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» 2016年03月08日 00時00分 UPDATE

「HP Scitex 15500」導入事例:これからのダンボールはただの“茶色い箱”ではなくなるかもしれない

国内で初めてダンボール用デジタル印刷機「HP Scitex 15500」を導入したダイナパックがデジタル印刷を柱とした新事業を始動。ダンボール業界の新たな市場創出に挑む。

[ITmedia]

 ダンボール、と聞いてあなたが連想するのは何だろうか。人によっては、お金で動くロボット型スーツを思い浮かべるかもしれないが、おそらくほとんどの方は、宅急便や引っ越しで使う包装資材だろう。

 19世紀イギリスで生まれたダンボールは、波状の多層構造により軽さと強度を両立することから、ご存じの通り現代でも広く利用されている。その最たる用途が先に挙げた包装資材、つまりダンボール箱だ。たいていの買い物をAmazonに依存している筆者の部屋も、気づけばダンボールだらけになっていたりする。

og_dynapac_001.jpg 「ダンボール=茶色の箱」という従来のイメージを崩し、新しいビジネスに挑戦するダイナパック。オフセット印刷並の品質でダンボールにデジタルフルカラー印刷を行う

 国内ダンボールの生産量をみると、いわゆる“リーマンショック”で一時的に数字が落ち込んでいるものの、ほぼ100%前後で推移している。非常に安定した市場だが、これは裏を返せば成長していないともいえる。

 そのダンボール業界で、従来の「茶色い箱」というイメージを壊し、新しいビジネスの創出に取り組んでいるのがダイナパックだ。同社は国内で初めてHPのダンボール用デジタル印刷機「HP Scitex 15500」を導入し、この3月から稼働させている。同社川越事業所を見学した。

og_dynapac_002.jpg 同社はHPの巨大なデジタル印刷機「HP Scitex 15500」を国内で初めて導入した企業だ。3月から運転を開始した

「ダンボールは差別化が難しい」をデジタル印刷で解決

 ダイナパックは、ダンボールをはじめ、印刷紙器や軽包装材、紙製緩衝材などの包装資材を開発・販売している。「カゴメ」など大手食品・飲料メーカーの包装資材も手がけており、知らずにダイナパック製の製品を利用したことがある人も多いだろう。

og_dynapac_003.jpg ダイナパックの名前を知らなくても、同社の包装品を生活の中で目にする機会は多い

 ダイナパックの主力事業は全体の売り上げの約64%を占めるダンボール事業だ。同社代表取締役社長の杉山喜久雄氏は「ダンボールは違いを見せるのが難しい」と話し、ダンボールの用途が輸送や物流で利用される「運搬用の箱」として固定化されているために市場成長が見込めないと指摘。今後は新たな用途を開発していく必要があるとして、HP Scitex 15500の導入に至った経緯を説明した。

 HP Scitex 15500は、最大3200×1600ミリの大判印刷が可能なデジタル印刷機で、6色インク(CMYK・LC・LM)によるオフセット印刷並の美粧性や、版が不要なことから小ロット生産かつ短納期を実現できるのが特徴だ。

 杉山社長は「HP Scitex 15500は現在のダンボール業界が不得意とする部分をすべて備えている」と述べ、今後はダンボールのデジタル印刷を武器に、店頭POPやディスプレイ、ペット用品、オリジナルギフトなどの新規分野を開拓していくとした。「ダンボール業界にイノベーションを起こす」(杉山氏)

og_dynapac_004.jpgog_dynapac_005.jpg ダイナパックの事業戦略を説明する杉山社長

og_dynapac_006.jpgog_dynapac_007.jpg 秒速1.15〜1.9メートルでスライドする印刷台はリニアモーターカーと同じ磁石を使った原理で宙に浮き、スムーズな印刷を実現している。大型インクドロップを使用すると7往復、小型のインクドロップ時は30往復で印刷が完了し、それぞれ1時間に約59枚/約19枚出力できるという。給排紙は吸盤を使って行われる

og_dynapac_008.jpg オフセット並の高品質な印刷がデジタル印刷により小ロットかつ短納期で可能になる

og_dynapac_009.jpg 店頭向けディスプレイやPOPにダンボールを利用した例。版が必要ないため、データ入稿ですぐに出力でき、季節やイベントにあわせたタイムリーな飾り付けを販促に利用可能。ダンボールのため組立や廃棄の手間も軽減できる

og_dynapac_010.jpg 版不要で小ロット印刷が可能なため、パーソナライズ包装や期間限定キャンペーンにあわせたバリアブル(可変)印刷など、高付加価値のサンプルを制作できる。店舗ごとにパッケージを変更する、名前入りのパッケージを用意するなど用途は広い

og_dynapac_011.jpg 最大3200×1600ミリで印刷できる。これまでコストの高い2枚継ぎで生産していた製品を1ピースにできるほか、美粧性の高い大型パッケージを実現した

パッケージは顧客とのコミュニケーションツールに

og_dynapac_012.jpg 米HPのJeff De Kleijn氏(HP PPS Asia Pacific Pte.Ltd Director&General Manager)

 同日行われた見学会では、米HPのJeff De Kleijn氏(HP PPS Asia Pacific Pte.Ltd Director&General Manager)も登壇。同氏は、あらゆる市場でデジタル化が進む中、印刷業界も例外ではないと述べ、特にパッケージ分野ではデジタル印刷が強く求められていると説明した。

 「パッケージの役割は従来の輸送(のための箱)から販促ツールへと変化してきた。例えば、スーパーの売り上げの25%はプライベートブランドで占められ、それは客の増加を上回る速さで増加している。その中でブランドはいかに顧客の注目を集められるかが重要だ。また、スーパーに来店する消費者の76%は、売り場で購入する商品を決定している。店頭に並ぶパッケージは無言のセールスマンとして、最も効果的なマーケティングになる」とKleijn氏。多様かつタイムリーなパッケージ製作を可能にするデジタル印刷の強みをアピールした。

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