。リスクがあって大いに結構」と語っている。

 スティーブ・ジョブズというアメリカンドリームの象徴のような人物を演じた後に、中国発祥のグローバル企業であるレノボとパートナーシップを組むということは、アメリカ人俳優にとってリスクになるのかもしれない。しかしカッチャー氏は「そんなことはどうでもよい。優れたテクノロジーを持ち、いい製品を送り出し、私のアイデアを取り入れてくれる企業と組みたい」と考えたのだ。そんなカッチャー氏の考えと、YOGA TABLETのような新しいコンセプトの製品を業界で初めて生み出す土壌を持つレノボのスタンスが響き合い、今回のパートナーシップが誕生した。室井氏によると、カッチャー氏の起用を決めたレノボのCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)であるデビッド・ローマン氏は「今後レノボのプロダクトを彼(アシュトン・カッチャー氏)と一緒に育てていく」と述べたという。

 ブランド・アンバサダーという広告塔としての役割だけでなく、プロダクトエンジニアとしての役割も担うアシュトン・カッチャー氏。すでにレノボ各国拠点のプロダクトエンジニアとディスカッションを重ねており、今後はカッチャー氏の意見も製品開発にフィードバックされていくだろう。室井氏によると、カッチャー氏とレノボとの契約も、プロモーションアイコンとしての一時的なものではなく、プロダクトエンジニアとしての長期的なものとなっているそうだ。

photo レノボ各国拠点のプロダクトエンジニアとディスカッションするカッチャー氏

2013年秋冬のレノボのマルチモードキャンペーン

 日本では2013年11月30日から12月上旬にかけて、アシュトン・カッチャー氏を起用したYOGA TABLETのテレビCMが東京・名古屋・大阪地区で放映されている。

 CMでは、YOGA TABLET 10の最大18時間というバッテリー駆動時間をチェックするように指示を受けたカッチャー氏が、レノボのプロダクトエンジニアとして、さらに俳優、起業家、投資家として忙しく“マルチモード”に活躍する中で、「ホールドモード」「スタンドモード」「チルトモード」と形が変わるYOGA TABLETの“マルチモード”な性能を使いこなしている様子を描いている。


 このほか、2013年秋冬シーズンのマーケティング戦略の一環として、2014年1月31日まで(応募受付は2014年2月15日まで)に対象製品を購入すると賞品が当たる「Lenovoマルチモードキャンペーン」を展開する。

 賞品は同じく“マルチモード”な特長を持つ、折りたたみ自転車、リストウォッチ、コーヒーメーカー、マルチツールが抽選で当たるほか、応募者全員にもれなくLenovoオリジナルパソコンクリーニングキット(マイクロファイバクロス+ウェットクリーニングティッシュ)がもらえる。

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 「Yoga 2 Pro」「Flex 20」「Flex 14」、そして「YOGA TABLET」と、続々と投入する“マルチモード”なデバイスとともに、その利用シーンをいかに分かりやすく、自然に、具体的にユーザーに伝えられるか。「マルチモード」を使って私はアレにチャレンジしてみたくなった、「PC+」ってこう使うと楽しい──ユーザーの“DO”をひらめかせる。レノボ・ジャパンの狙いはここだ。

 PC、タブレット、スマートフォンと、ユーザーの利用シーンに応じて、最適なデバイスを選んで使ってもらうという、グローバル企業であるレノボが全世界で提案する「PC+」という考え方は、俳優、起業家、投資家、プロデューサー、社会奉仕事業家と、同じく“マルチモード”に活躍するアシュトン・カッチャー氏をパートナーに迎えたことで、今後さらにイノベーティブなマルチモードな製品を生んでいくことであろう。


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