Surface Bookは、画面のみを取り外して、単体のタブレットのように使えるのも特徴だ。Microsoftはこのスタイルを「クリップボードモード」と呼んでいる。クリップボードのみのサイズは約312.3(幅)×220.2(高さ)×7.7(奥行き)ミリ、重量は約726グラム(実測725グラム)だ。これは製品発表時のCore i7搭載PCとして最薄最軽量という。画面側だけならば、Surface Pro 4よりも薄型で軽量となる点に注目したい。
ただし、Surface Pro 4は周辺機器を接続するための端子類が全てタブレットである本体側にあるが、Surface Bookのクリップボード側にある端子はヘッドセット端子のみだ。USB 3.0ポートをはじめ、主要な端子類は全てキーボード側にある。
さらには、バッテリー容量も、キーボード側が約58ワットアワーと大容量であるのに対し、画面側は約18ワットアワーと非常に小さい。クリップボードモードにおけるバッテリー駆動時間のテスト結果は、前述のBBenchで2時間40分だった。これでは薄型軽量のクリップボードのみ携帯し、外出先で大画面タブレットとして長時間使うのは無理だ。
つまり、Surface Bookにとって、クリップボードモードでの運用はメインではなく、活用シーンを広げるための拡張スタイルという位置付けとなる。日本マイクロソフトとしては、メモをとったり、簡単なプレゼンテーションをしたりといった用途を想定しているという。
「タブレットモード」ではなく「クリップボードモード」と呼んでいるのも、そうした仕様上の制限が影響しているのだろう(日本マイクロソフトの表記は統一されておらず、単にタブレットと表記されている場合もあるが)。
Surface Bookの基本システムは、当然ながらクリップボードモードで運用できる画面側に集中している。ただし、上位モデルが搭載するdGPUのNVIDIA GeForce GPUはキーボード側にあるため、クリップボードモードで使う場合はdGPUとの接続が切断される。
こういう事情もあり、画面側の着脱には「マッスルワイヤーロック(Muscle Wire Lock)」と呼ばれる独特の機構が使われている。キーボード右上の「Delete」キー左にある取り外し専用キー(クリップボードボタン)を長押しするか、Windows 10 Pro上の通知領域にあるアイコンをクリックするとロックが外れ、画面側を取り外せるようになる。
この際、dGPUを利用するアプリケーションが起動していると取り外すことはできず、アプリケーションの終了を促すメッセージが表示される。
マッスルワイヤーロックとはその名の通り、画面側の着脱機構にワイヤーを内蔵しており、合体時にきつく固定する仕組みだ。これにより、dGPU動作中に誤って画面側が外れてしまうようなトラブルを防ぐたけでなく、スムーズで上質な着脱動作、合体時の一体感、剛性感を高めているのは見逃せない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.