AMD、組み込み市場に本気出す日本のパチンコパチスロも重要です

» 2014年05月19日 17時47分 公開
[長浜和也,ITmedia]

AMD的アタックマーケットは組み込み市場

米AMD本社 組み込み製品ディレクターのカマル・クーリ氏

 日本AMDは、5月19日に組み込み製品における事業展開に関する説明会を行った。米AMD本社 組み込み製品ディレクターのカマル・クーリ氏は、同社が組み込み市場で注力する領域とその理由について説明している。

 クーリ氏は、説明会冒頭で「AMDは変革しつつある」と述べ、AMDが新しく注力する“アタックマーケット”と呼ぶ重要分野を紹介し、将来はAMDの売り上げ構成のうち約半分をこの新しい市場で創出するという目標を掲げた。

 クーリ氏は、このアタックマーケットが生みだす規模が91億ドルに達するとし、また、このマーケットで対象となる機器は2憶3200万台に上るという。その中で、AMDが製品を投入するのはローエンドのコントローラではなく、高性能高機能なハイエンドラインアップになる。AMDの予想では、2017年までに、組み込み市場におけるプロセッサは、その83%がARMとx86系モデルで占めるようになるとクーリ氏は示した。

AMDは事業展開の見直しを進めており、その主要なターゲットに成長が期待できる組み込み市場を挙げている

AMDが選ぶ得意な6領域とは?

 クーリ氏は、AMDがその市場で成功できる技術的な理由とその市場を重視する理由についても語っている。AMDがこれまで得意としてきたPCやサーバとは異なり、

組み込み市場には多数の課題があるという。これは組み込み市場でカバーすべき分野が多岐にわたるためとしている。そして、そのそれぞれで専門知識が必要で、ユーザーも複雑な要件を求めている。

 このような多岐にわたる組み込み市場において、AMDは特に注力する分野として6種類を挙げている。これらは、いずれもAMDが得意とするグラフィクスコンピューティングが重要となる領域だ。ゲーム市場では、プレステーション4やXbox Oneへの搭載のほか、日本市場ではバチンコ台やパチスロ台も重要なターゲットになっているという。

多岐にわたる組み込み市場の領域から、AMDは自分たちの強みを生かせる6種類の領域に注力する

 グラフィックス性能が重要になるという意味では、デジタルサイネージ領域も共通する。デジタルサイネージはアジア圏において急速に成長しており、かつ、インタラクティブな方向に進化している。利用者の顔や表情を認識してその人に適切なコンテンツを表示したりと機能も高度化しており、その処理に高い性能を持つプロセッサを必要としている。

病室で使えるMRIを可能にするのはAMDの技術

 医療領域もグラフィックス性能が重要になるが、この領域は、ゲームデバイスやデジタルサイネージと比べて、表示精度と信頼性に対してユーザーの要求は格段に高くなる。また、医療機器に対して可搬性や携帯性を求めるケースも出てきている。例えば、専用の診断室に据え置きになっているMRIを小型化すれば、病室に移動して測定ができるようになる。この、小型化や移動を可能にするに、プロセッサにおける消費電力と消費電力あたりの処理性能が重要になってくる。

 さらに、AMDが注力する領域に共通で、ユーザーインタフェースではタッチインタフェースを導入してタップとフリックを多用した操作をユーザーが望んでいたり、利用するデータをオンラインストレージに置く機会が増えているので、ネットワークの性能に加えて、強固なセキュリティを望んていたりする。

 クーリ氏は、このような要求と課題を持つ組み込み市場の領域に対して、AMDが製品をただ供給するだけでなく、セールス部隊の組織を強化し、また、サポートも拡充していくという。組み込み市場で求める長期間にわたる製品供給においても、7年間、10年間、そして、15年間と居休できる体制を作っていくと語っている。

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