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» 2016年03月15日 06時00分 UPDATE

鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10スマホ最大の課題 アプリストア拡充に向けた次なる一手は? (1/2)

AndroidアプリをWindows 10 Mobileへ簡単に移植できるというツールキットの開発を中止したMicrosoft。出遅れているWindowsストアのアプリ拡充をどうするのか。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

UWPアプリとWindowsストアを盛り上げたいMicrosoft

 AndroidやiOSなど、他のモバイルOS用アプリの開発者らをWindows 10のネイティブ実行基盤である「UWP(Universal Windows Platform)」へと誘導する「Windows Bridge」の試みは、Android版の開発終了によって事実上フェードアウトしたと言える。

 しかし、UWPアプリならびにWindowsストアを盛り上げたいというMicrosoftの動きは止まらない。その1つはクロスプラットフォーム開発環境「Xamarin」の買収であり、Microsoftの戦略の焦点は、「同一条件の中でいかにWindows 10のエコシステムが魅力的かを示し、アプリのWindowsストアへの登録を促すか」に集約しつつある。

Windowsストア アプリストアの拡充は、Windows 10 Mobileの大きな課題だ

 Windows Bridgeとは、2015年4月に開催されたMicrosoftの年次開発者会議「Build 2015」における目玉発表の1つで、既存のアプリをUWP上で動く形式に変換するツール群ならびに技術の総称だ。変換元となるアプリの環境によって「Windows Bridge for Android(Project Astoria)」「Windows Bridge for iOS(Project Islandwood)」「Windows Bridge for Classic Windows apps(Project Centennial)」「Windows Bridge for Web apps(Project Westminster)」の4つが用意されていた。

 当初Windows Bridgeの目的は、Androidアプリ、iOSアプリ、Webアプリ、そしてWin32アプリまで、既存の幅広いアプリ開発環境をUWPへと導くための「橋渡し役」のようなものだった。

Windows Bridge Build 2015で発表された4つの「Windows Bridge」。他プラットフォームからUWPアプリへの移植ツールキットをそろえて、Windows 10での10億台市場をターゲットにアプリ環境の充実を図る計画だった

 特にWindows Bridge for AndroidとWindows Bridge for iOSの場合、モバイルOSとして先行するAndroidとiOSの2つのプラットフォームのアプリ開発者に対して、「既存の(AndroidやiOS向けに開発した)アプリをそのままWindows 10で実行可能な形式に変換して、Windowsストアに登録できますよ」ということをアピールしていた。

 Windows Bridge for iOSについては、既存のXcodeのソースコードをVisual Studioに読み込んで変換する作業が発生し、Windows Bridge for Androidよりハードルが高い。ただ、Windows Bridge for iOSはオープンソースとしてGitHubで公開されたことで注目を集め、「既存のiOSアプリを数分でUWPアプリに変換してみた」といったチャレンジも行われている。

 一方、プロジェクトが終了してしまったWindows Bridge for Androidは、AndroidのサブシステムをそのままWindows 10プラットフォーム上に構築してしまい、Androidのアプリ配布形式である「APK」ファイルを包含する形で、Windowsストアアプリの配信形式である「.appx」を作成し、あたかも「Windows 10上でAndroidアプリがそのまま動作」しているかのような試みだった。

 実質的に、元となるAPKさえあれば、そのままWindowsストアに登録可能なアプリが作れてしまうという、アプリ開発者にとっては「最小限の手間でWindowsストアに登録もできますよ」というところがセールスポイントだったわけだ。

Windows Bridge for Android 計画中止の「Windows Bridge for Android(Project Astoria)」では、AndroidのサブシステムをそのままWindows OS上に用意して、実質的にAndroidアプリがそのまま動作する仕組みを構築していた

 ただ、Windows Bridge for Androidは開発の段階でARMベースのサブシステムしか用意されておらず、生成された「.appx」はWindows 10 Mobile上でのみ実行可能となっていた。AndroidサブシステムはWindows 10 Mobileの公開バージョンであるBuild 10586以前には既に削除されたと言われており、プロジェクトが終了した現在においては試す手段がない。

 なお、これとは逆にWindows Bridge for Classic Windows apps(Project Centennial)は、Win32などのデスクトップアプリケーションのインストーラである「.msi」ファイルを「.appx」形式にコンバートする仕組みであり、現在の段階では同ツールを使って変換されたアプリはWindows 10 Mobileなどのデスクトップ以外のプラットフォームでは実行できない。

Windows Bridge for Classic Windows apps 「Windows Bridge for Classic Windows apps(Project Centennial)」では、デスクトップアプリケーションのインストーラである「.msi」をWindowsストアに登録可能な「.appx」形式にそのまま変換する。そのため、変換されたアプリはWindows 10 Mobileでは動作しない

 つまり、Windows Bridge for Android、Windows Bridge for Classic Windows appsともに、Windowsプラットフォームを横断して実行可能なUWPアプリを生成するツールではない点に注意したい。

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