そりゃ品薄にもなる? iPhone 7のジェットブラックは作るのが大変ITはみ出しコラム

» 2016年09月18日 06時00分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 「傷つきやすい」という注意書きがあっても大人気の「iPhone 7/7 Plus ジェットブラック」。発売日の9月16日には、予約で初回出荷分は完売とAppleが発表しました。Apple Storeで予約開始から30分後に注文を完了した人でも、出荷予定は11月だそうです。

jet black 1 一見、アルミニウム製であることを忘れてしまうような高光沢の「ジェットブラック」。美しい仕上げです
jet black 2 AppleのiPhone 7公式ページには、「表面には酸化皮膜処理された他のApple製品と同等の硬度がありますが、使用とともに光沢に微細な摩耗が生じる場合があります。磨耗が気になる方は、iPhone用のケースを使って表面を保護することをおすすめします」との注意書きがあります

 ジェットブラックの高光沢仕上げは、「精密な9段階の酸化皮膜処理と研磨加工によるもの」とAppleは説明しています。ベースとなる素材はiPhone 6s/6s Plusと同じく硬度の高い「7000シリーズアルミニウム」です。

 9月7日の発表イベントで公開されたジェットブラックの仕上げプロセス説明動画(ナレーション by ジョナサン・アイブCDO)を見て、「これは手間がかかってるんだなぁ」と思った方は多いことでしょう。

動画が取得できませんでした
ジョナサン・アイブCDOが説明するジェットブラックの作り方
jet black 3 iPhone 7を粉の中に入れて回転しながら磨く「3D回転研磨」。特殊な化合物を複雑な形状のハウジングに流し、不要な部分を取り除くことで、素材同士がシームレスな状態になり、鏡のような表面になるそうです
jet black 4 次はボディーを保護する酸化皮膜を作ります。彩度を最大化するため、毛細管現象で染みこませた単一成分の染料は、表面そのものの一部になるとコメント
jet black 5 最後の仕上げは、名付けて「水中針山地獄」。磁化した超微細な鉄粒子の溶液を使って上質な光沢が得られるまで、酸化皮膜を磨き上げると、ジェットブラックの完成です

 さすがに実際の工場では、動画で公開されたまま4台ずつ機械にはめて粉の中に入れて磨いているわけではないと思いますが……。いや、ひょっとすると広ーい工場の一角にこの機械が何台も設置されていて、iPhoneを4台磨き終わる度に専任担当者がそっと付け替えているのではないか、と妄想してしまいます。

 最後の水中針山地獄みたいなところにボディーを漬けて泳がす(磁化した超微細な鉄粒子の溶液で酸化皮膜を磨く)プロセスも自動化されてはいるのでしょうけど、とても大変そうです。

 この一連のプロセスについて、米Wiredが専門家に動画を見せて意見を聞いたところ、全部で1時間はかかるだろうと推定しています。飛行機用パーツの陽極酸化処理では、1万gallon(3万7854L)のタンクいっぱいの溶液に40分パーツを浸すのだそうです。

 無事にこのプロセスが終わっても、その後に機械から外したり運んだりする間に傷がついたらもうおじゃんです。最終段階のチェックではぴっかぴかのつやつや、無傷な状態でなければ、Apple品質ではありません。

jet black 6 ぴっかぴかのつやつや

 このプロセスがどこの工場で行われているのか、Appleから正式な発表はありません。ただ、台湾では5月の段階でFoxconnとPegatronがiPhone 7生産のために従業員の大量採用を始めたと報道されています。

 かつてFoxconnでは、iPhone 5の厳しい品質水準の引き上げでストライキが起きました。ジェットブラックの傷つきやすさはiPhone 5の比ではなさそうなので、生産に関わる方々の苦労が忍ばれます。

jetblack 7 iPhoneを最終チェックする工場の人(Appleより) ※これはiPhone 7生産の写真ではありません

 そもそもiPhone 7/7 Plusは、iPhone初となるボディーの耐水性能を確保することや、デュアルカメラ(Plusのみ)の新採用が歩留まりを悪化させていて、品薄の原因になっているともいわれています。それに加えて、繊細な仕上げのジェットブラックはさらに安定した供給を難しくしていることは想像に難くありません。

 「速攻で予約したのに入手できるのがいつになるか分からない」とお嘆きの方も多いようですが、日夜頑張ってジェットブラックのボディーを磨いてくれている人々のことも思い出して、気長に待ってみてはいかがでしょうか。


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