「ASUSTORはバックアップが簡単」「QNAPは仮想化で活用」――新機能紹介からHDDの選び方まで4社合同の最新NASイベント

» 2017年07月22日 16時06分 公開
[ITmedia]

名古屋でメーカー4社合同NASイベント開催

 NAS・HDDメーカー4社による合同イベントがツクモ名古屋1号店で行われた。NASメーカーからはASUSTORとQNAP、HDDメーカーからはHGSTとSeagateが参加し、個人のバックアップ用途から仮想化までNASのさまざまな活用方法を紹介。最新モデルが当たるじゃんけん大会や当日のみの特価販売も実施されており、NASの導入(または買い増し)を検討する熱心なユーザーが会場に詰めかけた。

7月21日と22日の2日間に渡ってNAS・HDDメーカー4社による合同イベントが開かれた

名古屋大須の新天地通りに面するツクモ名古屋1号店

 秋葉原で目にすることの多いNAS系のイベントだが、大須の新天地通りに面したツクモ名古屋1号店でも同様に、定期的にNASイベントが行われている。同店のNAS売り場には国内メーカー製品だけでなく、QNAPをはじめASUSTOR、NETGEAR、Synologyなど海外製NASキットが多く並び、秋葉原の雰囲気に近い。品ぞろえは「近隣最大規模」(同店スタッフ)という。

 「最近はホームユースで扱うデータ量が増え、NASを活用するシーンが広がっていると思います。家族の写真を遠方に住む親類と共有するためにNASを導入したいというお客さまがいらっしゃいますね。以前はNASというと国内メーカーが強かったのですが、現在は使いやすさや信頼性の面でも海外NASキットを選ぶ人が増えている印象です。今回のようなイベントを通じてNASに興味を持ってくれる方が増えるとうれしい。NASの購入を検討されているなら是非当店へお越しください」(同店スタッフ)

ツクモ名古屋1号店のNAS売り場。海外製NASキットもそろっている

「ASUSTORはバックアップが簡単で便利」 ADM 3.0の特徴を解説

 22日午後1時の回では、新興NASメーカーのASUSTORによるNAS活用術や、COMPUTEX 2017で発表された新機種の解説が行われた。

 最新のNAS用OSであるADM 3.0では、ログイン時の通知やアプリのショートカットとグループ化、アイコンレイアウトのカスタマイズなどユーザーインタフェース回りが大きく改善された。また、法人ユーザーからの要望で、テーマのカスタマイズ(社名を入れた画面を見せるなど)も可能になっている。

ASUSTORとQANPの国内販売代理店であるユニスターの越沼哲史氏

ADM 3.0でより使いやすいユーザーインタフェースに生まれ変わったASUSTOR NAS

 続けて、マルチルーター環境下でもポート設定不要で簡単にNASを接続できるインターネットパススルー機能や、魚眼レンズもサポートした監視カメラ機能、またCOMPUTEXで発表した新機種として、Apollo Lake世代のCeleronを採用した「AS6404T」「AS6402T」が紹介された。

リアルタイムでリソースをモニタリングできるデスクトップヴィジェットを搭載。スマートフォンのように、新しく更新できるアプリについてはバッヂが表示され一目で分かるようになる

 このほか、活用の幅を広げるASUSTOR NASの新機能として、ベイの1つを単体ディスクとして扱える「My Archive」を取り上げ、HDDをカセットのように入れ換えながらデータを保存するバックアップ術を紹介。解説を担当したユニスターの越沼氏は、実際のデモを交えながら、「この機能を使えばデータを確実に仕分けられるだけでなく、多彩なフォーマットに対応しており、万が一NASが壊れてもほかのWindows PCからMy Archiveのデータを読み出せる。これはASUSTORでしかできないバックアップ術なので是非活用してほしい」とアピールした。

ADM 3.0の注目機能「My Archive」

「仮想化で使うならQNAP TurboNAS」

 続く2回目のセッションでは、QNAPによるプレゼンテーションが行われた。まず、COMPUTEX 2017の振り返りとして、Thunderbolt 3を搭載した新機種(型番末尾にT3が付くモデル)や、Ryzenを搭載した6〜12ベイの高機能モデル(TS-677、TS-877、TS-1277)、10Gスイッチなどを紹介し、Thunderbolt 3や高速転送が可能な環境は映像制作の現場でメリットが大きいと解説。

Thunderbolt 3やRyzenを搭載した高機能モデルが登場

 また、NAS活用術ではQNAPのTurbo NAS用OS「QTS 4.1」以降で利用できる仮想化機能「Virtualization Station」が取り上げられた。Virtualization Stationは、NASと仮想化システムの両方をTurbo NASで実現するための機能で、Appセンターから無償でダウンロードして利用できる。

Virtualization Station 3の設定画面

Turbo NASだけでWindows 10を利用できる

 製品デモでは、PCがない環境でもNASだけでWindows 10を操作する様子を示しながら法人用途での活用方法を提案した。

NASキットにはNAS向けHDDを選ぶべき

 一方、HDDメーカーからは、増大するデータ量の現状や、NAS向けHDDの選び方、大容量HDDを実現するための技術解説などが行われた。

10TBの容量に到達したSeagateのNAS用HDD「Iron Wolf」

 現在、日々生み出されるデータは、ゼタバイトを軽く超える総データから“価値のあるデータ”のみを抽出しても、世界に流通しているストレージではまかないきれていないのが現状だという。

青いグラフがデータ総量、オレンジが“有用なデータ”量を示す。世界に流通しているストレージの総容量(水色)はオレンジにも満たない

 ストレージ(HDD)の大容量化のニーズは今後も増大すると見られ、そのために様々な技術が研究・実装されている。その中の1つとして注目されているのがヘリウム充てんだ。

 HGSTは「ヘリウムで完全密閉することにより安定して動作するため、記録密度を上げなくてもプラッタ枚数を8枚にして容量を増やすことができた。また、低振動、低消費電力というメリットもある。今後のHDDのトレンドになる基礎技術になるはず」とアピール。

 一方のSeagateは、デスクトップ向けのBarraCuda、NAS向けのIronWolf、監視用のSkyHawkと用途別のブランドを紹介し、NAS向けの製品は常時稼働を想定したファームウェアチューニングとエラーリカバリー機能を備えていると説明。NAS用途ではNAS向けのHDDを選ぶメリットを強調した。

SeagateのHDDラインアップ


 なお、同イベントに連動して、7月21日から23日までの3日間、ツクモ名古屋1号店では対象のNASやHDDが10%引きで販売されている。NASの購入を検討している近隣のユーザーはチェックしてほしい。

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