ECSの林さんが語る「背水の陣でLIVAを作った」COMPUTEX TAIPEI 2014(1/2 ページ)

» 2014年06月07日 13時08分 公開
[長浜和也,ITmedia]

マザーボードの失敗がLIVA誕生のきっかけ

PC DIYの世界におかえりなさい、っと思わず呼びかけたくなるECS チャネルビジネスユニットマーケティング責任者の林宏宇氏

 ECS チャネルビジネスユニットマーケティング責任者の林宏宇氏は、以前、GIGABYTEの日本支社広報担当者、そして、代表として長い期間日本の自作PC市場にかかわっていた人物だ。秋葉原をはじめとするPCパーツショップ関係者や自作PCを扱う媒体にも彼を知る人は多い。

 2013年5月、台湾に戻った林氏はECSに参加する。長い経験を生かしてマザーボード事業の責任者として登場したばかりのIntel 8シリーズチップセット搭載マザーボードの販売に取り組むことになるが、ECSにおける開発スケジュールの遅れもあって、ほかのマザーボードベンダーが5月6月と新モデルを投入しているタイミングで何もすることができなかった。

 しかし、林氏はこの苦境を「後発ならほかのベンダーの価格動向にあわせて有利な価格を設定できる」と前向きにとらえ、新モデルの投入を9月に設定して販売計画を立案していた。ところが、Intel Z87 Expressチップセットを搭載したマザーボードの価格下落が予想以上に早く始まり、ECSが新モデルを投入する9月のタイミングで先行していたモデルも実売価格を下げてしまったことで、ECSは唯一の武器だった価格競争力を失うことになった。

 ECSにおけるマザーボード事業の立て直しを期待されていた林氏にとって、Intel 8シリーズチップセット搭載モデルの失敗は、ECSにおける自分の立場を非常に苦しくするものだった。そこで、林氏が着目したのが超小型ベアボーンだった。

 ECSに参加する前、林氏はインテルの超小型PCフォームファクタについてサンプルを見る機会があったという。日本の自作PC市場の動向を長年調べてきた林氏にとって、パフォーマンス過剰になりつつ自作PCにおいて、その超小型PCは日本のユーザーに高く評価してもらえると考えたという。

 しかし、そのときにサンプルを見せてくれた関係者が示した販売予定価格(林氏によると4〜5万円だったという)では、高すぎて多くのユーザーに購入してもらえないだろうと考えた。なお、このインテルの超小型PCベアボーンはNUCとなって2012年の11月末に実売価格3万円前後で出荷することになる。

 マザーボード事業で苦戦していた林氏は、このNUCに相当する超小型ベアボーンに着目した。ただ、すでに、インテルが自らNUCを販売し、多くのPCパーツベンダーが超小型ベアボーンを投入しているだけに、従来製品とは異なる特徴がなければならない。

 そこで、林氏は日本の自作PCユーザーが重視する「価格」を優先することにした。200ドルを切る価格を設定して低価格を優先するユーザーをすべてECSの超小型ベアボーンで独占する方針で製品企画と開発を進めた。

 こうして登場した「LIVA」は、日本市場でも多くのユーザーが注目している。2013年にマザーボード事業でつまづいていた林氏は、ECSでこれ以上の失敗は許されていなかった。「背水の陣で取り組んだのが成功の原因かもしれない」と林氏は語っている。

ECSのブースでは、LIVAのカスタムデザインコンテストを行っていた。台湾の大学生を中心に応募作品は100点にも及んだという。最終選考を通過した5作品でCOMPUTEX TAIPEI 2014期間で投票を行う

最終選考に残らなかったものの、ユニークなデザインもブースに展示している。中には3Dプリンタで出力したカラープレートを組み合わせてバリエーションを楽しむものやブロックのように組み立てられるものもあった

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